Ecological Company Special 〜環境経営の現場から〜

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Ecological Company Special グローブシップ株式会社 代表取締役社長 矢口 敏和氏

全国5,400棟の施設を管理し、グループ総売上高910億円、従業員数1万9,000名を超える国内トップクラスの独立系FM(ファシリティマネジメント)サービス提供会社であるグローブシップ株式会社。快適環境創造企業のリーダーを目指す同グループの事業について、代表取締役社長の矢口敏和氏に伺いました。

業界のパイオニア2社が統合した背景を教えていただけますか。

弊社のルーツは60年以上前、業界の黎明期に設立された株式会社ビル代行と日本ビルサービス株式会社の2社にあります。両社は切磋琢磨しながら業界を牽引し、ビル建築技術の進化とともに高度化・複雑化するビル管理業務に対応してきました。2005年にビル代行が日本ビルサービスを子会社化しましたが、すぐに組織を統合するのではなく、独自性を重んじたグループ経営を続けてきました。グループ化から10年が経過して機が熟したと判断し、2015年に2社を統合して新会社グローブシップを立ち上げました。

60年という歴史を重んじながら、組織の壁を取り払い、新会社の創業メンバーとして新たな歴史をつくるため、合併ではなく新会社の設立という形でスタートしました。新会社設立に際し、最初に取り組んだのは、ミッション、ビジョン、バリューの策定です。さらに、それを実現するために何ができるかを考え、私どもが出した結論は「戦略FMパートナー」に生まれ変わることでした。

「戦略FMパートナー」になるために、どのような取組をされたのですか。

商品・サービスや技術の向上は当然ですが、お題目を掲げるだけでは実現できません。それを具現化するには、社員一人ひとりが高い意識・知識・技術を持ち、主体的に仕事に取り組む必要があります。そうした思いから、社員一人ひとりがどのような思いと、いかなる基準で行動するべきかを示す「グローブシップウェイ(GS WAY)」を策定しました。

GS WAYは、「お客様に対する姿勢」「社会に対する責任」「職場における心構え」という3つの行動規範があり、それぞれにひもづく16の項目から成り立っています。これを策定した意味、理念、そして、それを業務に落とし込めるよう解説を付けた冊子を作成し、2017年4月に全社員へ配布しました。

各職場では、これを朝礼で唱和するとともに、社員一人ひとりに3ヵ月単位でメインテーマとサブテーマをひとつずつ選択してもらい、日々の仕事で実践してもらっています。

2018年2月には、全国277出張所の中から、模範となる取組を行った出張所を10ヵ所選んで表彰する「第1回GS WAYコンテスト」を開催。そこで発表された内容は、私の予想を上回るものでした。社員一人ひとりが同じ思いを持ち、お客さまの快適な環境づくりに邁進し、その取組が組織の力となり、社会貢献につながっていることを、私は誇りに感じています。

現在、GS WAYの冊子は、英語、中国語、ベトナム語、ミャンマー語等、各国語版が発行されているのですが、これは弊社で働く外国籍の社員が「自国語版がほしい」と自主的に翻訳して作成されたものです。外国籍の社員にも、私どもの思いがしっかり伝わっていることを、大変うれしく思います。

グローブシップの基本方針

貴社の強みを教えてください。

最大の強みは、60年以上にわたる実績と安定した事業基盤です。

もうひとつの強みは、戦略的経営が行える組織基盤です。今から20年前、私が代表取締役に就任した当時は、当社に限らず業界全体として現場任せの経営が行われていました。そのため、一定の業績は上がるものの次の戦略を描けないことが課題となっていました。この課題を解決するべく、人事制度から業務フローまですべてを見直し、技術の標準化を目指してISOを取得、ファシリティマネジャー資格取得を奨励する等の改革に取り組み、組織の基盤を確立しました。この経営基盤を構築したことにより、戦略的にM&Aを活用しながら、ビジネスの多様化および拡大が可能になったと考えています。

「快適環境創造企業のリーダーになる」とのビジョンを掲げていますね。

地球環境への配慮は、重要なキーワードであると考え、2010年の環境法令改正に合わせて担当窓口を設置し、現在FM推進部が環境分野の強化に取り組んでいます。当初は、お客さまが省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)や温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)、東京都の環境確保条例(都民の健康と安全を確保する環境に関する条例)等の環境法令に対応するための支援に重点を置いていました。

