〜特集〜 鳥獣害で見直される野生動物との共存

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鳥獣害で見直される野生動物との共存

この20年余り、日本列島で起きている顕著な環境変化のひとつに、野生動物が農村集落や地方都市に出没し、活動を活発化させていることが挙げられる。鳥獣による農作物への被害はもちろん、大型動物との遭遇による人身事故等によってくらしの安全・安心が脅かされている。本特集では、民間企業や有志団体が取り組む鳥獣害対策の現状と課題、マネタイズ(収益化)を図りながらの解決策等を紹介していく。

被害総額172億円は氷山の一角

シカ、イノシシ、サルといった野生鳥獣による農作物の被害は、全国で年間約172億円(2016年度:農林水産省統計)にも上る。生産者からの申告がないものも含めると、実際にはこの金額をはるかに上回る被害が発生していると見られる。被害の深刻さから、離農を決断する生産者も相次いでいる。

鳥獣害がこれほどまでに拡大している背景には、何があるのだろうか。狩猟文化への造詣が深く、野生動物保護管理および環境分野の研究を専門とする、東北芸術工科大学の田口洋美教授は、次のように説明する。「もともと日本には、人々が山や動物から得られる資源を、持続可能性を考慮しながら適切に利用してきた歴史があります。中山間地域で人間が営む採取・狩猟活動は、野生動物への適度な圧力にもなっていました。しかし、1980年代から2000年代にかけて、住民の高齢化や狩猟者の減少で、集落が自律的に持っていた“防御システム”が徐々に機能しなくなり、その結果、野生動物への人為的な圧力が失われていったのです」。

野生動物の行動変化や個体数の増減は、まだ調査・研究こそ進んでいないものの、地球温暖化問題が深く関係している可能性が高い。しかし、それ以上に動物たちに大きな影響を及ぼしている要因は「私たち人間社会の変容」だと、田口教授は指摘する。野生動物の側も、生き延びるために人間社会の変容に目をつけ、新たな生息域の開拓等、自らの行動を変え始めている。その象徴が、農村集落や地方都市への頻繁な出没だといえる。

そもそも私たちがくらしている平野部や盆地は、かつては大型野生動物の生息地であった。「野生動物の生息地を、人間が住居地・農耕地として開拓し、動物を奥山へと押しやってきた経緯があります。人間からの圧力が弱まった今、動物たちは自らが生きていく上で最良の土地を目指し、いわば“Uターン”を始めているのです」と田口教授は言う。

警備サービス企業ALSOKが鳥獣害対策事業に参入

鳥獣害の問題は、地方都市に拠点を設けている、あるいは農村集落を顧客層に取り込んでいる企業にとって、他人事ではない。すでに警備や害虫駆除、建設といった業種の企業が、自社のビジネス特性や保有技術を活かして、鳥獣害対策の事業化に乗り出している。

ALSOK(綜合警備保障株式会社)は2013年から、ICTを活用した「鳥獣わな監視装置」の取扱を開始した。この装置は、野生動物が「箱わな(捕獲用のおり)」にかかってセンサーが作動すると、事前登録した管理者に向けて、わなが作動したことを電子メールと画像(※1)で自動通知するというものだ。同社 営業総括部 営業推進企画室 主任 小塚卓也氏は、事業化に至った経緯を次のように説明する。「近年、農業生産者の皆さまから、野生鳥獣による農作物被害の話を聞く機会が増えていました。有害鳥獣の捕獲を目的に、箱わなの設置も全国で進んでいます。大部分の自治体は『1日1回程度、必ず見回りをしてください』という努力義務を設置者に課していますが、すべてのわなを見回るには時間と労力がかかり、特に高齢者には大きな負担となります。私たちはこの問題に着目し、蓄積してきたセンサー技術と、24時間365日で監視サービスを提供できる組織体制を活かして、本装置を商品化しました。管理者がわなの作動状況をあらかじめ把握できるため、見回りに要する労力の大幅な低減が期待できます」。

この監視装置は、熊本県や大分県、福島県等、全国の自治体(※2)から高く評価され、約120台が導入されている。「設置者からは『見回りの負担が減って助かった』『捕獲の際の事前準備をしやすくなった』といった声を多くいただいています」(小塚氏)。

