第三者意見(2018)

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 教授 博士(政策・メディア) 蟹江 憲史

慶應義塾大学大学院
政策・メディア研究科
教授 博士(政策・メディア)
蟹江 憲史

レポートを読みまず印象に残ったのは、メッセージが非常に明確に示されているという点です。トップメッセージの中での、グローバルな動向を踏まえた企業のあり方についての記述は、方向性を示すメッセージとして力強さを感じさせてくれるもので、素晴らしいという感想をいだきました。そうした中、特にESGやSDGsの目標達成へ向けた活動の推進を強調していることは、時代の先端を行く意思が見受けられるものであり、好感が持てます。
また、CSRの定義が明確に示されていることは、報告書全体を読みやすくしていると思います。特に、CSRの推進が「経営そのもの」であり、経営方針や経営目標達成への近道であるという認識は非常に重要であると思います。

1.こうしたポジティブな印象を持たせてくれるレポートですが、いくつか改善の余地も見受けられました。今後へ向けた期待を込めて、以下にこの点を記載したいと思います。
昨今の傾向としてESGやSDGs、さらにはTCFDなどといった横文字が多く並ぶ傾向があります。これらの用語は、日頃金融問題を扱っていない人にとっては、かなりテクニカルな用語に映るのではないかと思います。貴グループが対象としているステークホルダーの多様性を考えると、本体としてのレポートの他に、対象者毎に少しカスタマイズしたレポートがあると良いのではないかと思います。
特に、今後の銀行の役割や、レポートを通じた貴行の方向性を考えると、こうした用語についての認知を広める、わかりやすく「翻訳」すること自体も、貴行の役割と言ってよいのではないかという印象を受けました。「SDGsコミュニケーションBook」は、そのような取り組みの一つとして評価できるように思います。広い意味での金融教育や金融リテラシーの向上をこうした活動の中でも考えていくことは、長期的にメリットになっていくように思います。

2.そのうえで、ESGとSDGsの相違点についても、少し説明があると良いのではないかと思います。

3.SDGsへの取り組みが重要な柱になっているとの言及があり、業務計画とSDGsとの関連も提示されています。今後はその関連性について、①もっと具体的に示していくこと、②レポート全体を通じて横断的に提示していくこと、が求められるのではないかと思います。
まず①に関しては、SDGsのいくつかの目標が重点課題等に結び付けられて入るものの、「どのように」目標達成に貢献しているのかが具体的に示されていません。どのような活動がどのようにして目標達成に貢献しているのか、可能であれば、指標の設定を伴って示されていると良いのではないかと思います。この点は、②の指摘にも関連します。レポートの後半部分には、人権、グリーンボンド、環境・社会リスクへの対応、あるいは営業端末等のペーパーレスへの取り組みなど、まさにSDGsのいくつかの目標達成へ向けた行動が示されています。しかしながら、これらの取り組みこそがSDGsに貢献している、ということが明確に示されていません。これは非常に「もったいない」という印象を持ちました。
今後はこうした取り組みとSDGsとの関係を検証し、具体的に示していくことで、グローバル企業としての価値も正しく示していけるのではないかと思います。ウェブベースでレポートを出していることを考えると、SDGsの目標ベースでまとめたページが個別事業にリンクされているような構造があると良いのかもしれません。

4.SDGsとの関連を具体的に検証していくと、現時点では、目標達成へ向けて必ずしも貢献している活動ばかりではないことも出てくるのではないかと思います。ただ、それを隠すのではなく、そうしたこともオープンに示しながら、中長期的に、あるいは次のステップとして、取り組むべき課題を示していくことこそが、中長期経営計画を超えて、持続可能な社会づくりの主体を担う企業としては、大事なのではないかと思います。

第三者意見を受けて

三井住友フィナンシャルグループ 企画部サステナビリティ推進室長 末廣 孝信

三井住友フィナンシャルグループ
企画部サステナビリティ推進室長
末廣 孝信

蟹江先生より、ESG/SDGsを起点とした大変貴重なご意見を賜りまして、誠に有難うございます。
今回頂戴致しましたご意見は、SMBCグループが大切にする、「お客さま」、「株主・市場」、「社会・環境」、「従業員」といった様々なステークホルダーとのコミュニケーションにおいて非常に重要な点だと認識しております。
持続可能な社会の実現に向けた動きとして、ESGやSDGsを初めとする国際的なイニシアティブが近年の大きな潮流となっている中、当グループは昨年10月、サステナビリティ経営の深化を見据えた組織体制の見直しを行いました。その一環として、今後「SMBCグループとして」どのようにSDGs達成に貢献していくのかを明確にし、事業を通じた社会課題への取組みをESG情報として発信していくことで、企業価値の向上にもつなげてまいりたいと思います。
こうしたご意見を積極的に取り入れ、SMBCグループとステークホルダーの皆さま、双方にとって有意義な情報開示に努めてまいります。