Ecological Company Special 〜環境経営の現場から〜

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Ecological Company Special ユナイテッド計画株式会社 取締役社長 平野 久貴氏

産業廃棄物処理業を手掛けるユナイテッド計画株式会社は、環境に配慮した先進的な焼却溶融設備を誇る「リサイクリングワーフ秋田」を運営するとともに、関連会社を通じて「秋田産電力」を供給するバイオマス発電所を展開しています。環境保護と地域活性化に貢献する同社の取組について取締役社長の平野久貴氏にお話を伺いました。

貴社の沿革および事業概要をご紹介いただけますか。

前身は、先代が1965年に設立した平野産業で、当初は運送業や土木工事業を手掛けていました。1979年の第二次オイルショック以降、いわゆる「建設業冬の時代」が訪れて仕事が激減したため、1986年に現在の主要事業である産業廃棄物処理業へ参入しました。

1993年には、商号をユナイテッド計画株式会社に変更。同年に管理型処分場を立ち上げ、2011年に産業廃棄物を焼却溶融しながら発電も行う「リサイクリングワーフ秋田」を稼働しました。そこで培ったノウハウ・経験を生かし、2013年に関連会社のユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社でバイオマス発電事業へ進出することを決めました。

「リサイクリングワーフ秋田」の焼却溶融施設は、先進的な取組ですね。

当時、日本では電気機器等に使われているPCB(ポリ塩化ビフェニル)の毒性が問題視されていました。その課題を解決するため、PCB 特措法(ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法)が立法されるとの情報を入手した我々は、将来を見据えてPCBを安全に処理できる焼却溶融施設を備えた処分場を、業界に先駆けて建設する決断を下しました。

大気汚染防止策やリサイクル、自家発電等、さまざまな環境配慮策を講じていますね。

ロータリーキルン型の焼却溶融炉は、1,300℃の高温下で廃棄物を撹拌しながら焼却溶融することにより、発生するダイオキシン類等の有害成分を完全分解できます。焼却溶融後の廃棄物は無害なスラグとして排出されます。このスラグは道路の路盤材やアスファルト骨材として利用可能であり、溶融メタルは金属資源としてリサイクルされています。

焼却溶融時に発生する排ガスは二次燃焼室に送り、未燃分まで完全燃焼させています。排ガスに含まれる塵や有害成分はバグフィルターで除去し、大気中に有害物質を排出しません。

なお、高温の排ガスは水管を張り巡らせたボイラーへ送り熱エネルギーを回収し、これをタービン発電機に送り、施設内の電力として自家消費しています。この自家発電により「リサイクリングワーフ秋田」では、CO2排出量の大幅な削減を実現しています。

リサイクリングワーフ秋田の焼却溶融施設
リサイクリングワーフ秋田の焼却溶融施設

バイオマス発電へ参入された経緯を教えていただけますか。

きっかけは2011年にFIT法(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)が成立し、再生可能エネルギー発電が注目されたことです。我々は「リサイクリングワーフ秋田」を運営する過程で廃棄物発電に関する技術やノウハウを蓄積していたので、これを生かして木質バイオマス発電事業へ参入しようと考えました。しかし、この計画の実現には、構想から6年もの年月を要しました。

なぜ6年もの年月がかかったのですか。

最大の理由はファイナンスです。総事業費125億円のビッグプロジェクトなので、地元金融サイドから「エクイティが20億円なければファイナンスを組成できない」と言われてしまったのです。我々が自前で用意できる金額は5億円でしたので、あと15億円調達しなければなりませんでした。さまざまな投資会社に事業計画の重要性を説明して回り、最終的に、くにうみアセットマネジメント株式会社様と株式会社レノバ様、環境省所管の一般社団法人グリーンファイナンス推進機構様から出資をいただき、何とか20億円を調達しました。

さらに、秋田県のふるさと融資で31億円を借り受け、残りの80数億円を地元の全金融機関と県外金融機関によるプロジェクトファイナンスで賄い、ようやく2016年にバイオマス発電所を立ち上げることができました。

ユナイテッドリニューアブルエナジーのバイオマス発電所
ユナイテッドリニューアブルエナジーのバイオマス発電所

燃料の木材は、どのようなルートで調達しているのですか。

我々は産業廃棄物処理業者で、木材や林業はまったくの素人でしたから、県立大学の先生や秋田県農林水産部の方々に、木材の特性や燃料として利用するための技術、原料調達のスキーム等を1から教えていただきました。その過程で、秋田県は全国一のスギ人工林面積を誇り、その大半が植林から60年以上たった老木でCO2の吸収量より排出量が大きく、地球温暖化対策として伐採の必要があることがわかりました。また、雪の重さで幹が曲がって用材にならない未利用材が放置されている事情も見えてきました。