同事業の立ち上げ時から鳥獣害対策に深く関わり、狩猟免許の保有者でもある、同 営業推進課の國津安子氏は、「地域で鳥獣の捕獲を担う中核となる人材不足の問題が、最近ますます深刻化していると感じます」と話す。県や市町村が同社のような民間企業に有害鳥獣の捕獲を要請するケースも増えている。「ALSOKでは、グループ5社が認定鳥獣捕獲等事業者(※3)の認定を受け、自治体からの捕獲業務・駆除業務を請け負っています」(國津氏)。同社は千葉県茂原市から受託した駆除業務を皮切りに、地元住民や猟友会との協力体制を築きながら、宮城県、福島県等から業務を受託している。

2018年からは、鳥が本能的に嫌悪する特殊な音波と音を組み合わせて、果樹園や牧場から鳥を追い払う「鳥追い払い装置」の販売を開始した。鳥が音慣れしにくく効果が持続することから、企業の工場やゴルフ場、カラス被害に悩む神社等が相次いで導入している。

「鳥獣害対策事業は、私たちの強みを活かしたビジネスであり、また、公共性の高いCSRとしての面もあります。まずは各都道府県からの指定管理鳥獣捕獲等事業(※4)等を、積極的に受託していきます。対策用品の販売については、わな監視装置に加えて、関連商材を含めた販売展開等で収益を確保しながら、動物による農作物の被害防止、自然環境へのダメージ軽減に貢献していきます」。同 営業推進課 課長代理の森川幸裕氏は、同事業の目指す姿をこのように描いている。

「鳥獣わな監視装置」運用イメージ

ジビエを活用した外食メニューをJR東日本グループが手がける理由

鳥獣害の問題は国も重視しており、計画的な捕獲による個体数の調整等を推奨している。一方、捕獲された鳥獣に目を向けると、食材等に利活用されている割合はおよそ14%にすぎない。その多くは、土中に埋めて捨てられている。利活用が進まない理由は、主に2つある。ひとつは「ジビエは臭い、硬い、高い」といった固定概念が浸透していること。もうひとつは、捕獲から解体処理に至るプロセスを衛生的に行う体制が十分に確立されていないことである。

そもそもジビエは、野山を駆け巡り、天然の餌を食べて育った野生鳥獣の肉である。高たんぱく・低脂肪で、ミネラル分を多く含む。ヨーロッパでは高級食材として人気が高い。

JR東日本グループは、ジビエ料理の潜在的な市場の可能性に着目。長野県・千葉県で捕獲した獣肉を用いたメニューを開発し、2011年から駅構内のファストフード店舗等で継続的に発売している。東日本旅客鉄道株式会社 事業創造本部 新事業・地域活性化部門 地域活性化グループ 上田智之氏は、ジビエの消費拡大による鳥獣捕獲の推進、そして地域経済の振興につなげることが本事業の目的だと説明する。「私たちは東日本の各地方を結ぶ鉄道ネットワークと、巨大市場である首都圏に販路を持っています。このメリットを活かしながら、地域にある魅力的な素材に光を当て、地域活性化を図ろうとしています。ジビエの持つ潜在的な可能性にも以前から注目しており、増えすぎた鳥獣を食材として活用する前向きな事業を計画したのです」(上田氏)。

まず、首都圏の駅構内で展開するハンバーガーチェーン「ベッカーズ」においてシカ肉を使ったハンバーガーの提供を開始した。若い世代にも注目され、SNS等を通じて瞬く間に拡散。今や看板商品のひとつに育っている。「食材の大量確保が難しいジビエの商品化にはさまざまな苦労がありましたが、結果として大手チェーンにはないメニューを生み出し、競合他社との差異化につながりました」(上田氏)。続いて、シカ肉のハンバーグを駅弁のメニューに取り入れた。「品質についてとりわけ厳しい基準を設けている駅弁に採用されたことは、非常に大きな成果でした」と上田氏は述懐する。

