環境リスクへの対応

SMBCグループでは、「環境リスクへの対応」を環境における3つのテーマの一つに掲げ、グローバル金融グループとして環境・社会リスクに配慮した体制強化に努めています。

金融機関が対応すべき環境リスク

金融機関には、以下のような環境リスクが存在します。

  • 取引先の環境規制違反による事業停止や土壌汚染修復のための費用負担などにより、債務返済能力が悪化する信用リスク
  • 担保不動産に土壌汚染やアスベストが発見され、資産価値が下落することによる担保価値下落リスク
  • 環境に悪影響を与える事業などに資金を融資したことによる貸手責任リスク
  • 上記に伴って発生する風評リスク

三井住友銀行では、大規模なプロジェクト向け融資を実行する際に、環境・社会への影響を十分検討することを社会に約束する「エクエーター原則」を採択し、国際環境室において環境社会リスク評価を行っています。


環境リスク対応図

ESGに関するリスクの考え方

SMBCgroup

三井住友銀行では、与信業務の普遍的かつ基本的な理念・指針・規範等を明示した「クレジットポリシー」に公共性・社会性の観点から問題となる与信を行わないという基本原則とともに、地球環境に著しく悪影響を与える懸念のある与信を行わないことを謳っています。


クレジットポリシー

また、お客さまの財務情報に加え、ESGに代表される非財務情報を把握することにより、お客さまの事業活動による環境や社会への影響を認識しています。非財務情報の収集を通してお客さまとの対話を深め、環境・社会への配慮に向けた取組を積極的に支援しつつ、懸念されるリスクについてはお客さまとともに改善に努めてまいります。

加えて、環境・社会に多大な影響を与える可能性がある大規模プロジェクトへの融資においては、民間金融機関の環境・社会配慮基準である「エクエーター原則」を採択し、国際環境室において、デューデリジェンスを通した環境社会リスク評価を実施しています。これにより、プロジェクト事業者に対しては、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への対応や、地域住民等へのFPIC(Free, Prior and Informed Consent / 自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意)の尊重など、気候変動や人権をはじめとする環境社会配慮への取組を求めてまいります。なお、「エクエーター原則」への取組については、以下のリンク先をご覧ください。


エクエーター原則

環境や社会へ大きな影響を与える可能性が高いセクター・事業については、以下の通り、方針をそれぞれ明確化しています。
また、SMBCグループのSMBC信託銀行、三井住友ファイナンス&リース、SMBC日興証券においても、それぞれのビジネスに沿う形で本方針を導入し、更なるリスク管理体制の強化を図っています。

1.石炭火力発電

(方針)
石炭火力発電所の新設および拡張案件への支援は行いません。
(セクター・事業に対する認識)
お客さまがカーボンニュートラルに伴う長期戦略を策定・公表するなど、気候変動への対応を進めていくことを期待します。また、脱炭素社会への移行と実現に資するお客さまの取組みを支援します。

2.水力発電

(方針)
水力発電プロジェクトに資金が向かう案件については、生物多様性や、住民移転の発生による地域コミュニティへの影響などに対する適切な緩和策が行われているかを注視し、融資を検討する際には環境社会リスク評価を実施します。
(セクター・事業に対する認識)
脱炭素社会への移行が進む中、水力発電が電力供給に果たす役割は大きくなります。一方で水力発電の建設に際しては、ダム建設に伴う生物多様性への影響や、住民移転の発生による地域コミュニティへの影響などを考慮することが重要となります。

