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左:三井住友フィナンシャルグループ 取締役社長 宮田孝一 右:三井住友銀行 頭取 國部 毅

ステークホルダーの皆さまには、平素より温かいご支援、お引き立てを賜り、心より御礼申し上げます。ここでは、中期経営計画の進捗と2015年度の業績、足許の事業環境、今後の経営方針およびステークホルダーへの価値提供についてご説明します。


中期経営計画の進捗と2015年度の業績

三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)および三井住友銀行(SMBC)は2014年度から2016年度までの3年間を計画期間とする中期経営計画において、「最高の信頼を通じて、日本・アジアをリードし、お客さまと共に成長するグローバル金融グループ」という10年後を展望したビジョンを掲げ、その実現に向けて4つの3ヵ年の経営目標を定めました。これまでの取組により、多くの手応えを感じる一方、外部環境の変化を踏まえ、一部調整が必要な面もみえてきています。

10年後を展望したビジョン

 

これまでの取組について、3ヵ年の経営目標に沿ってご説明します。

@ 内外主要事業におけるお客さま起点でのビジネスモデル改革

まず、お客さま起点でのビジネスモデル改革については、多様化・高度化するお客さまのニーズへの対応力を高めるため、銀行と証券、国内と海外拠点、法人担当と個人担当などの連携や一体運営を進め、グループ力の強化を図ってきました。海外では、お客さまに対して証券サービスや決済関連サービス等のクロスセルを推進するとともに、高採算資産の積み上げ等を通じたポートフォリオの採算性向上・多様化に努めています。

このような取組の結果、たとえば、国内貸出金の増強、個人預り資産の増加、海外での証券関連収益の拡大や利ざやの確保等の成果に結びついており、SMFGの競争力は、着実に強化されていると考えています。

A アジア・セントリックの実現に向けたプラットフォームの構築と成長の捕捉

次に、アジア・セントリックの実現に向けた取組としては、新たな拠点の開設や香港の東亜銀行やカンボジアのアクレダ・バンクといった地場銀行を持分法適用関連会社とするなど、アジアでのプレゼンスを高めてきました。また、日本に次ぐ新たなフランチャイズを構築するべく取り組んでいるインドネシアでは、持分法適用関連会社である現地の銀行バンク・タブンガン・ペンシウナン・ナショナル(BTPN)とモバイルバンキングビジネスで協働を推進しています。「アジアと言えばSMFG / SMBC」と言われるような、アジア屈指の金融グループを目指し、着実に歩を進めています。

B 健全性・収益性を維持しつつ、トップライン収益の持続的成長を実現

トップライン収益については、中期経営計画初年度は順調な滑り出しとなりましたが、2年目となる2015年度は伸び悩む結果となりました。とりわけ下期において、株価の下落や円高の進行など、市場環境の変化による影響を受けたことが主な要因です。これに加えて、コンシューマーファイナンス子会社における利息返還損失引当金の繰入や、BTPNののれん減損といった一過性の下振れ要因も発生したため、連結経常利益は9,853億円、連結当期純利益*1は6,467億円となりました。財務目標の進捗は、健全性を除き、厳しい結果になったと受け止めています。足許の事業環境は、中期経営計画策定時の想定から、状況が大きく変わってきており、詳細は後述しますが、今後はよりボトムライン収益に軸足を置いた運営が必要と考えています。
*1 親会社株主に帰属する当期純利益

財務目標の進捗


*2 連結粗利益の2013年度比成長率
*3 バーゼルV完全実施基準(2019年3月末に適用される定義に基づく)

C 次世代の成長を支える経営インフラの高度化

最後に、経営インフラ高度化の観点では、コーポレートガバナンス体制の整備やダイバーシティの推進にも力を入れてきました。まず、コーポレートガバナンスについては、2015年5月に、SMFGにおける原則・指針として「SMFGコーポレートガバナンス・ガイドライン」を策定したほか、2015年6月には、多様な社外の視点をより一層経営に取り入れていくこと を主眼に、社外役員を増員しました。より実効的な体制構築を進めることができたと考えています。

