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2大国の「特別な責任」の意味

 9月23日、ニューヨークの国連本部で気候サミットが開催され、およそ120カ国の首脳が参加した。この会議は、温暖化対策をめぐる国際交渉進展に政治的気運を盛り上げるため、パン・ギムン(潘基文)事務総長が呼びかけたものだ。

 会議で注目されたのは、米国のオバマ大統領が「先進国と発展途上国がともに責任を果たすことが必要だ」と従来の立場を強調したのに対して、中国のジャン・ガオリー(張高麗)副首相が「温暖化の原因をつくったのは先進国側だ」とあらためて主張しながらも、2020年以降の温暖化ガス排出削減目標に関連して「できるだけ早く削減案を示し、CO2(二酸化炭素)の総排出量の削減に向け努力する」と言及したと伝えられる点だ。

 中国が方針を転換して総量削減目標に舵を切らざるを得ない事情の1つに、1850年以降の累積温暖化ガス排出量を基に計算される気候変動寄与度が、この数年のうちに先進国と途上国で逆転すると予想されていることがある。2013年、オランダの環境評価庁が発表した推計結果によれば、2010年までで寄与度のシェアは、先進国52%、途上国48%であり、2020年までに途上国のシェアは51%に達するという。

 エネルギー起源CO2排出量(2011年)で見ると、1位の中国と2位の米国の合計は世界の4割を軽く超える。オバマ大統領は気候サミットで「米国と中国は世界を牽引する特別な責任を有する」と述べたという。2大国の「特別な責任」に希望をつなぐしかない。

(株式会社日本総合研究所 足達 英一郎)