秋田県はこうした林業資源活用の課題を解消するべく、秋田林業大学校を設立して若い林業従事者の育成を行い、積極的に機械化を進めており、バイオマス発電の燃料調達に適した環境が整っていることもわかりました。

そこで我々は県内の林業関係者のもとへ足を運び、バイオマス発電に必要な木材チップを供給していただけないかと、お願いして回りました。この依頼に県内全域の林業関係者がご賛同くださり、県南3ヵ所、県北3ヵ所、県央2ヵ所にチップ工場を設置して安定供給できる体制を確立していただきました。

一般的なバイオマス発電所では、半径50キロメートル圏内から燃料を調達しないと採算が合わないといわれますが、我々は県内全域100キロメートル圏内から燃料を調達することを選択しました。それは、この事業を単なる発電事業ではなく、秋田県全体の地域経済発展に貢献するプロジェクトにしたいと考えたからです。

幸いにも、我々は土木工事事業を手掛けており県内の地理に精通していたため、100キロメートル圏内でも平坦な輸送ルートを利用すれば採算が取れることがわかっていたのです。

地域によって木材チップの品質がバラつくことはありませんか。

木材は生育環境や保管、加工状態で含有水分量が異なるため、そのままの状態だと発熱量が変化し、発電量が不安定になる恐れがありました。この課題には「リサイクリングワーフ秋田」で培った廃棄物発電の技術とノウハウを生かしました。木材チップを燃焼させる前にロータリーキルン型の乾燥機を設置し、含有水分量を35%まで落とすことで、安定した発電を実現したのです。

PKS(ヤシ殻)も燃料に利用しているそうですね。

現在、秋田県産の木材チップを7割、インドネシアやマレーシアといった東南アジアのPKSを3割の比率で使用しています。ちなみに、PKSとは、ヤシの実の種子の中心(仁)を覆う殻の部分で、パーム油生産の副産物です。

環境配慮については、国際認証RSPOを取得したプランテーションから採れるヤシの実のPKSを利用していることと、栽培過程における児童労働や不法投棄等の問題がないか等、我々自身が直接現地を訪れてトレーサビリティ調査を行い、毎年報告書を作成しています。

バイオマス発電が地域経済に与えた波及効果を教えていただけますか。

現在の発電量は東北最大級の20.5メガワットで、一般家庭4万世帯分の「秋田産電力」を供給しています。

地域経済への波及効果として、まず挙げられるのは、林業関係者の安定した収益基盤づくりへの貢献です。建築等の用材は需給で価格が変動するため、これまで林業関係者の収入は不安定になりがちでした。一方、木材チップは、年間を通じて需要があり価格も変動しないので安定収入を確保できます。今まで捨てていた未利用材が安定した収入源となり、先を見通した経営が可能になったので、新たに人を雇用したり、後継者を育てたりする林業関係者も増えています。

また、県内8ヵ所で燃料チップの加工工場が稼働し、チップ製造や運送業等、新たな仕事が創出され、県内だけでも約100人の新規雇用があり、経済効果は20年間で約500億円ともいわれています。

バイオマス発電所創業による地域経済への波及効果
バイオマス発電所創業による地域経済への波及効果

貴社の今後の展望を教えていただけますか。

産業廃棄物処理はもはや成熟産業であり、今後は地元密着型か大規模広域型へ二極化していくことが予想されています。我々は後者としてM&Aを活用しながら広域化・大規模化を進め、ヨーロッパ、アメリカの廃棄物処理産業に近づきたいと考えています。

バイオマス事業については、地球温暖化防止の観点から今後も成長が期待されますが、問題はFIT終了後です。当然のことながら、我々はすでにFIT終了後を見据えた対策に取り組んでおり、将来にわたって持続可能な成長を図れると考えています。

会社概要

社名
ユナイテッド計画株式会社
所在地
秋田県潟上市昭和豊川槻木字槻13-1
資本金
1億円
事業内容
土木・舗装工事における設計・施工・管理、産業廃棄物の収集運搬および中間処理・リサイクル・最終処分、骨材販売業、総合建物解体業、一級建築士事務所、PFI事業
TEL
018-877-3027
URL
http://www.united-k.jp/