ハンバーガーのメニュー開発には、長野県の著名シェフで日本ジビエ振興協会 代表理事を務める藤木徳彦氏が、監修者として協力している。処理や調理法の研究により、多くの人々がジビエ本来のおいしさを手軽に楽しめるようになった。「ジビエを活用したメニューや商品は、消費者には抵抗感なく受け入れられたように思います。ジビエへの誤った認識や偏見も、この7年で徐々に払拭されつつあります」と、上田氏は手応えを語る。

生産にあたっては、地元の事業者との連携を積極的に進めてきた。鳥獣の捕獲役を担うハンターや解体処理(加工)事業者からは「自分たちが捕獲した動物に、地域名のブランドが付けられるのは誇らしい」「都会で料理に活用され、たくさんの人に食べてもらえてうれしい」といった声が聞かれ、地域の意識にも変化が起きているという。

ただし、ジビエの安定的な供給、捕獲現場と処理施設のよりスムーズな連携といった課題も残されている。同グループでは、移動式解体車を用いた実証実験等、課題解決への取組を加速させている。

ジビエを活用した外食メニュー

JR東日本グループの株式会社レストランエンタプライズでは「山の信州 いろどり弁当」①をはじめ、長野県産シカ肉を使用した商品を通年販売している。
ジェイアール東日本フードビジネス株式会社は、ハンバーガーチェーン「ベッカーズで、長野県産シカ肉を使用した商品を、レシピをリニューアルしながら提供。2017年は「別格信州ジビエ ザ★鹿肉バーガー」②を限定販売した。
また、同社の駅そば「あずみ」では、千葉県で捕獲されたイノシシ肉を使った「房総ジビエ 猪そば」③を毎年秋に販売している。

若手農家が連携し、獣害から地域を守る

鳥獣による直接的な被害を受けやすい一次産業からも、被害防止に向けた新しいアプローチを開始する団体が現れている。

「もう農業ばやめようて思うとたい」。2016年2月、熊本県宇城市三角町に住む宮川将人氏は、町内でミカン農家を営む知り合いの母親からイノシシ被害の訴えを聞いた。自身も洋ランの栽培とインターネット販売を手がける農家である宮川氏だが、このとき鳥獣害問題の深刻さに初めて危機感を抱いた。

九州の中・南部では、昨今の温暖化によって米作を前倒しで行うようになり、8月半ばには収穫を終える。だが8月下旬以降も高い気温が続くため、二番穂が自然に生えてくる。それを目当てに、奥山からイノシシが下りてくるようになった。加えて耕作放棄地の増加も、鳥獣害が拡大している要因のひとつだ。たとえばミカン畑の場合、耕作を放棄した後もしばらくは自然に実をつける。これを食べに動物がやってくる。「とりわけイノシシは、コメや果実を主なエサにし始めたことで栄養状態がよくなり、生存率とともに繁殖力が高まっています。しかし狩猟者数は減る一方で、頭数が急激に増えているのですよ」と宮川氏は話す。

農作物被害による離農に加えて、イノシシが原因の交通事故も頻発しており、最悪の場合は人が死亡する等、今や地域の安全を脅かす存在になっている。強い危機感を持った宮川氏は、県内の若手農家に声をかけ、自分たちの手でイノシシ等の捕獲を行う「くまもと☆農家ハンター」(以下、農家ハンター)を2016年4月に結成した。「いわば地域の消防団活動のように、鳥獣害から地域と田畑を守り、被害による離農ゼロを目指す有志のネットワークです」と、宮川氏は説明する。

農家ハンターの年齢層は25〜40歳で、現在は82名で活動する。農作物に被害を及ぼすイノシシの調査と農作物の防護、捕獲、食用のための加工等と獣害対策全般を行う。メンバーのうち30名は、狩猟免許を取得している。未取得のメンバーも、防護対策をはじめ重要な作業を担っている。全員が現役農家で多忙なため、捕獲の方法には負担が少なく安全な「箱わな」による猟を採用した。クラウドファンディングで得た約350万円の資金で、箱わな40基と監視用のセンサーカメラ10基を購入。被害の深刻な田畑の近くに設置した。箱わなの周囲に何らかの変化があれば、メンバー全員のスマートフォンに画像が自動送信される仕組みを構築している。

