Ecological Company Special 〜環境経営の現場から〜

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Ecological Company Special 株式会社エコスタイル 代表取締役社長 木下 公貴氏

太陽光発電を中核とした再生可能エネルギー発電事業を日本全国で展開する株式会社エコスタイル。ファンドや屋根借り等、新たな手法を用いて再生可能エネルギーの普及促進に取り組んでいます。エネルギーの地産地消を目指す同社の取組について、代表取締役社長の木下公貴氏にお話を伺いました。

太陽光発電事業を始められた経緯をお教えいただけますか。

弊社は2004年10月にオール電化商品の販売から始まりました。私は2008年11月に代表に就任しましたが、当時は経営不振で会社の存続が危ぶまれる状態でした。会社を存続させるには、社会におけるエコスタイルの存在価値をつくっていかないといけない。世の中に必要とされるものは何かを考え、たどり着いたのが太陽光発電でした。地球温暖化が叫ばれる中、太陽光発電の時代が必ず来ると考えたのです。

2009年11月に住宅用太陽光発電の余剰電力買取制度が開始したのを機に、太陽光発電事業をスタートさせました。しかし、始めたばかりのころはたくさんのテレフォンアポインターで営業しても、1ヵ月間で契約が1、2件しか取れないこともありました。潮目が変わったのは、ウェブサイトをオープンしてからです。インターネットを通じて依頼や問い合わせをくださったお客さまへ連絡、訪問する形にしました。当然、ウェブでは他社との熾烈な価格競争が生じます。営業部門を少数精鋭とし、人材コストが減った分を価格に反映しました。さらに、サービスの差別化という点では、発電設備そのものだけでなく、工事にも責任を持ちたいという思いから2011年4月に自社施工部門を設立しました。

現在、太陽光発電設備と土地の情報をセットで販売する業務が弊社の中心となっていますが、私たちが追求してきたのは、お客さまにご満足いただける価値を提供することです。お客さまの目線に立ち、自分たちが欲しいものを販売することで事業を広げてきました。

さまざまな再生可能エネルギーを用いた電源開発に取り組まれているそうですね。

2016年に太陽光による自社発電所の運転をスタートさせました。現在、地熱発電所と小水力発電所の建設計画を進めており、小風力やバイオガスの活用も検討しているところです。小風力発電所については、「レンズ風車」を開発した九州大学の大屋裕二特任教授とともに商品化に向けて準備を行っています。「レンズ風車」の特徴は、羽根の周りに取り付けたリングで風を効率的に集め、同じ風速でも従来の小型風力発電機と比べて2〜3倍の発電量を得られることです。風を見える化して発電量を綿密に予測するサービスを付加することで、金融機関の融資も付きやすい商品になると考えています。

また、バイオガス発電所については、千葉県山武市で1号機の建設をまもなく開始する予定です。食品のリサイクルは法律で義務化されているものの、産廃処理業者に一任されてしまうことが多く、クリアに法令順守されているとは言い難い現状があります。弊社は、ガス化発電できっちりリサイクルできる仕組みを提供し、食品残渣や鶏ふん等を原料とするバイオガス発電所を全国で展開していきたいと考えています。

2016年4月から電力小売りの全面自由化が始まりました。貴社の電力供給事業についてご紹介いただけますか。

電力自由化に合わせて、一般家庭や工場、オフィスビル、病院等に対して「エコスタイルでんき」という名前で電力の販売を始めました。さらに、2017年4月からは、太陽光発電設備と「エコスタイルでんき」を組み合わせたサービス「太陽でんき(R)」を販売しています。このサービスは、事業所の屋根に太陽光発電設備を設置して、発電した電気を自家消費するとともに、足りない分を「エコスタイルでんき」から購入するという仕組みです。

さらに、これら2つのサービスに加え、2017年9月からは、地域に電気を供給したいという新電力さまのニーズに対し、事業をトータルサポートするサービスも展開しています。電力自由化が始まったものの、初期費用が高い、価格変動リスクが高い、リスクの割に収益性が低いといった理由から新電力の普及はなかなか進んでいません。たとえば、電気事業法では、需要と供給のバランスを保つルールがあります。新電力の場合、30分単位で需要量と発電量を一致させることになっていますが、発電量が不足(インバランス)すると、通常より高額の電気を調達しなければならず、赤字になってしまいます(※1)

インバランスによって生じるリスクに対して、弊社は、専属の気象予報士が解析した気象データを基に30分単位、1日48コマで太陽光発電の発電量と電力需要量の予測を行い、需要に合わせた無駄のない調達を行う仕組みを確立しました。もしインバランスが発生しても、調達した電気の料金は弊社が負担し、新電力さまには固定価格で卸電力を供給します。新電力事業で安定した収益を生み出すスキームを初期費用ゼロで提供することで、地域の再生可能エネルギーを増やし、「エネルギーの地産地消」を推進していきたいと考えています。

  • ※130分同時同量を達成できず発電量が不足した場合に、電力会社が補給する不足分の電気料金をインバランス料金という。不足量が3%を超えた場合、通常より高額な電気料金が課せられる。

