社会的価値の創造・経済的価値の追求

お客さまとともに発展し、日本の再成長に貢献 キオクシアHD案件から見えるグループ間連携
  • 01 佐塚 将一 三井住友ファイナンス&リース(SMFL)
    東京営業第一部 上席部長代理

  • 02 松木平 誠 三井住友銀行(SMBC)
    アセットファイナンス営業部 部長代理

  • 03 森 成輝 三井住友銀行(SMBC)
    企業戦略営業部 部長代理

  • 04 市川 悠斗 三井住友銀行(SMBC)
    本店営業第二部 部長代理

  • 05 瀧 雄介 三井住友銀行(SMBC)
    企業調査部 グループ長

  • 06 下田 力 SMFLみらいパートナーズ
    電子デバイス設備部 部長

(SMBC 企業調査部)

 大口融資の際に企業の信用調査をするアナリスト業務を担当していますが、近年コーポレートアクションが活発化し、大型のMBOやM&Aに関する相談が増えているという実感があります。この背景には、コーポレートガバナンス・コードの浸透や東京証券取引所の市場区分見直しを契機として、企業の経営戦略がより一層株主や企業価値を重視する方向へシフトしている状況があると考えられます。

市川(SMBC 本店営業第二部)

 このような変革を捉え、SMBCグループはお客さまのコーポレートアクションをサポートするさまざまな提案を行っています。私は半導体業界の主要企業を担当していますが、2024年9月に、キオクシアホールディングス(以下、キオクシアHD)とSMBCを含む銀行団との間で、半導体製造設備等を対象とする新たなファイナンススキームを用いた融資枠契約を締結しました。

(SMBC 企業戦略営業部)

 キオクシアHDは東京証券取引所への上場を目指しており、既存借入のリファイナンスと、成長戦略のための資金調達を含めた財務戦略を投資家に示す必要がありました。そのための資金調達支援の検討を進める中で、国からの半導体産業への補助金を受けていると、補助金対象設備の所有権移転が制限され、通常のリース契約が適用できないという事態に直面しました。これを受けて、設備の価値に着目した新たなファイナンススキームを構築することにしました。

松木平(SMBC アセットファイナンス営業部)

 今回のファイナンスにおいては、動産の価値の評価方法と期中管理のあり方が重要な論点でした。この点において、SMFLおよびSMFLみらいパートナーズが銀行にはない知見を有していたことが、プロジェクト推進の大きな助けになりました。期中管理においては、銀行員による工場への定期的な訪問による目視確認だけでは、対象設備の詳細な状況を把握しきれないという課題がありました。しかし、本件ではSMFLみらいパートナーズの担当者が工場に駐在していることによって、設備の状況を的確に把握できるため、正確な設備評価と期中管理が実現しました。

下田(SMFLみらいパートナーズ)

 SMFLみらいパートナーズは、半導体製造装置の中古売買も業務として長年取り組み、実取引に基づく物件評価と期中管理のノウハウを蓄積してきました。今回のファイナンススキームではモノに関する知見を活かし、動産担保評価と期中管理の提供により対価を得るという新たなビジネスモデルを構築しました。グループで連携を深める中で創出した新たな付加価値をお客さまへ還元し、ひいては半導体産業の成長にも貢献することができ、大変嬉しく思っています。

佐塚(SMFL)

 SMFLで与信を採り上げる上では、瀧さんの調査レポートや、市川さんからの情報連携を基に、審査上の論点をクリアしていきました。このほかにも法律上の論点や契約条項等整理すべき事項が多くあり、上場に向けて時間も限られていましたが、SMBCと密に連携を取ることで成約に漕ぎつけることができました。また、今後類似の案件があれば、横展開できるような枠組も構築しています。

市川(SMBC 本店営業第二部)

 時にお客さまとも厳しい議論を行いましたが、最終的にはお客さまの経営課題に対して解決策を提供することができ、経営理念に掲げる「お客さまと共に発展する」ことに資することができた案件だと考えています。

 また、足元では政策金利の引き上げが段階的に進んでおり、金利ある世界でお客さまの資金調達手法も多様化しています。環境変化も踏まえつつ、お客さま一社一社との対話を通じて経営課題を理解し、今回のキオクシアHD案件のような付加価値のあるソリューションのご提供に努めていきたいと思います。

(SMBC 企業調査部)

 今回の連携を通じて、単発の案件調査にとどまらず、中長期的な視点で知見を活かすことの重要性を改めて認識しました。今後もお客さまへの戦略提案や、新たなリスクテイクが期待できる産業や領域に関する調査に前向きに取り組み、企業の成長支援を通じて、マテリアリティのひとつである日本の再成長に貢献していきたいと考えています。