「最初の8ヵ月はエサを食い逃げされるだけで、1頭も捕獲できなかった」と、宮川氏は打ち明ける。そこで、長年イノシシの生態を研究してきた専門家と地元のベテラン猟師に指導を受けることにした。「プロのアドバイスに沿って箱わなの設置環境等を改善すると、わずか3日後にイノシシがわなにかかったのです」(宮川氏)。これを機に、捕獲数は順調に増加していった。2017年10月からの半年間に、県内で100頭以上の捕獲成果を上げている。

「くまもと☆農家ハンター」が目指す、地域社会と農業生産者の在り方

農家ハンターのメンバーが仕掛けた箱わなにかかったイノシシ。

農家ハンターのメンバーが仕掛けた箱わなにかかったイノシシ。

獣肉と無農薬野菜をブレンドし、「農家の顔が見える」商品を開発

地域を守るためイノシシの捕獲をする上で、避けては通れないのが止め刺しだ。箱わなにかかったイノシシは元来、槍等で処理されるが、農家ハンターの場合、イノシシに電気槍でショックを与えて仮死状態にする。続いてナイフで止め刺しを行い、首の動脈から放血処理をする。野生獣特有の体臭に血の臭いが混じり、絶命間際のイノシシが最後の息づかいをする音とともに、周囲へ広がっていく---。人間が他の生き物の命を奪って生きていることを、実感せざるを得ない瞬間である。

イノシシはその後、トラックで速やかに解体処理施設へと搬入される。解体処理の方法を標準化する等、仕組みづくりにもめどがついてきた。

2018年中には「くまもと☆農家ハンター」ブランドのジビエとして、飲食店や流通・小売業向けの販売を本格化していく。ジビエ販売の安定的なルートを確立できれば、メンバーは本業とは別のまとまった収入を得られるようになる。

食用には向かない部位を無駄なく活用し、高付加価値のペットフードを開発・商品化する計画にも着手している。「イノシシの肉に関しては、人がおいしいと思う部位と、犬や猫が好む部位が重複しません。自然界のモノを食べてきた動物の肉はまさに無添加のナチュラルフードです。これにメンバーが育てた野菜を混ぜ合わせて、これまでなかったオール国産・無農薬のペットフードをつくりたいと思っています。ジビエの品質はもちろん、農家の強みとストーリーは事業化の後押しになると見込んでいます」(宮川氏)。

さらに、イノシシの未利用部分も有効に活用しようと、農家ハンターは2018年春、宮崎県の機械メーカーから動物の骨や内臓を堆肥化できる装置の提供を受けた。「この装置をイノシシに初めて適用することで良質の肥料を生産し、各メンバーが自分の畑で使用します。つまり私たちは、やむを得ず捕獲したイノシシを100%使いきりながら、循環型農業を確立することも視野に入れています」と宮川氏は語る。

農家ハンターの最大の特徴は、農家自らが自主的に活動していることだ。その動きが農林水産省や県、市町村からも注目され始めており、地元JAとも連携したり、実業高校と実習する等、活動の幅が広がっている。「農家ハンターの一番の目的は、イノシシ対策のプロセスの中で、地域のリーダーを養成することと、コミュニティーを活性化させることなんです」(宮川氏)。

農家ハンターのメンバーが確立しようとしている獣害対策のモデルは、専門家の指導に基づいた箱わなの技術とICTを活用し、初心者でも効率よくイノシシを捕獲できるものである。被害を未然に防ぐ防御活動と捕獲のノウハウが、セットになっている。自立し、継続した活動になるよう、今後マネタイズを図りながら、成功例・失敗例等を反映した改良を常に実施していく。宮川氏はこの“熊本モデル”を「他県の農家や有志の方々にも活用していただけるものにしたい」という強い意欲を持っている。

排除ではなく、出没を減らす --田口教授の提言

農家ハンターの基本的な姿勢は、野生動物との共存である。田畑への侵入対策を重視しており、箱わなによる猟にしても、農作物に被害を出してしまうイノシシのみを対象とし、山に住む無害なイノシシは獲らずに済むような運用を徹底している。

前出の東北芸術工科大学の田口教授も「鳥獣害問題の核心は、いかにして排除するかではなく、人の生活エリアや耕作地への出没をいかになくすかにあります。人間の生活空間に出ていけば、極めて危険でリスキーであるということがわかるように仕向ける取組が求められています」と話す。田口教授はこの考えに基づいて、以前から行政への提言等を行ってきた。

