CSuO × グローバル・アドバイザー対談

全員参加から広がる社会的価値創造の取組の輪
  • (左) Paul Polman (略歴)2023年3月にSMBCグループ・グローバル・アドバイザーに就任。ユニリーバCEOとして在任中、ブランド戦略の中核に社会課題解決を据えた事業計画「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン」を導入し、サステナビリティと企業成長の両立に尽力した。

  • (右) 髙梨 雅之 執行役員 グループCSuO

SMBCグループ・グローバル・アドバイザーのPaul Polman氏とグループCSuOの髙梨雅之が、SMBCグループの社会的価値創造の取組や今後の展望について意見交換をしました。

髙梨: SMBCグループでは、社会的価値の創造にグループ一丸となって取り組む全員参加を重視してきました。現中期経営計画が始動してからの2ヵ年で、従業員がお客さまを取り巻く社会課題にも目を向け、その解決に向けた対話を行う等、具体的な変化が現れてきたと手応えを感じています。

Polman: SMBCグループの社会的価値創造への取組は、比較的短期間で着実な進展を見せていると思います。特に重要なのは、社会的価値の創造に取り組んでいけば企業の成長に直結するという認識が、組織内で理解され始めていることです。私がユニリーバでCEOを務めていた当時の経験を振り返ると、こうした考え方が社内で浸透するのに約5年の歳月がかかりました。そのため、SMBCグループがスピード感を持って従業員の意識改革に取り組んでいる点を評価しています。特に、従業員が国内外の各拠点で社会的価値創造に取り組む「シャカカチDAY」の実施といったユニークな取組を通じて、一人ひとりの主体的な行動を後押ししている点に注目しています。加えて、経営陣のコミットメントとして、役員等の報酬制度にサステナビリティに関する指標を評価項目として組み込んでいる点も素晴らしいと思います。従業員と経営陣が一丸となって取り組む姿勢が伝わってきます。

髙梨: ありがとうございます。また、SMBCグループの全員参加にとどまらず、社会的価値創造の取組の輪を社会全体に広げていきたいと考えています。中でも、金融機関としての機能を活かし、社会課題解決にお金を回す仕組作りにも精力的に取り組んでいます。足元では、スタートアップ企業を対象としたインパクト投資の開始や、富裕層のお客さまと社会課題に取り組む非営利団体等との橋渡しをするフィランソロピーアドバイザリーサービスの提供等、社会的価値創造の好循環を生み出す商品開発を進めているところです。また、こうした取組の成果をインパクトという新たな「物差し」を用いて示した「インパクトレポート」を、2024年に大手金融機関として初めて発行しました。

Polman: SMBCグループが他社に先駆けて行った「インパクトレポート」の公表は、単なる情報開示にとどまらない意義のある取組です。社会的価値創造の取組やその成果を、インパクトという新たな「物差し」によって定量的に評価し、目に見える形で公表することにより、社内外において社会的価値創造の機運を高めることにも寄与できると考えます。

髙梨: おっしゃる通り、社会や環境に与える正負両面のインパクトが企業価値を測る新たな「物差し」として重要性を増すと考えていますので、引き続き先進的な開示にチャレンジしていきます。また、社会的価値の創造に向けた取組は、SMBCグループ単独で実現するには限界があることから、さまざまなステークホルダーとのパートナーシップの構築にも注力しているところです。2024年からアカデミアとの連携を強化し、複数の大学と社会課題を起点とした共同研究やその成果の社会実装、人材育成等を進めています。NPOや企業との協働も積極的に推進しています。

Polman: 加えて、環境に関する取組においても、SMBCグループが他の金融機関に先んじて「Transition Finance Playbook」を公表した点は素晴らしいです。世界のエネルギー投資の動向を見ても、クリーンエネルギー投資は2024年に2兆1,000億米ドルに達し、クリーン経済は2030年までに15兆米ドル規模に成長すると見込まれています。エネルギー転換を支援していくことは金融機関としての重要な責務と言えるでしょう。世界は現在、気候変動や生物多様性の喪失、貧困や不平等といった複数の危機が同時に進行する「ポリクライシス」の状態にあります。厳しい状況ですが、大きな時代の転換期において新たな提携が生まれています。テクノロジーが加速的に進展していく中で、SMBCグループは変化の潮流を捉え、着実に前進していると確信しています。今後も、より持続的で包括的な社会の実現のために貢献するグローバルな金融グループとして成長していくことを期待しています。

髙梨: 本日の議論を通じて、私たちの取組が少しでも社会に良い影響を与えられているということを改めて確認することができました。今後も、社会の「幸せな成長」の実現と我々の企業価値向上という大きな目的の達成に向け、社会的価値創造の取組をリードし、それをグループの強みとして確立できるよう、私自身も含めた全員参加で課題解決のアクションを起こしていきます。