社会的価値の創造・経済的価値の追求

事業部門

事業部門の戦略 リテール事業部門

ビジネスを通じて社会課題を解決し、社会的価値と経済的価値の両立を追求します。
お客さまの「豊かな生活」「幸せな成長」の実現に貢献し、「困った時に一番頼りになる金融グループ」を目指します。

リテール事業部門実績
執行役専務 リテール事業部門長 山下 剛史

 リテール事業部門は、資産運用ビジネス・決済ビジネス・コンシューマーファイナンスビジネス等の主要分野で、各業界トップクラスの企業がグループ総合力を活かしたサービスを展開しています。

 2023年度、資産運用ビジネスでは、銀証信一体のコンサルティングによりAM・外貨残高が3.7兆円増加の17.2兆円、決済ビジネスは買物取扱高が4.6兆円増加の34.8兆円、コンシューマーファイナンスビジネスにおいても、消費活動の回復によりファイナンス残高が0.2兆円増加の2.6兆円と、各ビジネスで大きく業容を拡大しました。

 2024年度についても、中期経営計画の達成に向けて、主要ビジネスの各施策を着実に実行していきます。

 加えて、金利上昇により、今後預金の収益性拡大が見込まれるため、社会的インパクトが大きく、利用拡大が期待できる「Olive」を通じて、より一層の顧客基盤・預金残高の拡大を図ります。

 リテールビジネスに取り組んでいくことは、資産運用立国の実現に向けた資産形成の促進、キャッシュレス化の進展、高齢化に伴う人生100年時代の到来といった世の中の変化に伴う社会課題を解決し、社会的価値を創造することそのものです。資産運用ビジネスでは、新NISAの推進や金融経済教育セミナーを通じて、個人の健全な資産形成の後押しと同時に、市場へのマネー供給により日本の持続的な成長を後押しします。

 決済ビジネスでは、全面的にキャッシュレス決済の大阪・関西万博を見据えた上で、「stera」や新「Vポイント」等を通じて、事業者と消費者の決済における課題を解決し、日本のキャッシュレス比率をさらに向上させていきます。

 さらに、ライフシフトビジネスでは、「SMBCエルダープログラム」等により、高齢なお客さまの多様化する不安を解消し、人生100年時代における社会課題を解決していきます。

 こうした取組を通じ、お客さまの豊かな生活や、「幸せな成長」の実現に貢献していきます。

事業部門の戦略 ホールセール事業部門

国内企業のお客さまに対し、資金調達、運用、決済等に関連したサービスや、M&Aアドバイザリー、リース、不動産仲介等、さまざまなニーズに対応するソリューションをグループ一体となって提供し、日本の再成長に貢献していきます。

ホールセール事業部門実績
執行役副社長 ホールセール事業部門長 金丸 宗男

 パラダイムシフトとも言える環境変化により、企業のコーポレートアクションは一層活発化しています。そのような中、複雑化・高度化するお客さまの経営課題に丁寧に向き合い、グループ一体でのソリューションを提供することで、2023年度は大幅な増益となりました。さらに、不動産やPEファンドといった高付加価値・高採算ビジネスの推進等が寄与し、ROCET1も当初計画を上回る数値で着地しました。

 今後も環境変化は継続し、SMBCグループにとっても引き続き多くのビジネスチャンスが見込まれます。好調なモメンタムを維持・拡大するため、グループ間での連携を深め、お客さまにとってより高付加価値なソリューションの提供を目指します。多様化する運用・調達ニーズに的確に対応することに加え、成長領域におけるリスクテイク強化を図ります。2023年にスタートした中期経営計画の着実な実行により、中長期的な核となるビジネスを構築していきます。

 また、グループ一体でお客さまのビジネス変革を推進し、日本の再成長を牽引することが、社会的価値の創造につながると考えています。脱炭素化・トランジションをはじめとする課題に対し、お客さまの取組へのサポートや、お客さまとの共創を通じた課題解決により、お客さまとSMBCグループ双方の社会的価値の創造を図ります。そのために、お客さまが考える社会的価値とは何かについて、丁寧に対話していきます。この取組がお客さまの持続的な成長につながり、そのようなお客さまとの継続的な関係構築により、SMBCグループの経済的価値も追求できると考えています。一体不可分である社会的価値・経済的価値をより高いレベルで志向し、企業価値のますますの向上を目指します。

