• 多様な働き方支援 インタビュー 「事情」は必ず「強み」に変えられる―今必要なのは、一人ひとりが安心して使える「仕組み」を作る努力だと思います。 三井住友銀行 日本橋法人営業部 部長  荒井裕之 多様な働き方支援 インタビュー 「事情」は必ず「強み」に変えられる―今必要なのは、一人ひとりが安心して使える「仕組み」を作る努力だと思います。 三井住友銀行 日本橋法人営業部 部長  荒井裕之

  • 2018年6月発行「SMBCダイバーシティ・レポート」掲載記事 (所属・役職は取材当時のものです。)

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私はさまざまな事情を抱える部員を貴重な「人財」だと考えています。なぜなら、イノベーションは制約から生まれるものだから。私自身、数年前に妻と父親が亡くなり、大阪で暮らす母親の介護と2人の子育てという事情を抱えてから、より生産性の高い働き方を意識するようになりましたし、周囲に「頼る」ことを覚えました。何より、上司として一人ひとりの事情に目を向ける大切さに気付いたこと……それが一番大きな変化でした。

たとえば、親を介護しながら働く部員がいるとします。上司として「休暇を取ってくださいね」と声を掛けたくなりますが、実際にはその人は「休みたくない」と思っていることもある。介護と並行して仕事を頑張ることで、当人の中で心のバランスが保たれていることだってあるんです。働く人にとって、職場はもはや報酬を得るだけの場ではありません。そうした個別の本当の事情を知るためにも、私は個人面談や仕事の合間の対話を大切にしています。当人に聞かなければ本当のところは分からない。考えてみれば、ごく当たり前のことではあるのですが(笑)。


事情を抱える部長だから伝えられることがあります。自らが職場の仲間と事情を共有し、理解され、制度を活用しながら働くことで「いろいろあるけど大丈夫」というメッセージを発信したい。スケジュールに「介護休暇」と皆に見えるように書くのもそのためです。そして、形だけの制度にならないためにも安心して使える「仕組み」を作ること。在宅勤務が「出社しないと不利を感じる」ことで進まないならば、全員参加の会議を原則やめる。実際に私の職場でもそうしました。

「違和感がある」という声もありましたが、その程度は我慢しないと。「多様性のある職場」や「働き方改革」はこういう努力から始まるのだと思います。事情を抱えるすべての方々へ。もし今、働けるならば「今までのようにいかなくなった」ことで得た新しい視点を「強み」と捉えてほしいと思います。そして「できる範囲」で社会に貢献していきましょう。少しずつ周囲の理解をつくり、人に頼りながら環境を整えていく――そうすれば、あなたの「できる範囲」は少しずつ広がってくるはずだと思います。