イヌを活用した防御策を実施

野生動物を追い払うための手段のひとつとして、「イヌの放し飼いを復活させること」を田口教授は挙げる。地域の安心・安全のために、動物を殺すのではなく、プレイとして追い払うイヌたちの長所を活かそうというのだ。しかし、これには都道府県の条例が足かせになる。そこで、田口教授は「イヌの放し飼い特区」の導入を訴える。「放す時間帯を限定して実施し、獣害の減少効果を検証していく。こうした実験を重ねることでノウハウを確立し、モデル化するのです」。リスクを回避するために、GPSはもちろん、イヌの口に革製のガードを装着する等の策を施すことで、一定の管理は可能だと見る。こうしたアイデアを、農水省に提言していく考えだ。なお、2016年には徳島県那賀町が、サル等を追い払うモンキードッグと新型ドローンを導入して獣害対策実験を実施し、顕著な成果を上げている。

「コンパウンド・ボウ」の導入

建物が密集するエリアでは、猟銃の使用は銃刀法で禁止されている。しかし、住宅地周辺にもクマやイノシシがたびたび出没していることから、田口教授は「コンパウンド・ボウ(化合弓)」という近代的な弓の導入を提言する。「コンパウンド・ボウは、都道府県知事の認可によって運用が可能です。音を発しないので、住民に恐怖心を抱かせることもありません。飛距離は約30メートル。鳥獣害対策の実施組織の中でメンバーを選び、訓練によって命中率を上げることができます」(田口教授)。

社員を地域活動の担い手に

近年、企業や公的機関で働きながら猟友会に所属し、有害鳥獣駆除従事者としても活動する人材が現れている。「こうした人材が鳥獣害対策への活動をしやすくなるよう、勤務制度の改定等で企業に協力をいただけないだろうか」と田口教授は訴える。柔軟な勤務制度を狩猟免許保有者だけに限定せず、地方で顕在化する多様な課題に関心を持つ社員にも適用すれば、地域活動の担い手不足解消にも貢献できるはずだ。

より高精度なわなの開発

わな猟では、対象となる動物の種類を選べない。特にワイヤー(くくりわな)には、天然記念物のニホンカモシカがかかってしまうことがある。「管理者の負担がさらに軽減できるよう、動物の種類を正確に認識し、有害獣の場合だけゲートが稼働する情報技術、あるいはニホンカモシカが近づいてきたときだけ警告音を発生させてわなにかからないようにする仕組み等が求められています」と田口教授は語り、技術開発の面でも企業からの協力を期待している。

鳥獣害対策に新たな市場を見いだし、優れた商品・サービスを投入する企業。狩猟の担い手に名乗りを上げる農家の増加。衰退する一方だった日本の地域社会が、志を持った団体や個人によって再び活性化し、野生動物にも適度なプレッシャーを与えていく。そして彼らとの、新しい共存のカタチが生まれていく。そんな“プラスの循環”が、ようやく始まろうとしている。

  • ※1画像による通知は、カメラ付きタイプのみ。
  • ※2鳥獣わな監視装置は、主に自治体が購入し、農家や民間事業者に貸し出されている。
  • ※3環境省が2015年から始めた制度。鳥獣の捕獲等に関わる安全管理体制や、鳥獣の捕獲を適正かつ効率的に行うために必要な従事者の技能および知識が、一定の基準に適合している法人を認定するもの。
  • ※4有害鳥獣を国が指定し、適正数まで捕獲・減少させる事業。捕獲事業の実施主体となる都道府県に対し、捕獲目標数等を盛り込んだ事業計画の策定費や捕獲経費を2分の1以内で補助する。

取材協力(本記事 登場順)

  • 東北芸術工科大学
  • 綜合警備保障株式会社
  • 東日本旅客鉄道株式会社
  • くまもと☆農家ハンター

参考資料

  • 『クマ問題を考える』田口洋美 著
  • 『くまもと☆農家ハンター通信 Vol.1
  • 熊本日日新聞(2017年10月9日)