事業部門の戦略 グローバル事業部門

グローバルCIBやマルチフランチャイズ戦略等の広範な事業ポートフォリオを強化し、重点領域への資源投入を進めることで、成長ドライバーとしてグループを牽引します。
グループ一体で国内外のお客さまに貢献するグローバルソリューションプロバイダーを目指します。

グローバル事業部門実績
執行役専務 グローバル 共同事業部門長 百留 秀宗 執行役専務 グローバル 共同事業部門長 中村 敬一郎

 2023年度は想定を上回るインフレ・高金利環境の継続、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の不安定化といった地政学リスクの高まり等、引き続きボラタイルな業務環境となりましたが、中期経営計画の1年目としてさらなる成長の土台を築くことができた年でした。具体的には、Jefferiesとの協働エリアの拡大や証券プロダクトの拡充を通じたグローバルCIBビジネスの強化を着実に進めました。加えて、注力領域である米国事業において、2023年7月にデジタルバンク「Jenius Bank」の開業を果たし、リテールビジネスを開始しました。このように、成長領域を取り込み、事業の多角化を着実に進めています。マルチフランチャイズ戦略では、インド郊外・農村部に幅広く拠点を持つノンバンクのSMFG India Credit Companyを完全子会社化する等、対象国においてプラットフォーム強化を進めることができました。

 このように成長拡大に注力する一方で、ポートフォリオ見直しの一環として、米国の貨車リース会社SMBC Rail Servicesやベトナムの大手商業銀行Eximbank株式の売却を行う等、質の伴った成長に向けたリソース捻出の取組も着実に進めています。こうした取組を通じて、2023年度は増収増益・ROCET1伸長を達成するとともに、今後の成長につながる基盤整備も着実に進捗し、手応えを感じています。

 2024年度は当初計画を上回る成長を実現するため、継続的に重点領域への資源投入を進めるとともに、業務環境の変化に応じて、機動的に事業ポートフォリオおよびビジネスモデルの見直しを進めていきます。また、事業規模の拡大に伴って、グローバルな社会課題の解決に対するステークホルダーからの多様な期待が高まっており、環境問題や貧困・格差、DE&Iや人権問題等について、グループベースで知見を蓄積し、連携して活用することで、社会へのインパクトの極大化を目指します。

事業部門の戦略 市場事業部門

マーケットリスクのプロフェッショナルとして、自らのリスクテイクを深化させるとともに、お客さまに対して高い付加価値を持続的に提供していくことを目指します。

市場事業部門実績
執行役副社長 市場事業部門長 小池 正道

 市場事業部門は、外国為替・デリバティブ・債券・株式等の市場性商品を通じたソリューション提供をはじめ、バランスシートの流動性リスクや市場リスクを総合的に管理するALM業務を行っています。

 その業務において我々が最も重視していることは、世界中で起こるさまざまな事象を「3つのI」-Insight(洞察力)、Imagination(想像力)、Intelligence(情報力)によって深く分析し、これから起こる相場を読み解くこと、すなわち、世の中の本質を見抜く力です。  現在、世界の分断化等を背景としたパラダイムシフトによって、誰もが、過去30年以上経験することのなかった新たなマーケット環境に直面しています。さまざまな場面において従来の考え方が通用しなくなることも想定されますが、我々は、この新たな環境に柔軟に対応し、先行きを見据えて果敢に行動していくことで、絶えず進化を続けていきます。

 2023年度は、米欧の利上げが止まった一方、日本は金融政策正常化に舵を切り、市場参加者の思惑等によって先進国の金利や株価は大きく変動しましたが、我々のポートフォリオ運営では適切にリスクをコントロールしつつ投資機会を着実に捉えて収益を計上しました。また、安定した外貨調達によりお客さまを資金繰り面で支えるとともに、S&Tのグローバル連携体制を強化し、お客さまに最適なソリューションを提供してきました。

 我々は、このような経済的価値の追求だけでなく、社会的価値の創造にも積極的にかかわっていきます。従来行ってきたグリーンボンド発行に代表されるGX支援に加え、社会全体の金融リテラシー向上や資産運用業界の活性化といった新たな分野においてもさまざまな取組を推進していくことで、お客さまや従業員の「幸せな成長」を後押ししていきます。