特集:SMBCグループの将来の成長を牽引する主要施策

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マルチフランチャイズ戦略の実現へ向けた取組

 SMBCグループはアジアにおいて、インドネシア、インド、ベトナム、フィリピンを対象国と位置付け、「マルチフランチャイズ戦略」を展開しています。リテールを含むフルラインの金融ビジネスを、高い経済成長が見込まれるアジアの新興国においても展開することで、第2・第3のSMBCグループを創ることを目指しています。

 出資先各社との連携を深めることで、現地支店ネットワークや幅広い金融サービスの提供を通じ、アジアでの事業拡大を目指すSMBCグループのお客さまへ、よりきめ細かなサポート体制の構築を実現していくとともに、アジアの金融業界全体のさらなる発展への貢献と、SMBCグループとしてのアジアにおける成長戦略の一層の強化を図っています。

 前中期経営計画では、インド、ベトナム、フィリピンの各マルチフランチャイズ戦略対象国において、成長の礎となるパートナー企業への出資・買収を実現し、将来のプラットフォーム構築に向けた足掛かりを作りました。

マルチフランチャイズ戦略の実現へ向けた取組

India

 2021年11月に、中小企業や個人向けノンバンク事業を手掛けるFullerton India(現SMFG India Credit Company)の株式を74.9%取得し、連結子会社化しました。出資以降、製造業を中心にインドでサプライチェーンを有する企業に対し、SMBCグループの顧客基盤を活かして、販売金融やディーラーファイナンス、職域ローン等のソリューション提供を開始しています。また、資金調達支援や国内外で蓄積されたノウハウ提供を通じて、インドにおけるSMBCグループのプレゼンス向上とシナジーの実現を図っていきます。加えて、金融サービスが依然として国内全土におよんでいないインドにおいて、SMFG India Credit Companyが強みを持つ地方農村部へのサービス提供を通じ、金融包摂の取組にも貢献していきます。

Vietnam

 2021年10月に、無担保ローンや割賦金融、クレジットカードサービスを行うコンシューマーファイナンス会社現地最大手のFE Creditの株式を、SMBCコンシューマーファイナンスを通じて49%取得し、持分法適用関連会社化しました。出資以降、SMBCグループのお客さまへの現地での各種金融サービスの提供や商品・サービスラインアップの拡充、FE Creditのさらなる成長に向けた協業の推進を図っています。

 加えて、FE Creditの共同株主であり、ベトナム国内で急成長を遂げる商業銀行VPBankとの間で2022年5月に業務提携契約を、2023年3月には資本提携契約を締結しました。VPBankとのパートナーシップを通じ、ベトナムでの事業拡大を目指すお客さまへのサービス提供に加えて、貿易金融やグリーンファイナンス、クレジットカード等、SMBCグループの持つノウハウ提供も進めていくことにより、ベトナムにおいてさらなる事業基盤の強化を図っています。

The Philippines

 2021年6月に、フィリピンで資産規模第6位の地場商業銀行RCBCに対し、4.99%の出資を実行しました。出資以降、両社間で多岐にわたる事業領域での協業機会の検討を進めてきました。RCBCとの協働を通じて、SMBCグループのお客さまの現地での銀行取引の利便性向上のほか、ホールセール向けにはサステナブルファイナンスやプロジェクトファイナンス、リテール向けにはウェルスマネジメントやマス・マーケット向けローン等の商品・サービスの強化に取り組んでいます。さらには、事務効率化やデジタル活用等、幅広いテーマでの協業も開始しています。こうした取組をより加速させていくため、2022年11月には最大20%の持分保有を目指した追加出資契約を締結しました。

さらなる協働・シナジーの創出

 インドネシアにおいては、2013年に現地の商業銀行Bank BTPNを持分法適用関連会社化した後、2019年には連結子会社化、インドネシア三井住友銀行との統合を行い、フルラインの商業銀行プラットフォームを獲得しました。