エコスタイルが提供する新電力事業トータルサポートサービス

エコスタイルが提供する新電力事業トータルサポートサービス

エネルギーの地産地消を実現するには、今後さらに発電所を増やす必要がありますね。

より多くの人に再生可能エネルギー発電事業に参加してほしいという思いから、金融商品取引業者の登録を受け、2015年1月から「再エネファンド募集事業」をスタートしました。「エコの輪クラウドファンディング」は、土地をお持ちでなくても、太陽光発電事業に1口10万円から投資が可能です。特徴としては、運用資産のうち30%を弊社が出資し、残りの70%をお客さまに販売することで、万一発電所が30%毀損したとしてもお客さまの元本は保証されます。利回りは土地の気象条件や価格等によって異なりますが、過去17件の目標利回りは5〜6.1%、運用期間は1〜20年でした。おかげさまで募集金額を超える応募を毎回いただいており、運用実績(分配金)もすべて目標を上回っています。今後、事業所の屋根をお借りして太陽光発電設備を設置・運用し、屋根のオーナーと出資者に対して売電で得た収益を配当するファンドも提供する予定です。

「エコの輪クラウドファンディング」の仕組み

「エコの輪クラウドファンディング」の仕組み

屋根を貸したいというニーズはたくさんあるのですか。

工場の屋根は人が乗っただけで壊れてしまうものもありますが、屋根の強度が十分でなかったり劣化していたりする場合は弊社が無料でリニューアルします。オーナーの方に費用をご負担いただくことは一切ありません。さらに、屋根の賃料として売電収入の一部を受け取る、もしくは発電した電気を自家消費することで電気料金を削減することが可能です。たくさんのメリットをご提供することで、できる限り電源の数を増やし、再生可能エネルギーの普及につなげていきたいと思います。

今後、固定価格買取制度の買取価格が下がると、売電目的の電源開発は難しくなるのではないでしょうか。

太陽光発電の買取価格は制度開始から5年ほどで約半分に下落しました。このまま買取価格が下がっていくと2018年度以降は売電よりも自家消費のメリットの方が大きくなるでしょう。一方で、2017年4月からは、自家消費型太陽光発電の普及を支援する「中小企業経営強化税制」(※2)もスタートしています。こうした新制度を活用しながら、お客さまにとって最もメリットのある仕組みを提案していきたいと考えています。

  • ※2中小企業経営強化税制が適用されると、産業用の自家消費型太陽光発電設備の導入に対して即時償却もしくは税額控除が受けられる。売電目的の導入は対象外。

太陽光発電のメリットを最大化するために取り組まれていることはありますか。

弊社は2017年10月に株式会社SolarFlameの第三者割当増資の引受先となり、太陽光発電コスト低減ひいてはグリッドパリティ(※3)の実現を目指す取組を一緒に進めています。この取組の中核をなすのが、同社の代表である玉浦裕氏(東京工業大学名誉教授)が開発した「ジャイロ追尾型太陽光発電技術」です。本技術は、太陽の動きに合わせ太陽光パネルの架台を動かし、固定型よりたくさんの太陽光を集めることができます。最大で固定型の1.6倍の発電量が見込まれており、この技術を活用しながら農地で発電する「ソーラーシェアリング」も進めていきたいと考えています。

太陽光パネルを設置しても、影の面積が農地の33%ほどであれば作物の栽培に支障はありません。農家は「ソーラーシェアリング」で作物の収入と売電収入を同時に得ることができます。ただし、農業委員会から農地の一時転用許可を得る必要があり、許可期間の短さが課題となっています。問題がなければ更新できるものの、一度に3年間の許可しかもらえないため、金融機関から融資を得ることが難しいのです。せめて更新期間が10年に延長されれば安心して投資をしていただけると思うので、こうした現状をなんとか変えていきたいと考えています。

  • ※3グリッドパリティとは、再生可能エネルギーの発電コストが既存の電力コストと同等であるか、それよりも安価になることを指す。

今後、規制緩和に加え、技術開発で発電コストが下がれば、再生可能エネルギーの普及拡大が期待できそうですね。

ソーラーパネルの変換効率は毎年5%ほど上がり続けていますし、電気自動車等の開発を通じて蓄電技術がどんどん進化しています。変換効率の向上や蓄電池の低コスト化等、技術革新を積み重ねていけば、24時間の電源として太陽光を使うことができる将来が見えてくると思います。

弊社は、太陽光発電だけでなく、地熱やバイオガスに関しても、いずれ市場価格で取引されることを想定して事業を推進しています。自家発電と蓄電池で電気を賄う未来に向けて、地域の自然資源を活用した分散型電源の普及に尽力していきたいと思います。

会社概要

社名
株式会社エコスタイル
所在地
東京都千代田区丸の内1-4-1 丸の内永楽ビルディング20階
資本金
5億500万円
事業内容
産業用・家庭用太陽光発電システムの販売・施工・メンテナンスおよび電力小売事業、再生可能エネルギー発電事業、再生可能エネルギーファンド組成募集事業等
TEL
03-6273-4091(代表)
URL
https://www.eco-st.co.jp/