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新規事業誕生の舞台、SMBCグループのオープンイノベーション拠点「hoops link tokyo」

東京・渋谷にあるSMBCグループのオープンイノベーション拠点「hoops link tokyo(フープス・リンク・トーキョー 以下、hoops)」。2017年9月のオープンから4年余り、この場所からさまざまなオープンイノベーションが生まれてきた。今回はオープンからの軌跡やイノベーションの成果を紐解いていく。

国内外の多様なプレイヤーがフラットに誰とでも繋がれる場

hoopsのコンセプトは「くぐると何かにつながる輪」。社会課題の解決につながる新しい事業・サービスの創出や既存事業・ サービスの活性化・高度化等を目的としている。スタートアップから大企業に至る幅広い企業・行政・学術研究機関・NPO等が、課題を持ち寄り集まり、産官学が連携し、それぞれの技術・知識・ノウハウ・ネットワーク等の強みを活かして課題を解決するなど、「新たな出会い・アイデア・挑戦」が生まれることを企図している。

現在は新型コロナウイルス感染拡大の影響で限定的な運用となっているが、コロナ禍前のように徐々に会員がhoopsに戻り、新規事業のブレストなどビジネスに関する気軽なコミュニケーションができるスペースとして利用されている。

「hoops」のミッション①:SMBCグループの新規事業の種創出

hoopsと中心としたイノベーションエコシステムも構築されている。エコシステムの構築に一役買ったのが、hoopで定期的に開催されていた異業種企業との共創プログラム「SMBC BREWERY」だ。元々はSMBC各社と外部企業との連携によるビジネス開発プログラムで、業種や規模を超えた多くの企業が対等な関係として一堂に会し、ワークショップを軸に異業種間連携が促進されてきた。

実際に生まれた協業もある。SMBC日興證券と将棋AIで有名なHEROZ社は2019年、日興の個人顧客向けに「AI株式ポートフォリオサービス」「AI株価見守りサービス」をリリースした。SMBC BREWERYは10回の開催で45社が参加、創出されたアイデアは500件にのぼっている。また、SMBCと三井住友カード(SMCC)が2020年、SMBC BREWERYで生まれたアイデアを基に共同特許(情報配信システム)を取得するなど、グループ内でも一定の成果を生んでいる。

hoopsは国内だけでなく、アメリカのシリコンバレーやアジアに拠点を置く海外のベンチャーキャピタルともパートナー連携している。国境を跨いだビジネス創出も少しずつではあるが成果を出しており、今後も内外の連携を強化していく。

「hoops」のミッション②:SMBCグループ従業員のマインドセット変革

企業組織全体をデジタル時代にふさわしい企業文化に変化させるためには、社内のマインドセットを変え、変革のモチベーションを上げるカルチャーを醸成していく必要があると考えている。ベンチャー経営者を招き、事業開発のノウハウや経営者の志などを熱く語る「経営者道場」というイベントを開催し、「SMBCグループが表明した社長製造業宣言を現実にしていく場」として、従業員に刺激と知識を提供している。2019年にSMBCグループと弁護士ドットコムの協業で設立された「SMBCクラウドサイン」は、担当者同士がhoopsで出会い事業アイデアを共に練り上げたことがきっかけとなっている。経営者道場にも弁護士ドットコムの創業者である元榮太一郎会長に登壇をいただき事業経営の気概を会得すると共に構想を具現化。会社設立時の記者会見もhoopsで実施をした、hoops生まれhoops育ちの新規事業創出と言える。マインドセットの変革から実際の新規事業の創出にも貢献をしている。

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この記事でご紹介したサービス
ベンチャーキャピタル
(Venture Capital)

類義語:

未上場の新興企業(ベンチャー企業)に出資して株式を取得し、将来的にその企業が株式を公開(上場)した際に株式を売却し、大きな値上がり益の獲得を目指す投資会社や投資ファンド。

エコシステム
(Ecosystem)

類義語:

各社の製品の連携やつながりによって成り立つ全体の大きなシステムを形成するさまを「エコシステム」という。

オープンイノベーション
(Open Innovation)

類義語:

製品開発や技術改革、研究開発や組織改革などにおいて、自社以外の組織や機関などが持つ知識や技術を柔軟に取り込んで自前主義からの脱却し、市場機会の増加を図ること。