次に、ダイバーシティの推進については、女性が活躍できる職場作りに継続的に取り組んでいます。たとえば、SMBCでは、頭取を委員長とするダイバーシティ推進委員会を設置し、女性キャリア支援のための各種施策を進めてきました。女性の管理職比率は2014年3月末は10.5%でしたが、2016年3月末には15.7%までに上昇するなど、確かな成果へとつながっています。また、海外の現地採用の役職員の登用にも取り組んでおり、SMBCにおける執行役員の数は、中期経営計画開始時点では2名でしたが、2016年6月末時点では7名となりました。人材の多様化は着実に進展しています。

足許の事業環境

次に、足許の事業環境に目を向けますと、中国をはじめとする新興国や資源国で景気が減速する中、地政学リスクもあり、世界経済は全体的に不透明となっています。国内経済も、好循環の流れは崩れていないものの、世界経済や金融市場の影響を受けて足許は足踏み状態にあるなど、当社を取り巻く事業環境は厳しさを増しています。さらに、環境変化という面では、ITの進展は著しく、そのスピードの速さには目を見張るものがあります。お客さまの利便性の飛躍的な向上や、金融機関側のコスト削減につながるなど、大きな可能性を秘めている一方、同業のみならず他業種との競争が激化する可能性もあります。

また、私たち金融機関を取り巻く規制環境も、不透明な状況にあります。2008年から2009年にかけての世界的な金融危機を教訓に、2012年度から国際的な金融規制「バーゼルV」が導入されましたが、足許、更なる規制強化に向けた議論が進められています。金融機関に対する規制は、金融システムの安定等に寄与する一方、過度な規制強化は金融機関の金融仲介機能の制約にもつながるという側面もあります。そのため、私たちは、関係当局や他の金融機関等とも連携を図りながら、適切な意見発信を行っていきます。

一方、変化はチャンスでもあります。たとえば、2015年度に起きた大きな変化のひとつに、日本銀行によるマイナス金利政策の導入があります。政策効果が実体経済に波及するまでには、相応のタイムラグが伴うと考えられますが、後述しますように、私たちは、お客さまのニーズにしっかりお応えすることにより、「貯蓄から投資へ」を後押しする好機となると考えています。


今後の経営方針

続いて、今後の経営方針について、「事業戦略」、「ガバナンス・経営管理の高度化」、「資本政策」の3つの切り口からご説明します。

事業戦略

中期経営計画策定時から事業環境は変化していますが、当初想定していた国内経済の成熟・高齢化、貯蓄から投資への流れ、アジアの成長、テクノロジーの進化といった中長期的なトレンドに対する見立ては変わっていません。したがって、「アジア・セントリック」、「国内トップの収益基盤」といった私たちが目指す将来像についても不変です。しかしながら、足許の経済環境や規制環境などの変化を踏まえると、過度にトップライン収益の成長を追うのではなく、リスク感度を高め、ボトムライン収益を確保することに軸足を置く必要があると考えています。私たちが強みとする収益性・効率性をより盤石なものとするべく注力していきます。

具体的には、引き続き、グループ内での連携・一体運営に注力し、国内外で非金利収益の拡大や利ざやの確保に取り組んでまいります。

国内での取組の例としては、マイナス金利環境下で資産運用にお困りの個人のお客さまに対する適切なコンサルティングおよび運用商品の提供、グローバル化を加速している本 邦企業のお客さまに対するクロスボーダーM&Aファイナンスといったソリューション提供 力を活かした貸出の増強、などが挙げられます。5月に発表したSMBC日興証券とSMBC フレンド証券の合併、三井住友アセットマネジメントの連結子会社化も、お客さまのニーズへの対応力強化を企図したものです。

海外では、非日系のお客さまに対するクロスセルやポートフォリオの採算性向上をより一層推し進めつつ、足許の環境を踏まえ、当面はクレジットリスクや外貨流動性リスクに注意を払った運営を行っていくことが全体としての方針です。注力するアジアについても、メリハリの効いた経営資源の投入を行い、中長期的にアジアの成長を取り込むとともに、アジ アにおける強みを活かし、グローバルにお客さまへのサービス拡大を図っていきます。

