Ecological Company Special 〜環境経営の現場から〜

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Ecological Company Special 株式会社遠藤照明 代表取締役社長 遠藤 邦彦氏

業務用LED照明器具のパイオニアとしてグローバルに事業を展開する株式会社遠藤照明。人と地球にやさしい“エシカルライティング”をキーワードに光の可能性を追求する同社の取組について、代表取締役社長の遠藤邦彦氏に伺いました。

貴社の事業概要をご紹介いただけますか。

当社は、2017年に創業50周年を迎えた照明器具の専業メーカーです。業界最後発で市場参入したこともあり、当初は販売代理店ルートではあまり製品を扱ってもらえなかったため、建築設計会社や照明デザイナーあるいは施主さまに直接アプローチし、現場での評価を高め、徐々に事業を拡大してきました。

当社の事業が躍進する起点となったのは2009年でした。当時は、リーマンショックや大型ショッピングセンターの出店規制等により、需要が冷え込み、経営は危機的な状況に陥っていました。そのとき創業者であり現代表取締役会長の遠藤良三が「今後、経営資源をLED照明に集中投下する」という経営判断を下したのです。当時のLED照明は、非常に高価な上に演色性が悪く、照明市場全体の数%程度しか普及していない状況でした。LED照明への全面シフトはリスクが大きいと反対する幹部社員もいましたが、「将来は必ずLEDの時代が来る」と判断し、世界に先駆けて実用的なLED照明器具の開発に取り組みました。この戦略が奏功して業績はV字回復し、現在では業務用LED照明分野では、業界のパイオニアとして評価をいただいています。

貴社が掲げる「エシカルライティング」の意味を教えていただけますか。

我々の仕事は、「人」と「光」の新しい関係をつくっていくことだと考えています。光は、単に空間を明るく照らすだけではなく、人の心理や身体にさまざまな影響を与えるといわれています。たとえば、認知症を患い睡眠・覚醒リズムが崩れた状態の方に強い光を照射すると、せん妄等の症状が改善することが多くの文献で紹介されていますし、ブルーライトには眠くなるホルモン「メラトニン」の分泌を抑制し、目を覚まさせる効果があるとの研究報告もあります。光は、常に人間の身体を透過しているため、ほかにも心理面や健康面にさまざまな効果をもたらしていると考えられています。また、光には、視認性を高めたり、光で動線を示すことでその国の言葉がわからない方や聴覚に障害のある方を誘導したり、社会空間の安全性を高める効果も期待されています。私たちはそうした光の持つ可能性を最大限に引き出し、より豊かな光環境を、より少ない資源とエネルギーで実現するキーワードとして「エシカルライティング」を提唱しているのです。

LED照明ブランド「LEDZ」の紹介をお願いします。

我々が開発に乗り出した2009年当時、LEDは家電の動作ランプや自動車のライト等に使われている程度で、商業空間や家庭でLED照明が使われることはほとんどありませんでした。そのような中、我々は半導体メーカーにいち早くアプローチして照明用LED素子を入手し、自社でレンズ設計を行い、メーカーと共同でチップを開発し、グローバルの製造拠点である中国工場とタイ工場で、低価格かつ高効率なLED照明「LEDZ」を生産しました。「LEDZ」がシェアを拡大するきっかけとなったのは、東日本大震災でした。震災後の電力不足を受けて、多くの商業施設や工場、事業所が消費電力削減に取り組む中、省エネ性能に優れるLED照明が注目され、「LEDZ」が一気に広まったのです。

現在も「LEDZ」シリーズは、業務用LED照明器具で業界トップクラスの品揃えを誇り、日本全国のショールームを活用した積極的な販売活動により、高いブランドイメージを確立しています。最新の「LEDZ SDシリーズ」では、業界トップクラスの200ルーメン/ワットの高効率なLED照明器具を実現していますが、今後は、ハードだけではなくソフトで光を制御する「Smart LEDZ SYSTEM(以下、Smart LEDZ)」に注力し、さらに付加価値の高い光環境を提供していきたいと考えています。

反射板とレンズによる多彩な配光が可能で商業空間に最適な「LEDZ DUAL」

反射板とレンズによる多彩な配光が可能で商業空間に最適な「LEDZ DUAL」

「Smart LEDZ」について、教えていただけますか。

「Smart LEDZ」は、無線信号ですべての照明器具を個別に制御し、最適な光環境を実現するとともに、省エネ・光熱費削減を両立する画期的なシステムです。無線制御なので配線工事を行わず、既設照明を「Smart LEDZ」対応照明に取り替え、タブレット型コントローラとゲートウェイ(信号送受信機)を導入するだけで、最大2,000台の照明器具を個別に制御することができます。