東日本大震災発生以降、省エネ意識が高まってきたので、既存施設の省エネ診断や省エネルギー補助金の申請代行、エネルギー効率の高い設備への入れ替え、改修工事等、省エネに関わるサービスを拡大してきました。

事例としてご紹介するならば、補助金を活用して環境配慮型の冷媒による熱交換システムを導入した約5,000平方メートルの延べ床面積を持つお客さまのケースがあります。この事例では、年間電力使用量を2万1,600キロワット時削減することができました。直近の例では、研究施設における包括的な省エネコンサルティングを提供しており、このプロジェクトが完了すると2022年までに約1万9,000ギガジュールのエネルギー量を削減できる予定です。

IFMサービス例

グループ会社の株式会社アトックスの事業も紹介していただけますか。

アトックスは、全国の原子力関連施設を対象に建物、設備、機器等の汚染を除去する除染器の設計・開発・運用、廃棄物処理、定期点検工事等を手掛けています。また、福島第一原子力発電所では、震災直後から現場に入り、放射性汚染水処理設備の運転・保守管理を担当。また、除染等に役立つロボットの開発、ドローンを活用した線量調査等に取り組み、幅広く事故の収束、安定化への貢献に努めています。

貴社グループが目指すIFM事業について、教えていただけますか。

これまでFM業界では、ハード系の維持管理が中核業務でしたが、これからはソフト面も含む周辺サービスを提供するIFM(Integrated Facility Management)事業が主流になると考えています。IFM事業は、清掃・警備・設備管理にとどまらず、受付、託児所運営管理、送迎バス運行管理、機密文書溶解処理、ケータリング手配、レストラン・カフェ運営等、サービス範囲がとても広いことが特徴です。一言でいうならば「お客さまのコア業務以外のあらゆる周辺サービスをワンストップで請け負う」ことだと思います。欧米では、十数年前にビルメンテナンスからIFMへの移行が進み、今も市場は着実な成長を続けていると聞いています。弊社もIFM事業へ進出するべく、2016年3月に世界80ヵ国で事業展開している仏ソデクソ社と合弁会社、グローブシップ・ソデクソ・コーポレートサービス株式会社(GSS)を設立しました。

GSSでは、国内に拠点を持つ外資系グローバル企業を中心にIFMサービスを提供しています。清掃・警備・設備管理はもちろん、お客さま先にヘルプデスクを設けて会議室の予約・セッティング、宿泊予約サービスを提供したり、人事・総務等の業務も請け負っています。さらに、2018年春からは一部フードサービスも提供する予定です。

IFMサービスが提供されている事業所のお客さまは快適なオフィス環境で自身の業務に集中することができ、仕事への意欲が高まり、離職率も低下し、生産性が上がるといった効果が期待できます。

今後、GSSで得られた成果やノウハウを本社にフィードバックし、国内のお客さまにもIFM事業を提供していきたいと考えています。

今後の海外戦略について教えていただけますか。

社名の「グローブ(GLOBE)」は地球環境、「シップ(SHIP)」は、志(こころざし)と船を意味していると、公式にアナウンスしていますが、実は「グローブ」には、もうひとつグローバル企業を目指すという意味が込められています。現在、中国では森ビル株式会社および同業2社と合弁で上海環月物業管理有限公司を立ち上げ、FMサービスを展開しており、今まさに第二の拠点としてインドネシア進出の準備を進めているところです。現在ジャカルタで日系オフィスビルが建設されているのですが、私どもはソデクソ社と合弁会社を設立し、同ビルにIFMサービスを提供することを予定しています。また、ミャンマーのヤンゴンでも日系のオフィスビルの建設が計画されており、現在弊社の国内拠点で働いているミャンマー出身の技能研修生をここに配置し、現地に即した質の高いサービスを提供する予定です。

今後もアジアを中心に海外事業を展開し、グローバル化にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。

会社概要

社名
グローブシップ株式会社
所在地
東京都港区芝4-11-3 芝フロントビル
資本金
1億円
事業内容
ビル総合管理・設備管理・保安警備・防災設備管理・清掃管理・環境衛生管理・マンション管理・庭園管理・各種営繕工事・省エネ関連・地域冷暖房運転管理・ビル管理コンサルティング・ファシリティマネジメント・プロパティマネジメント
TEL
03-6362-9700
URL
https://www.globeship.co.jp/