経費削減に向けた取組も強化していきます。従来から、グループベースでの経費コントロールに努めてきましたが、中長期的な経費構造の見直しを集中的に進めるため、今年度、グループ横断的な協議会を立ち上げました。事務・システム、人事、不動産等、グループ内の重複業務・機能の整理、インフラの共同利用や、戦略分野の絞り込みも行っていきます。

ITの進展に対しては、融資契約の電子化やEC決済代行大手のGMOペイメントゲートウェイとの合弁会社の設立等、新たな取組を進めてきました。今後もオープンイノベーションの発想のもと、異業種との提携も含め、グループ内外の知見や基盤を積極的に活用し、お客さまのニーズの変化に合わせた最先端サービスをスピーディーに提供していきます。2016年の国会で成立した銀行法等の改正には、金融グループの金融関連IT企業等への出資の柔軟化といった内容が盛り込まれており、私たちSMFGの取組を後押しするものと考えています。

ガバナンス・経営管理の高度化

2015年は、日本のコーポレートガバナンス元年といわれています。同年6月には、東京証券取引所でコーポレートガバナンス・コードの適用が開始されました。企業の中長期的な企業価値向上を実現する上で、コーポレートガバナンスや経営管理は極めて重要と考えています。私たちSMFGは、これらの高度化に向けて不断の努力を行っていく所存です。

2016年5月、SMFGは、ガバナンス体制の更なる高度化に向けて、2017年6月に開催予定の定時株主総会での承認を前提として、指名委員会等設置会社へ移行することを発表しました。これまでも強固なガバナンス体制の構築に向けて、その整備を進めてきましたが、この移行により、ステークホルダーに対するアカウンタビリティの向上や、取締役会の監督機能の強化、ならびに業務執行の迅速化を一段と進めることができると考えています。グローバルなシステム上重要な金融機関(G-SIFIs)の一員として、今後もコーポレートガバナンス強化の取組を継続していきます。

加えて、2017年4月における、グループの企画・管理関連の各機能を統括するCxO*4制度の導入や、グループベースでの事業部門制の導入についても発表しました。グループ横断的な経営管理や、戦略立案・業務推進を行うことが狙いです。実効性が高く、お客さまのニーズにもしっかりお応えできる体制を構築し、グループ全体としての収益性・効率性の向上を 図ってまいります。

また、私たちは、適切なリスク・リターンの確保のために、リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)を構築し、運営しています。RAFとは、適切な環境認識のもと、収益拡大のために取るリスクの種類と量(リスクアペタイト)を明確化し、指標(リスクアペタイト指標)等の管理を通じて、グループ全体のリスクをコントロールする枠組みのことです。業務環境がめまぐるしく変化する中、RAFの重要性はますます高まっており、継続的にその高度化を図ることにより、持続的成長の実現につなげていきます。
*4 CFO(チーフ・フィナンシャル・オフィサー)、CRO(チーフ・リスク・オフィサー)等の総称

資本政策

資本政策は、企業価値に影響を及ぼす重要なファクターです。一方、前述の通り、現在、各国の規制当局間で、金融機関の資本の十分性に影響を与えうる金融規制の見直しが議論されており、その影響は依然不透明な状況です。こうした中、SMFGは、規制動向に注視しつつ、社会的な役割を果たすために必要な健全性を担保した上で、「成長投資」、「株主還元」、「資本蓄積」の3つのバランスを取った資本政策を行っていく方針です。「株主還元」については、1株当たり配当の安定的な引き上げに努め、強化を図っていきます。2016年度の配当性向は、業績・配当予想をベースにすると30.2%であり、従来から申し上げてきた「中長期的には配当性向30%を目指す」というお約束を果たすかたちとなっています。