その用途は実に多様です。レストランであればランチタイムは明るい光で照らし、ディナータイムはリラックスできる暖色系の光にしたり、食品スーパーであれば、生鮮品や日配品、特売品等の商品および店内レイアウトに合わせて光の量や色を変えて販売を促進したり、工場・倉庫であれば人感センサーと組み合わせて明るさを調整して電力消費を削減したり、さまざまな演出、省エネ効果を容易に、かつ低コストで実現できます。

昨今、話題の働き方改革にも「Smart LEDZ」が役立つかもしれません。たとえば、緊張感のある会議をしたいときは自然光に近い光で照らし、アイデアを出し合う企画会議のときは脳が活性化するような光に変え、休憩時間はやわらかな光で心と身体を休める等、メリハリのある働き方を光により演出できるのではないかと考えています。

さらに、「Smart LEDZ」は、拡張オプションを追加すれば屋外照明や什器照明、看板灯等の非調光器具を制御することや、EMS(エネルギーマネジメントシステム)と連携して空調や各種センサーを制御することも可能です。

無線で照明器具を制御する「Smart LEDZ SYSTEM」

無線で照明器具を制御する「Smart LEDZ SYSTEM」

環境保全についてどのような取組をされていますか。

地球環境保全に貢献するため、省エネ・高効率製品および環境に配慮した製品の開発から、廃棄物の分別によるリサイクル化、書類の電子化によるリデュ−スまで、取引先を含めたグル−プ全体での環境対策活動を推進しています。

特に、製品開発においては、特定の化学物質、カドミウム、鉛、水銀、六価クロム化合物、ポリブロモビフェニル、ポリブロモジフェニルエーテルの使用を禁止する指令(RoHS指令)を遵守し、環境負荷物質の低減に取り組んでいます。

また、当社では2009年度からLED照明器具の生産・販売に取り組み、従来型照明器具をLED照明に置き換えてきた成果により、2017年度までの累計で151万トン以上のCO2削減と100万キロワットの電力削減に貢献してきたと考えています(※)

  • 遠藤照明が集計期間内に販売したLED光源器具が発生させたCO2量と電力使用量に対し、従来型照明器具を同数販売した場合の差額から算出。

遠藤照明が生産・販売したLED照明器具によるCO2削減量

遠藤照明が生産・販売したLED照明器具によるCO2削減量

グループ会社のイーシームズが手掛ける環境ソリューション事業の紹介をお願いします。

1999年に当社内の組織として発足したエスコ推進課が母体であり、当時は食品スーパーを対象に既設の非効率な照明器具を省エネルギー型に切り替え、コスト削減に貢献する事業を展開していました。その後、グループ会社として独立し、現在ではLED照明器具のレンタルサービスを中核事業としつつ、省エネ、事業効率化につながるさまざまな環境ソリューションを提供しています。LED照明は従来型照明と比べて高価なので、店舗の照明をすべて入れ替えるには膨大な初期投資が必要でした。この課題を解決したのがイーシームズのLED照明レンタルサービスです。このサービスを利用すれば、店舗は初期投資なしでLED照明へ切り替えられ、光熱費を大幅に削減できます。このレンタルサービスは、食品スーパーを中心に広く普及しており、おそらく現在でも業界の約4割で利用されていると思います。

さらに、イーシームズは、レンタルだけではなく、売場や時間帯に合わせた光環境を演出するサービスや、空調や冷蔵ケース等のエネルギー利用を最適制御するEMSソリューション等の事業も提供しています。

光の文化活動の内容を教えていただけますか。

先ほど、光には心や身体にさまざまな影響を与える可能性があると話しましたが、そのような光の可能性を、より多くの方に知ってもらうために始めたのが「光育(ヒカリイク)」という文化活動です。

特設Webサイトでは、身の回りにあふれる、さまざまな光をテーマにしたコラムや照明デザイナーへのインタビュー記事、照明に関する基礎知識の説明等の情報を発信しています。また、照明の基礎を学ぶセミナーや光をテーマにしたイベント等も開催しています。

今後の事業展望を教えていただけますか。

現在、海外の売上高比率が約3分の1を占めており、特に欧州エリアが好調です。これは2014年に買収した英国Ansell社の業績が好調に推移している影響です。今後も欧州エリアでは、Ansell社を中心に、LED照明市場の開拓を進め、売上高比率をさらに高めていきたいと考えています。

アジア地域では、中国工場およびタイ工場の生産力を生かし、フィリピンおよびインドを中心に事業を拡大していく計画です。

国内市場におけるLED照明への取替需要は一巡し、ハードの性能もある程度上限まできているので、大きな成長は望めませんが、我々は「Smart LEDZ」をベースにした付加価値の高いソリューションを提案することで、新たなニーズを開拓していきたいと考えています。

会社概要

社名
株式会社遠藤照明
所在地
大阪府大阪市中央区備後町1-7-3
資本金
51億5,500万円
事業内容
各種照明器具の企画・デザイン・設計・製造および販売、インテリア家具・用品の販売
TEL
06-6267-7095(代表)
URL
https://www.endo-lighting.co.jp/