事業戦略
(写真 左から)
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三井住友銀行
事業開発部 深津 英貴 -
三井住友銀行
インド本部 和田 修 -
三井住友銀行
インド事業部 Ritesh Gupta
SMBCグループは、成長著しいインド市場において、三井住友銀行・YES BANK・SMFG India Credit Company(以下、SMICC)が有機的に連携する体制を構築しています。インドにおける外資系銀行のNo.1を目指す戦略と展望を語ってもらいました。
戦略的重要市場であるインドで存在感を強める
和田 インドに注力する理由は、大きく3点です。1つ目は中長期的な成長ポテンシャルで、すでに世界第5位のGDPが、2047年には第2位まで成長すると予測されています。2つ目は、現地規制の変化です。外資系金融機関から現地民間銀行への出資に肯定的な方向へ規制が変わりつつあり、私たちのような外資系金融機関にとって、これまでにない機会が生まれています。3つ目は、私たちのお客さまのビジネスとの整合です。多数のお客さまがインドでの存在感を急速に高める中、クロスボーダー決済や買収ファイナンスを通じて支援できる可能性が広がっています。
Gupta そのようなインド市場で、私たちが発揮できる強みとして、グローバルなネットワーク、豊富な銀行業務の経験、そしてグローバル水準の堅牢なガバナンスとリスク管理の枠組があります。加えて、日本がインドのインフラ開発において資本・ファイナンスの両面で蓄積してきた経験と専門性も大きな強みになると考えています。
和田 SMBCグループは、マルチフランチャイズ戦略の下、インドネシア、ベトナム、フィリピンで戦略投資を行いながら着実にアジアでのビジネスを進めてきました。アジアでも特に高い成長が見込まれるインドでの存在感を高めることは不可欠でしたが、インドにおける商業銀行ビジネスは参入の機会が少なく、長らく「ミッシングピース」となっていました。
深津 YES BANK株式の取得は、まさに「ミッシングピース」を埋めるものであり、外資系金融機関として初めての金額規模で、インドの大手地場民間銀行の持分を取得した事例です。YES BANKは民間第6位の銀行で、総資産約8兆円、全国1,300超の支店ネットワークを持ちます。かつてはガバナンス上の問題で業績が悪化した時期もありましたが、経営再建を経て現在は成長フェーズに入っており、当期純利益は3年間で約3倍にまで拡大しています。また、デジタルバンキングにも強みがあり、自社スーパーアプリはローンチからわずか16ヵ月で340万人のユーザーを獲得したほか、インドにおけるデジタル決済取引の約3分の1を担うインフラとして機能しています。
相互理解と信頼の醸成がシナジーを生む
深津 出資プロセスにおいて重要な意味を持ったのは、現地当局であるインド準備銀行との対話でした。彼らが重視するのは短期的な資本の提供ではなく、長期的なコミットメントです。SMBCグループは先行してSMICCへ出資していたほか、2025年にはインドに特化した本部組織である「インド本部」を立ち上げており、こうした姿勢が、1年以上にわたる交渉を経て最終的な合意につながったと考えています。
Gupta 私は、当地で規制当局への承認申請を支援する役割を担いました。現地当局からの承認取得に加え、市場の注目度が高い中での厳格な機密保持も求められました。複雑な論点に対して規律をもって対応を重ね、今回のパートナーシップへとつなげることができました。
和田 現地の三井住友銀行の支店は地場大企業や日系企業を含む多国籍企業向けのホールセールバンキングとストラクチャードファイナンスに強みを持ちます。YES BANKは約1万社の中堅企業顧客基盤を持つなど、大企業からリテールまで幅広くカバーしています。SMICCは郊外・農村部を中心に全国1,000超の拠点で消費者金融・住宅ローンを提供するノンバンクです。こうした3社の事業領域はまさに相互補完の関係にあるためシナジー創出に期待していますが、その鍵となるのは文化統合です。シナジーを最大化するためには、マネジメントだけでなく社員レベルでの相互理解と信頼の醸成が欠かせません。
深津 具体的には、本社とインド拠点の間で「Indo wo Shiro(インドを知ろう)」「Nippon wo Shiro(日本を知ろう)」という相互交流プログラムを開始しました。現地に足を運び、互いのビジネス環境・文化・人を肌で感じることが、真のグローバルチームを育てる土台になると考えています。また、YES BANKの強みであるホールセール分野で三井住友銀行とのシナジーが明確になり、コミュニケーションも活発になってきています。互いの特徴やカルチャーを尊重しながら、着実に前進していきます。
Gupta 植樹等のCSR活動を通じた社員交流等も行っており、組織の垣根を越えた関係構築に着実につながっています。また、SMBCグループとしては2025年にインドでグローバル・ケイパビリティ・センターを開設しており、グループ全体のグローバルビジネスを支える基盤も整いつつあります。
インドと日本双方の経済発展に貢献
Gupta 私たちの目標は、インドでNo.1の外資系銀行になることです。3社の連携により包括的なサービスを提供できるという独自のポジションを存分に活かし、これからのインドの成長に貢献していきたいと思います。YES BANKへの出資以降、当地におけるSMBCグループの認知度は大きく高まり、今や多くの方が「YES BANKに出資した銀行」としてSMBCグループを認識しています。日本という国やその製品に対して長年抱いてきた信頼が、そのままSMBCグループへの期待感につながっていることを、現地で実感しています。
深津 文化統合、規制当局との対話、現場でのさまざまな課題対応等、インドでの成功は、長期的なコミットメントなしには実現できません。すべての外資系銀行にとって前例のない挑戦ですが、だからこそやりがいがあります。ステークホルダーの皆さまには、ぜひ温かく見守っていただけると幸いです。
和田 この10年、インドと日本は良好な関係を築いてきました。今後の10年ではさらに多くの日本企業がインドに進出し、インド企業が日本企業と連携して事業を展開する機会も増えていくでしょう。私たちのインド戦略は、自身の成長にとどまらず、インドと日本双方の経済発展に貢献するものでありたいと考えています。今まさに、成長戦略を実行する段階に入っている私たちの取組に、引き続きご期待ください。