1株当たり配当金の推移

また、資本基盤の充実やガバナンス強化の観点から、政策保有株式の削減も、経営上の重要なテーマのひとつと認識しています。株価変動が資本に与える影響を低減するために、G-SIFIsとして相応しい水準に向けて政策保有株式を削減してまいります。まずは、2015年9月から5年程度の内に、保有株式*5簿価の普通株式等Tier1(CET1)*6に占める割合を28%から14%まで半減する目途をつけたいと考えています。また、主要な政策保有先については、株式保有の合理性についての検証を取締役会で毎年実施していきます。コーポレートガバナンス・コードの適用・浸透を受けて、株式の売却に対するお客さまのご理解が進んできていると感じています。

*5 グループで保有する国内上場株式
*6 バーゼルV完全実施基準、その他有価証券評価差額金を除く

政策保有株式の推移及び削減計画(SMFG連結)


ステークホルダーへの価値提供

持続的な企業価値の向上に向けては、「株主」の皆さまへの価値提供はもちろん、「お客さま」、「社会」、「従業員」といったさまざまなステークホルダーへの価値提供を、たゆまなく続けていくことが重要です。

私たちの経営理念のひとつに、「お客さまに、より一層価値あるサービスを提供し、お客さまと共に発展する」という言葉があります。また、役職員が共有する価値観である「Five Values」の最初に、「Customer First」を掲げています。このような価値観を軸とし、常にお客さまとしっかりと向き合い、お客さまの多様なニーズに応えていきたいと考えています。本年3月には、資産運用・資産形成事業における、「お客さま本位」の取組方針として、「フィデューシャリー・デューティー宣言」を公表しました。同宣言に則り、一層のサービス向上に取り組んでいきます。

また、社会全体の持続的な成長に向けて貢献することも、欠かすことはできない使命です。私たちのCSR活動では、取り組むべき重点課題を「環境」、「次世代」、「コミュニティ」の3つに特定し、金融サービスを通じた地球環境問題への取組や、次世代がいきいきと活躍し、安心・安全なコミュニティの発展に貢献するさまざまな取組を行っています。具体的には、2015年度に、グループ主要8社が環境認証ISO14001を取得・更新したほか、SMBCが環境関連プロジェクトに資金使途を限定したグリーンボンドを発行しました。また、社会的にニーズが高まっている金融経済教育や、東日本大震災や熊本地震の復興支援などの社会貢献活動を、グループ一体で実施しています。

「従業員」への価値提供という観点では、多様な人材がその個性や能力を存分に発揮することができる職場を提供することが重要です。これが、私たちの競争力の向上にもつながります。その一環で、各種の女性のキャリア支援策を実施してきたことに加え、女性活躍推進法への対応として女性管理職登用等に関する数値目標と行動計画を公表しました。また、仕事と介護を両立できる環境の整備や長時間労働の是正、勤務の柔軟化などの取組も行ってきました。今後もこれらの取組を継続、深化させていきます。


最後に

いま日本は、長年のデフレから脱却し、持続的な経済成長軌道への回帰を達成できるかどうかの正念場にあります。環境の変化を敏感にキャッチし、金融仲介機能の発揮等を通じて、お客さまの成長、イノベーションへの取組を支援することで、日本のデフレ脱却と経済再生をしっかりと支えていく。それが、私たちの使命だと考えています。4年後に迫った東 京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を、私たちは、銀行カテゴリーにおけるゴールドパートナーとしてサポートしています。国を挙げた一大イベントを前に、「みなさまと共に、“次の日本”を力強く切り拓く」という想いを、さらに強くしています。

Five Values(Customer First、Proactive and Innovative、Speed、Quality、Team SMBC / SMFG)という価値観を役職員間で共有しつつ、ステークホルダーの皆さまに対する価値創造に全力で取り組んでまいる所存です。株主、投資家をはじめとしたステークホルダーの皆さまにおかれましては、今後ともなお一層のご理解、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。


2016年7月

株式会社三井住友フィナンシャルグループ 取締役社長 宮田 孝一
株式会社三井住友銀行 頭取 國部 毅






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