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三井住友フィナンシャルグループ

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SMBC GROUP REPORT 2020 新型コロナウイルス感染症による業務影響

新型コロナウイルス感染症による業務影響 新型コロナウイルス感染症による業務影響

CEOメッセージでお伝えした通り、新中期経営計画(以下、新中計)は厳しい業務環境の中で持続的成長を目指す内容となっており、新型コロナウイルスの影響による計画の骨子自体の見直しは行っていません。
ただし、2020年度の業績に対しては、大きなインパクトがあることから、その点をご説明します。

2020年度の業績に与える影響の見通し

 新規感染者の発生は、一部の地域を除いてすでにピークアウトしつつも2020年中は継続すると見ており、世界景気は2020年後半にはボトムアウトしていくものの、マイナス影響は2020年度を通じて残ると考えています。したがって、新中計の1年目として感染症拡大前に想定していた計画を大幅に見直し、2020年5月に業績予想を下記の通り発表しました。

 ただし、これらはあくまで上述の前提に基づくものであり、見通しが変化した場合には、期中であっても柔軟に計画を見直すことも考えています。

2020年度の業績に与える影響の見通し 2020年度の業績に与える影響の見通し

与信関係費用

 2020年度の連結与信関係費用の予想は4,500億円ですが、このうち三井住友銀行は2,900億円で、日系の法人が6割、非日系の法人が4割の内訳です。日系は、大企業と中堅・中小企業でそれぞれ半々、非日系では、ホテルやカジノ等のレジャー産業、石油・ガス、LBO等でコストが発生すると見ています。

 三井住友銀行を除くグループ会社は1,600億円で、リテール系子会社(SMBCコンシューマーファイナンス・三井住友カード)を中心に、2019年度比400億円程度増加する見通しです。

 4,500億円という与信関係費用は2019年度比で見れば大幅な増加にはなりますが、リーマン・ショックの時ほどは拡大しないと見ています。なぜなら、今回のGDPの落ち込みはリーマン・ショックを超えると見られているものの、国内企業の内部留保の高まりにより当社のアセットクオリティが改善していることに加え、国際的な金融規制の規制強化により、各社が資本を積み上げた結果、金融セクターの強靭性が増しているためです。

与信関係費用 与信関係費用

航空機リースビジネス

 SMBC Aviation Capitalが行う航空機リースビジネスはSMBCグループが強みを持つビジネスのひとつですが、全世界的な移動制限を受けて航空会社のキャッシュフローが悪化しており、中には、リース料の支払が困難になっている先も出てきています。

 航空会社によるリース料の支払が滞った場合、リース会社はリース資産である航空機を回収し、再リースを行う等の対応策を取ります。この際、リース料が減額になると将来のキャッシュフローが減少するため、リース資産の一部を減損することになりますが、同社の航空機ポートフォリオは、価格のボラティリティが低いナローボディが中心である上、平均機齢も若いため、機体価値の下落が限定的で、多額の減損には至らないと見ています。

 したがって、短期的な収益減少は避けられないものの、現時点では、2020年度の同社のボトムラインは3~4割程度の減益にとどまると見ています。同社は、当社の持分法適用関連会社であり、出資比率に応じたグループ連結業績への影響で見れば、100億円未満の減益要因になります。

流動性の高いポートフォリオ

流動性の高いポートフォリオ 流動性の高いポートフォリオ

資源関連エクスポージャー

 資源関連与信は7.3兆円あり、これは連結総与信の5.6%にあたりますが、ビジネス分野、地域とも分散が図れているほか、9割は内部格付が高い先となっています。さらに、資源価格の変動影響を受けやすくリスクが相対的に高い非日系の上流やサービス向けは抑制的に運営し、与信額を落としてきています。したがって、現状では、資源セクターでクレジットコストの大幅な増加は見込んでいません。

 ただし、資源価格の急落や今後の需給の見直し等を踏まえ、2019年度に一定のフォワードルッキング引当を計上したほか、2020年度予想にも相応にクレジットコストを織り込んでいます。

資源関連エクスポージャー 資源関連エクスポージャー