総合金融サービス「Olive」で人々の「幸せな成長」に貢献

「Olive」のサービス提供を2023年3月に開始してから1年が経過しました。
利用促進に向けて、4名のプロジェクトメンバーがどのようなことに取り組んできたのか対談を行いました。
(左下)
三井住友カード(SMCC)
マーケティングユニット
OliveマスプロモSQ プロダクトオーナー(PO)兼
SMCCブランド統括SQ PO
青葉 渉 「Olive」のほか、Vポイント、ナンバーレスカード等のマスプロモーションを担当
(左上)
三井住友銀行(SMBC)
リテールマーケティング部
マスプロモーションSQ
山田 茉椰 「Olive」「Olive LOUNGE」のマスプロモーション、市場調査等を担当
(右下)
三井住友銀行(SMBC)
リテールIT戦略部 兼 リテールマーケティング部
Olive既存切替SQ プロダクトオーナー(PO)
橋本 和也 「Olive」に関するマーケティング施策の策定・実行を担当
(右上)
三井住友カード(SMCC)
IT戦略ユニット(当時)
デジタルストラテジーSQ 兼 ポイント統合SQ
辻岡 優斗 SMCCの「Vpassアプリ」「VポイントPayアプリ」の企画・開発を担当
「Olive」は、銀行口座、カード決済、オンライン証券、オンライン保険等の機能を、アプリ上でシームレスに組み合わせた個人のお客さま向けの総合金融サービスです。
SMBCの「三井住友銀行アプリ」、SMCCの「Vpassアプリ」の双方から各種サービスにアクセスでき、日常的な決済や、資産形成・運用等の各種サービスの残高・各種明細をまとめて管理することが可能です。また、キャッシュカード、クレジット、デビット、ポイント払いという4つの機能を手元のアプリで切り替えできる、Visaが開発した新機能を使用した世界初の「フレキシブルペイ」を搭載しているほか、サービスの利用状況に応じて対象のコンビニ・飲食店で高還元率のポイントが付与されます。
SMCC 青葉 私は「Olive」のマスプロモーション全般を担当しています。「Olive」は全く新しい概念のサービスのため、お客さまに全体像をすぐにはご理解いただくのは難しいですが、魅力に感じていただける要素は数多くあります。
ローンチ当初は、SMBCとSMCCが同じフレームのTVCMで、これまでにない独自の世界観、世界初のフレキシブルペイ等の機能性、高いポイント還元率等を訴求し、インパクトを重視しました。また、プレスリリースの際には、大々的な発表会を行いました。太田グループCEO(当時)をはじめ、SMCC、Visa、SBI証券のトップが登壇する等、金融サービスとしては異例の規模でPRを実施したこともあり、TV、新聞、Webをはじめ各種メディアに大々的に取り上げられました。その結果、お客さまからの反響も大きく、キャンペーンやSNS投稿等も賑わい、話題性のある新サービスの立ち上がりになったと思います。
SMBC 山田 私は「Olive」関連の市場調査に携わっており、プレスリリース後から毎月1万人程度のアンケートを回収し、分析を行っています。リリース時、「Olive」の認知度が0%の状態から、各種プロモーションが奏功し、現在では6割弱になりました。ただし、想定通りではあったものの、認知度に対して理解度は低位にとどまり、なかなか口座開設にまで至りませんでした。革新性と多機能性は、魅力的である反面、理解のしづらさにつながりやすいことも事実です。特にローンチ直後は、女性ユーザーにこの傾向が見られました。今後は、サービスを知っているだけではなく、その機能や価値を理解し、使ってみたいと思っていただけるようなコミュニケーション、つまり認知から一歩先へと進むためのアプローチが重要だと考えています。
SMCC 青葉 ローンチ当初は革新的な商品というイメージ形成も重要ですが、次の展開として、情報感度が高いお客さまだけでなく、もっと一般のお客さまにも自分事として「Olive」を捉えてもらえるように展開していきました。たとえば、若年層、主婦、ビジネスパーソン等多様なライフスタイルに「Olive」を提案する広告や、吉高由里子さんをCMに起用し、まだ「Olive」ユーザーではない役柄を演じていただきました。ほかにもPRやヒット商品ランキング等の評判づくりにも努め、金融サービスに高い関心を持つアーリー層のみならず、マジョリティ層の口座開設数も徐々に増やしていきました。
SMCC 辻岡 私はSMCCの「Vpassアプリ」の開発に携わっており、「Olive」のローンチに向けて、SMBCの「三井住友銀行アプリ」とのシステム連携を担当しました。「Olive」では、各種サービスに双方のアプリからアクセスできる仕組となっています。もともと「三井住友銀行アプリ」は銀行のお客さま、「Vpassアプリ」はクレジットカードのお客さまが利用するアプリで、それぞれに適した仕様になっていましたが、「Olive」は双方にまたがる総合金融サービスであり、どちらを使っても違和感がないように設計し直す必要がありました。そのため細かな機能やデザインに至るまで、「三井住友銀行アプリ」の担当者と密なコミュニケーションを取るように努めました。双方のアプリを利用しても違和感がないようなユーザーインターフェース(UI)や体験(UX)を実現するために議論を重ね、足並みを揃えながら、それぞれのアプリの仕様に反映していきました。
SMBC 橋本 私は2021年にSMBCに中途採用で入社し、一貫して「Olive」にかかわる業務に携わってきましたので、「Olive」には大変思い入れがあります。直近では、既存の銀行口座保有者の「Olive」への切替施策のマネジメントを担当し、「Olive」の目標である「5年間で1,200万アカウント」に向けた推進責任者を務めています。