 こうしたBank BTPNの経営管理やグループ協働の枠組の構築を通じて培ってきたノウハウを最大限活用し、インド、ベトナム、フィリピンにおけるマルチフランチャイズ戦略の実現を加速させていきます。

 また、SMBCグループと出資先との1対1の協働やシナジーにとどまらず、出資先間も含めたネットワークや協業体制を構築し、さらなるシナジーの創出を図っています。

 具体的には、アジアの各出資先のCEO・主要経営陣による会議の開催や、提携先のさらなる事業強化に資するFinTech投資を行うCVC「SMBC Asia Rising Fund」の設立等を通じて、SMBCグループのアジアにおけるプラットフォーム強化につながる各種施策を実行しています。

出資先との連携強化の取組

 SMBCグループは、出資先間での協業も推進することで、より大きなシナジーの創出を目指しています。2022年11月には、出資先間での相互理解や協業可能性のディスカッションを目的としたAsia Partners Executive Summit(APES)を開催しました。

 APESでは、Bank BTPN、SMFG India Credit Company、FE Credit、RCBCのトップマネジメントが三井住友銀行本店に集まり、SMBCグループの経営陣とのディスカッションを行い、グループビジョンや事業戦略、ESGの取組、ガバナンスポリシーについて理解を深めました。

 また、出資先同士で各々の事業環境や成長戦略、デジタル領域の取組について共有し、相互理解を深めることができました。各社共通して事業展開するコンシューマーファイナンス領域においては、三井住友カード、SMBCコンシューマーファイナンスでの取組の紹介や、出資先同士で面談する機会を設定し、具体的な協業策についてディスカッションを実施しました。APES実施後には、多岐にわたる分野において知見共有が進み、SMBCグループと各出資先および各出資先間の連携が加速しています。

出資先との連携強化の取組

海外証券ビジネスの強化

 SMBCグループでは、「グローバルCIB・グローバルS&Tの強化」を重点領域のひとつとし、中でも世界最大のキャピタルマーケットである米国の証券・投資銀行ビジネスの強化に取り組んでいます。

 2021年7月に、米国の独立系証券会社の最大手Jefferiesと戦略的資本・業務提携契約を締結し、2023年4月には、Jefferiesに対する経済持分を最大15%まで追加取得することを発表しました。適切な情報管理およびガバナンス体制の下、両社共通ブランドで金融サービスを提案する共同カバレッジ体制を構築し、既存の提携分野に加え、主に米国の投資適格の大企業に、M&Aアドバイザリーおよびエクイティ、デットキャピタルマーケッツ業務における協業を進めていきます。

 SMBCグループが有するグローバルな顧客基盤や、レンディングおよびデットキャピタルマーケッツ機能と、Jefferiesの卓越した業界知見やM&Aアドバイザリー、エクイティキャピタルマーケッツ等の機能を組み合わせ、業界トップクラスの金融サービスを提供していきます。

海外証券ビジネスの強化

SMBCグループのインオーガニック戦略

出資ターゲット
 「中長期的な成長に向けたビジネスプラットフォームを創るための投資」と「早期に利益貢献が期待可能な、資産・資本効率の高い投資」の2つの軸を据えています。

投資規準・ディシプリン
 健全性の確保を前提に、株主還元と成長投資にバランスよく資本を配賦するという資本政策の基本方針の下、①SMBCグループの戦略に合致すること、②ROCET1が9.5%以上展望できること、③リスクマネジャブルであることの3つを投資規準としています。また、社外取締役やCxO部署と議論の上、ディシプリンを徹底し出資機会を検討しています。加えて、戦略的重要性が低下した案件や、不採算アセットは売却や入替を検討します。前中期経営計画では、ベトナムのEximbankとの提携を解消し、VPBankとの提携を開始しました。ポートフォリオの機動的な見直しを行い、より資本効率の高い投資を目指していきます。