3.石油・ガス

(方針)
以下の事業に資金が向かう案件の融資を検討する際には「エクエーター原則」を考慮しながら実施する環境社会リスク評価の適用範囲を拡大し、環境・社会に対するリスクの特定・評価をしたうえで慎重に対応を検討します。
(1)オイルサンド
オイルサンド(タールサンド)は炭素強度が比較的高く、開発には大きな環境負荷を伴います。排水による土壌や水質の汚染、森林伐採、生物多様性や先住民コミュニティへの保護への取組などを注視し、融資を検討する際には環境社会リスク評価を実施します。
(2)シェールオイル・シェールガス
シェールオイル・ガス開発時には、水圧破砕法の使用による地下水の汚染、地震誘発の影響などが想定されます。これらに対する適切な緩和策が行われているかを注視し、融資を検討する際には環境社会リスク評価を実施します。
(3)北極圏での石油・ガス採掘事業
北極圏(北緯 66 度 33 分の緯線より北の地域)は、希少な生態系を有し、独自の文化を有する先住民が生活する地域です。この地域での採掘事業に対しては、環境への配慮のほか、生物多様性や先住民コミュニティの保護への取組などを注視し、融資を検討する際には環境社会リスク評価を実施します。
(4)石油・ガスパイプライン
パイプラインは、敷設時だけでなく完工済であってもオイル漏洩や森林伐採などによる環境影響、先住民コミュニティに対する社会影響が広範な地域にわたって想定されます。これらに対する適切な緩和策が行われているかを注視し、融資を検討する際には環境社会リスク評価を実施します。
(セクター・事業に対する認識)
石油・ガスは今後も重要なエネルギー源であり、脱炭素社会への移行に貢献する事業については積極的に対応を検討しています。一方で、脱炭素社会への移行が進む中、保有する資産の価値が将来的に下落する座礁資産化リスクの考慮や、開発に伴う環境負荷の軽減、開発地域住民への配慮などが重要となります。

4.炭鉱採掘

(方針)
炭鉱採掘事業に対して融資を検討する際には、「エクエーター原則」を考慮しながら実施する環境社会リスク評価の適用範囲を拡大し、環境・社会に対するリスクの特定・評価に努めます。加えて、環境負荷の大きな山頂除去採掘(MTR / Mountain Top Removal)方式で行われる新規の炭鉱採掘事業に対しては支援を行いません。
(セクター・事業に対する認識)
脱炭素社会への移行に伴う座礁資産化リスクが想定されるほか、炭鉱での違法労働・児童労働撤廃のための人権問題や、採掘に伴う生物多様性への配慮などが重要となります。

5.タバコ製造

(方針)
三井住友銀行では、タバコ製造企業への支援に対しては、健康被害や違法労働・児童労働撤廃のための人権配慮など特有の課題への対応が行われていることなどを確認します。
(セクター・事業に対する認識)
タバコを吸うことは、肺がんや呼吸機能障害などの健康被害を引き起こす可能性があります。また、原料である葉タバコの栽培時においては、違法労働・児童労働撤廃のための人権配慮などが重要となります。

6.自然保護地域

(方針)
ラムサール条約指定湿地およびユネスコ指定世界自然遺産に著しく負の影響を与えると認識される新規事業に対しては支援を行いません。

7.パーム油農園開発

(方針)
パーム油農園開発事業に対しては、環境・社会に配慮して生産されたパーム油に与えられる認証である、RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil)、或いは準ずる認証機関の認証を受けているかどうか確認し、新規農園開発時の森林資源および生物多様性の保全、児童労働などの人権侵害などが行われていないことを確認のうえ支援を行うほか、まだ認証を受けていない取引先については、同認証の取得推奨、支援を行います。なお、取引先に対しては、NDPE(No Deforestation, No Peat, No Exploitation(森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ))を遵守する旨の公表を求めてまいります。

8.森林伐採

(方針)
森林伐採を伴う事業に対しては、各国の法規制に則り違法な伐採や火入れ、森林破壊、違法労働が行われていない旨を確認の上、支援を行っています。その中でも、大規模農園(※)開発事業に対しては、NDPEを遵守する旨の公表を求めてまいります。また、農園開発事業に限らず、大規模なプロジェクトの融資を検討する際には、原生林や生態系への影響とこれらに対する緩和策、泥炭地開発の有無、労働者や地域住民に対する配慮などを注視の上、エクエーター原則に則って環境社会リスク評価を行ってまいります。
  • 1万ha以上を対象とする(例:大豆・天然ゴム・コーヒー等の栽培や、放牧地としての利用等を目的とした事業)

9.クラスター爆弾やその他殺戮兵器の製造

(方針)
クラスター弾製造については、その非人道性を踏まえ、「与信の基本理念に反する先」として、製造企業宛ての与信を禁止しております。また、人道上の観点からその他の殺戮兵器製造にも融資金が用いられないことを確認します。