ローンチ初年度となる2023年度は「1年で200万アカウント」を目標に、新規口座獲得に向けたプロモーションを展開しました。たとえば、「Olive」の口座を開設したお客さまが別のお客さまに紹介し、その方も口座を開設した場合には、双方にポイントを付与するプログラムを開始しました。初年度の新規口座開設件数のうち、10%弱が紹介プログラム経由であり、マジョリティ層の口座開設数を増やすための施策として機能したと評価しています。
こうした取組を通じて、「1年で200万アカウント」という目標を達成することができました。実は年度末に差し掛かった頃には、当初目標には届かないのではないかという試算が出ていたのです。しかし、「5年間で1,200万アカウント」という大きな目標に向けた大切なスタートの年ということもあり、何としてでも達成したいという強い思いがありました。そこで、三井住友銀行の口座を保有しているお客さまの「Olive」口座への切替をメインターゲットとし、デジタルおよび店頭の双方から、あらゆる手段を尽くした結果、最後の追い込みで約3万件の新規アカウントを獲得することができました。プロジェクトメンバーの協力はもちろん、「Olive」にかかわるすべてのメンバーの協力があってこそ達成できたことであり、大変喜ばしく思っています。
SMCC 辻岡 さらなる新規口座獲得に向けて、起爆剤のひとつになるのが2024年4月に実施した「Vポイント」と「Tポイント」の統合です。統合後は、青と黄色の「Vポイント」に一本化されました。SMCCが運営してきた旧「Vポイント」の会員数は約1,600万人であるのに対し、CCCMKホールディングス(CCCMKHD)が運営してきた旧「Tポイント」の会員数は約7,000万人であり、SMBCグループとしては、ポイント会員数の規模が大きく拡大することになりました。私自身は、ポイント統合に向けたシステム開発のプロジェクトに携わり、CCCMKHD側の担当者と、それぞれのアプリのUIやUXについて何度も議論を交わしました。意見がぶつかることもありましたが、お客さまのことを第一に考え、真に使いやすいアプリとすることを共通の目標として、互いに擦り合わせながら作り上げていきました。

2024年4月よりVポイントとTポイントが統合
SMBC 山田 アンケート調査からも、旧「Tポイント」のネームバリューがもたらす効果が綺麗にデータとして表れており、ポイント統合に伴って「Vポイント」の認知率や利用率が一気に上がったことが見て取れました。新たに口座を開設することや、クレジットカードを作ることは、お客さまにとって一定の心理的な障壁があります。まずは日々の買い物で気軽に「Vポイント」を貯めたり使ったりして利得性・利便性を感じていただき、同じVポイントを貯められる「Olive」に魅力を感じていただくという流れができてくることを期待しています。
SMBC 橋本 2024年1月には、「少額投資非課税制度」(NISA)の大幅な制度拡充が図られ、「新NISA」がスタートしましたが、それによって「Olive」の新規口座開設数が増えました。これは、「Olive」とオンライン証券の連携機能やサービスが評価された一例と言えるでしょう。
「Olive」は大きな可能性を秘めたサービスです。さらなる機能を追加する等、さまざまな手段を講じることで、進化する余地が大いにあります。「5年間で1,200万アカウント」という目標は決して容易なものではありませんが、私個人としては、将来的には1,500万件や2,000万件という水準を超えていき、「Olive」を通じてあらゆるお客さまの生活を豊かにすることに貢献できればと思っています。
SMBC 山田 私は現在、リテールマーケティング部に所属していますが、もともと銀行の支店で営業活動に従事していたので、営業サイドのことも理解しています。「Olive」は多様な切り口で魅力を伝えられるサービスですので、市場調査を通じて得られた知見はもちろん、営業店での業務経験もプロモーションに活かしていきたいです。
SMCC 辻岡 「Olive」は完成したサービスに見えるかもしれませんが、まだまだ未完成で、引き続きアップグレードすべきところがあります。お客さまの声に耳を傾けながら、サービス・システムの見直しを行っていきたいと考えています。その過程で、金融だけではなく、さまざまな業界の関係者と協力する必要が出てきます。自分自身も金融の枠に縛られない発想を大事にし、「Olive」の進化に貢献できる人材となれるよう、研鑽し続けていきます。
SMCC 青葉 SMBCグループは伝統ある規模の大きな企業体であるため、世の中からは保守的な印象を抱かれがちです。しかし、「Olive」にかかわり、個人のお客さまや企業の方の意見を伺うと、イノベーティブでチャレンジングな取組だと捉えられています。SMBCグループでは、中期経営計画における基本方針の中で「幸せな成長」に貢献することを掲げていますが、私自身としても、「Olive」という金融ベースのインフラを通じて、さまざまなお客さまの生活を少しでも豊かにしたいという思いを持っています。「Olive」は、世の中に広く価値を提供できる「進化を続けるNEW STANDARD」ですので、チームで最大限力を発揮し、引き続き推進に努めていきます。
柔軟な組織体「スクアッド」で、プロジェクトを推進
「Olive」に関するプロジェクトは、「スクアッド(SQ)」と呼ばれる柔軟な組織体を中心に進められました。
もともとは会社、本部、部署をベースとした運営でしたが、ニーズ対応力の強化や、スピードの向上等を目的に、スクアッド単位のアジャイル組織を導入し、臨機応変な業務遂行が可能な体制に移行しています。
柔軟な人事権、直線的な意思決定プロセス構築、権限委譲を進めることで、組織の枠に囚われずに、新たに発生する顧客ニーズや課題にタイムリーに対応しています。
共通のミッションやKPIのために、さまざまなノウハウやスキルを持ったメンバーが会社や部署の垣根を越えて集められ、「Olive」の企画・開発および、継続したアップグレードが行われています。