サステナビリティの実現に向けた取組

我々、SMBCグループは、三井、住友にルーツを持つ企業グループとして、先達が重んじたサステナビリティへの意志を受け継ぎ、社会において我々が重点的に取り組む課題を設定のうえ、サステナビリティの実現に向けて行動していきます。

サステナビリティの実現に向けた取組 サステナビリティの実現に向けた取組

SMBCグループのサステナビリティ経営体制

 SMBCグループでは、2021年4月に新設したグループCSuOの統括の下、企画部サステナビリティ推進室がグループ全体の施策を企画・立案し、ホールセール企画部サステナブルビジネス推進室がグローバルかつグループ一体でソリューションを提供するハブ機能を担っています。
 グループにおけるサステナビリティ経営の浸透に関する事項やサステナビリティを推進するために必要な諸施策については、グループCEOを委員長とする「サステナビリティ推進委員会」にて協議しています。また、2021年7月には、取締役会の内部委員会として、「サステナビリティ委員会」を新設しました。定期的にグループCSuO、グループCROがサステナビリティ委員会、リスク委員会へ報告を行う等、ガバナンス・経営管理体制の高度化を図っています。
 SMBCグループでは、サステナビリティ経営を加速すべく、役員等の報酬体系にもESGへの取組を定性指標として組み込んでいます。

SMBCグループのサステナビリティ経営体制

グループCSuO メッセージ

 豊かな自然を守る、貧困を根絶する、人種や性別による差別・偏見をなくす。サステナビリティの実現に向けて、近年、世界中の企業が掲げる目標は、どれも「当たり前」の事柄です。しかし、産業界がそんな当たり前のことよりも、短期的な財務的成果を優先させてきた結果、世界は今、気候変動や経済格差の拡大等、さまざまな環境・社会課題を抱えています。
 SMBCグループは、サステナビリティ経営を遂行する上での重点課題として「環境」「コミュニティ」「次世代」の3つを掲げています。とりわけ「環境」は社会の持続可能性の前提となる世代間共通の財産であるとの認識の下、特に注力すべき課題であると位置付けています。しかしながら、環境を守り、持続可能な社会を実現することは、私たちだけで成し遂げられるものではありません。SMBCグループは、グローバルにビジネスを展開する金融機関として、お客さまをはじめとするステークホルダーとの対話を重ね、ともに行動することにより、持続可能な社会の実現に積極的に貢献し、次世代へその社会を受け継ぐという社会的使命を果たしていきます。
 グループCSuOとして、今後、SMBCグループのサステナビリティに関する取組をあらゆる側面から推進し、一段と加速させていく所存です。

グループCSuO 伊藤 文彦

グループCSuO伊藤 文彦

SMBC Group GREEN×GLOBE 2030

 SMBCグループは、「SMBCグループ サステナビリティ宣言」に基づく2030年までの10年間の計画として、「SMBC Group GREEN×GLOBE 2030」を2020年4月に策定しました。
 計画名の“GREEN”は当社のコーポレートカラーと環境、“GLOBE”は地球、国境のない世界を表しており、それらを“×”でつなぐことで足し算ではない掛け算での広がりを表しています。
 2021年5月、気候変動問題への対策を強化すべく、グリーンファイナンス目標と温室効果ガス(Greenhouse Gas, 以下「GHG」)排出量削減目標を上方修正しています。

SMBC Group GREEN×GLOBE 2030

Environment 環境への取組

地球環境は、地域・世代を超えた人類共通の財産であり、健全な地球環境の維持は持続可能な社会を実現する上での大前提であると認識しています。
SMBCグループでは、気候変動をはじめとするさまざまな環境課題と向き合い、
事業を通じて環境課題の解決に貢献することで、将来の世代に豊かな地球を受け継ぐ努力を続けていきます。

気候変動問題への取組

 2021年5月、気候変動問題への対策を強化すべく、気候変動に関するSMBCグループの姿勢を明確化した上、2050年カーボンニュートラルに向けた気候変動対策の長期行動計画「気候変動対策ロードマップ」、現中期経営計画期間中に着手・実行する施策パッケージ「アクションプランSTEP1」を策定しました。主要な施策として、SMBCグループの投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量の把握をはじめ、2030年・2050年に向けた中長期目標を設定します。また、従来のグリーンファイナンス目標の定義を見直し、目標を20兆円上積みしました。
 SMBCグループは、政府の脱炭素社会の実現を目指す方針を支持し、パリ協定の目標に沿ってGHG排出量削減に真摯に取り組んでいきます。加えて、脱炭素社会への移行と実現に資するお客さまの取組を支援していきます。

気候変動問題への取組

アクションプランSTEP1における主要施策

投融資ポートフォリオのGHG排出量把握と中長期目標の設定

 2050年までの長期的な気候変動対応を進めていく上では、SMBCグループの投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量(Scope3)の把握とその中長期目標の設定が重要となります。また、お客さまとともに脱炭素社会を実現するためには、お客さまとの対話(エンゲージメント)をしっかりと行っていく必要があります。まずはGHG排出量の大きい業種(エネルギー・電力)から開始し、順次対象を広げていきます。

SMBCグループ全体のGHG排出量削減に向けた取組の加速

 SMBCグループでは、2020年度まで「三井住友銀行が排出するCO₂を2030年に2018年度対比30%削減する」という目標を掲げていましたが、取組を加速させるべく見直しを行いました。新たな目標として「SMBCグループが排出するGHG(Scope1、2)を2030年において実質ゼロにする」を掲げ、主に再生可能エネルギー由来の電力への切替等の施策を強化していきます。

目標:SMBCグループのGHG排出量

リスク管理体制の強化

 SMBCグループでは、2019年度よりTCFD提言に則り、気候変動に伴うリスクについてシナリオ分析を実施しています。これまでエネルギー・電力セクターを対象に、2℃/4℃シナリオにおける財務影響を分析してきましたが、今後は分析対象の拡大(運輸等のセクター)や1.5℃シナリオにおける財務影響について試算・分析を進めていきます。
 また、今後はブラウンアセット・グリーンアセットについて、国内外の動向、当局要請等の状況も見極めつつ、対象となる資産の分類・精緻化を検討し、モニタリング体制を整備していきます。

TCFD提言に沿った気候変動への対応

 SMBCグループはTCFD提言への賛同を2017年12月に表明し、気候変動シナリオ分析を実施しています。また、脱炭素社会の実現を目指すにあたり、お客さまとともに気候変動に起因する課題の解決に努めており、今後もTCFDレポートの発行(次回は2021年8月予定)を通じた開示の高度化を進めていきます。

ガバナンス

 サステナビリティ経営の推進や気候変動対応に関する方針については、グループCEOを委員長とするサステナビリティ推進委員会や経営会議等での議論を踏まえて事業戦略に反映し、定期的に取締役会に報告しているほか、取締役会の内部委員会である「リスク委員会」において、気候変動リスクに関する報告を行っています。また、2021年度からはグループCSuOの選任や、グループのサステナビリティの取組全般を監督・助言する「サステナビリティ委員会」を設立する等、さらなるガバナンス・経営管理体制の高度化を図っています。

戦略

 SMBCグループは、社会課題の解決に貢献していくために、「環境」「コミュニティ」「次世代」を重点課題に設定しています。パリ協定の実現に貢献するファイナンスに積極的に取り組むほか、気候変動リスクを分析し、気候変動に対する強靭性の確保に向けた取組を進めています。

気候変動に伴うリスク

 SMBCグループでは、気候関連問題の顕在化に伴う外部環境や業務環境の変化をあらかじめ想定し、さまざまな波及経路に基づいてリスク事象を洗い出すことで、当社グループへの財務的影響を特定しています。またTCFD提言に基づき、貸出ポートフォリオに占める炭素関連資産の算定も行っています。

炭素関連資産エクスポージャー(2020年度)

炭素関連資産エクスポージャー(2020年度)

シナリオ分析(対象:三井住友銀行)

 三井住友銀行では、水災を対象とした物理的リスクとエネルギー・電力セクターを対象とした移行リスクに関するシナリオ分析に着手しています。今後は分析対象の拡大(運輸等のセクター)や1.5℃シナリオにおける財務影響について試算・分析を進めていきます。

シナリオ分析(対象:三井住友銀行)

気候変動に伴う機会

 脱炭素社会への移行が進むことで、気候変動関連ビジネスならびにそれに伴うファイナンスニーズの拡大が期待されます。SMBCグループではサステナビリティ全般に関するお客さまの課題解決のため、専門部署(サステナブルビジネス推進室)を設置するとともに、グローバルで体制を強化しています。2020年度には合計約2.7兆円のグリーンファイナンスを実行しており、脱炭素社会への移行に向け、ファイナンス等の側面から貢献していきます。

リスク管理

 SMBCグループでは気候変動リスクをトップリスクのひとつと位置付け、ストレステストによる影響分析を実施しています。また、投融資に際しては特定セクターへの事業別方針を導入しているほか、環境社会リスク評価を実施する範囲を拡大しています。

指標と目標

指標と目標

サステナブルビジネスの推進

 SMBCグループは、本業を通じた環境・社会課題の解決に積極的に取り組んでいます。特に環境関連分野に特化したグリーンファイナンスの取組を強化し、これまで10兆円としていた2030年までの目標額を「グリーンファイナンスおよびサステナビリティに資するファイナンス実行額30兆円(うちグリーンファイナンス20兆円)」と対象を再定義した上で上方修正しました。
 政府が策定した2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略における14の重要分野をはじめ、脱炭素社会の実現に資するお客さまの取組への支援を実施・強化しています。具体的には、三井住友銀行による融資・預金、SMBC日興証券によるESG債等の引受、SMBC信託銀行による設備や敷地の受託、三井住友ファイナンス&リースによる設備リース・開発投資、日本総合研究所によるコンサルティング等、各社それぞれの個性を活かした支援を行っています。
 また、脱炭素社会の実現において中心的な役割を果たすことが期待される水素の社会実装に向けた取組や、農業分野における先進的なビジネス創出等も実施しています。サステナビリティ全般に関するお客さまの経営課題解決をサポートするため、お客さまとの対話(エンゲージメント)を重視し、総合金融グループ一体となってソリューションを提供していきます。

目標:サステナビリティに資するファイナンス実行額

2020年度に取り組んだ再生可能エネルギー案件により、29,728千t相当のCO₂排出削減に貢献(2019年度は17,643千t相当)

地域別内訳(千t)

地域別内訳

投融資におけるESGを配慮した運営

 SMBCグループでは、環境や社会に大きな影響を与える可能性が高い事業・セクターについての方針を公表しており、主要子会社(三井住友銀行、SMBC信託銀行、三井住友ファイナンス&リース、SMBC日興証券)において、それぞれのビジネスに沿う形で導入しています。
 今後もお客さまをはじめとするステークホルダーとの対話を重ね、外部環境を踏まえた見直しを随時検討していきます。

投融資におけるESGを配慮した運営

Social コミュニティへの取組

人々の生活や経済活動が行われる中で、それぞれの主体がつながりを感じ、助け合い、安心して活動できるコミュニティが必要であると考えています。
SMBCグループは、私たち自身もコミュニティの中で活動を行う一員としての社会的責任を全うするため、地域・社会への貢献を続けていきます。

GREEN×GLOBE Partners

 一社・一個人では解決の難しい環境・社会課題に、組織の壁を越えて取り組む事業者コミュニティです。「環境・社会課題解決の『意識』と『機会』を流通させる」ことを目的として掲げ、2020年7月の設立以来163社・団体*1にご参画いただいています。
 毎月1回程度のイベントや環境・社会課題についての独自記事を配信しているほか、環境・社会課題の解決アイデアを考えるワークショップ等を通じてビジネスの種を作っています。

  • *12021年6月30日現在
イベント開催の様子

イベント開催の様子

SMBCエルダープログラム

 超高齢社会の進展に伴い、お客さまのライフスタイルやニーズが多様化する中、健康、安心、生きがいのある暮らし等、非金融領域も含めたサービスを提供する「SMBCエルダープログラム」を開始しました。このプログラムでは、ジェロントロジー検定*2資格を取得する等、幅広い知識を習得した専任のコンシェルジュが、お客さまの困りごとの相談に乗り、サービスのご提案やサポートを行います。
 今後も、社会やお客さまのニーズに応じてサービスの拡充を図ることで、人生100年時代の長寿人生を支え、誰もが安心して自分らしく暮らせる社会の実現に貢献していきます。

  • *2超高齢社会が進む中で、医療・介護・社会保障をはじめ、シニアの心と体や生活等、高齢社会が抱える全体の課題を網羅的に学ぶことができる検定
エルダープログラムパンフレット

エルダープログラムパンフレット

次世代への取組

社会環境が変化していく中、経済や社会が持続可能であり続けるためには、
必要な知識や技術を備えた社会を支える人材の育成が不可欠であると考えています。
SMBCグループは、私たちとともに将来の社会を構築していく、次世代の人材や産業を育むことでサステナビリティを実現していきます。

金融経済教育の提供

 グループ各社が有する知識やノウハウを活かし、さまざまな金融経済教育活動を進めています。
 2020年度は、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、新たにオンラインによるセミナーを開始しました。依頼をいただいた学校の要望に応じて、さまざまな方法でプログラム提供を行い、オンラインセミナーの受講者数は約6万人、対面講義も含めると約13万2千人に金融経済教育を提供しました。
 今後も、子どもから大人まで幅広い世代に向けて、金融経済教育を提供することで、誰もがお金に対する正しい知識を身に付け、安心して暮らせる社会の実現を目指していきます。

目標: 金融経済教育の提供者数
オンラインセミナーの様子

オンラインセミナーの様子

新規事業支援・創出の取組

 次世代の産業を支援する取組として、「未来」プログラムを開催しています。このプログラムでは、アイデアや技術の事業化を目指す方からビジネスプランを募集し、審査会を経て、事業開発に資するアドバイザリー支援やネットワーキング、資金サポート、協賛メンバーとの協業事業支援等、多岐にわたる機会を提供します。
 また、新規事業創出を目的としたオープンイノベーション拠点として、2017年9月に開設した「hoops link tokyo」に続き、2020年9月に「hoops link kobe」を開設しました。両拠点では相互に連携し、ピッチイベントやミートアップ、起業家の裾野拡大を目指したセミナー等のイベントを開催していきます。
 SMBCグループでは、さまざまな企業・投資家等とつながっていくことで、お客さまの成長と自身のイノベーションを実現し、次世代産業の発展に貢献していきます。

「未来」プログラム

「未来」プログラム

hoops link kobe

hoops link kobe