※内容は、取材当時のものです。

社員・株主300人超の力で築く希望の公園。
ダブリンの荒れ地を1日で再生

~SMBC Aviation Capitalが
取り組む、
実践型の社会貢献プログラム~

  • デイビッド・スワン
    SMBC Aviation Capital デイビッド・スワン
  • 菊田 礼
    (株)三井住友銀行 菊田 礼
  • 岡戸 博和
    (株)三井住友銀行 岡戸 博和

貧困・格差

教育

多くのグローバル企業が欧州拠点を構え、近年目覚ましい経済発展を遂げるアイルランドの首都ダブリン。しかしその発展の陰で、一部の地域は貧困や格差といった社会課題を今なお抱えている。そうした地域では、行政による十分なインフラ投資が行き届かず、公営住宅の老朽化や公共施設の不足が問題となっている。さらに、薬物犯罪の多発など治安への懸念も根強く、こどもたちが安全に成長し、豊かな学びや挑戦の機会を得るための環境が脅かされている。

この課題に対し、世界第2位の航空機リース会社であり、ダブリンに本社を置くSMBC Aviation Capital Limited(以下、SMBC AC)は、事業基盤である地域社会への貢献を企業の重要な責任と捉え、社会貢献プログラムを推進する団体「Difference Days」と協働。ダブリンのなかでも特に深刻な貧困や治安の問題に直面するバリーマン地区に焦点を当て「バリーマンの学校を一つも取り残さない」という明確な目標を掲げ、社員が自らの手で地域の課題解決に取り組む活動を続けている。

「行動で示す」という
理念に基づき、
自らの手でコミュニティを
再生する

Difference Daysのプログラムは、社員が地域社会に赴き、公園造成や施設改修といった目に見える物理的な変化を生み出すことを目指す、実践型の社会貢献活動だ。単なる資金提供にとどまらず、社員が一日をかけて地域住民が必要とする空間を創り上げるこの取組は、SMBC ACの社会貢献活動の核となっている。

この活動は、SMBC ACの企業理念に根差しており、取組を推進するSMBC AC Chief Operations and Sustainability Officer デイビッド・スワンは、その核心をこう説明する。

「私たちSMBC ACは『doing is better than talking』、つまり言葉以上に、行動で示すことを信条としています。この活動は、まさにその精神を体現するものです」

この理念に基づき、SMBC ACはDifference Daysと提携した2019年以降、バリーマン地区で5つの学校施設の再生プロジェクトを完了した。この成功をもとに、SMBC ACは活動の焦点を市内の他の地域へも広げ、6回目のプロジェクトは、貧困や建物の老朽化といった課題を抱えていたダブリン8区の公営住宅団地「Dolphin House」で2025年6月に実施された。ここでの目的は、長年放置されていた空間を、こどもたちが安全に利用でき、住民が交流できるコミュニティの新たな中心地として整備することだった。具体的には、わずか1日で、更地からこどもたちの遊び場、ミニサッカーコート、住民が集う菜園などを備えた緑豊かな公園へ生まれ変わらせるというもの。物理的な空間の再生には、住民のコミュニティへの愛着を深め、新たなつながりを生み出すという狙いがあった。

悪天候を乗り越えた
共同作業が、
コミュニティの
新たな中心地を創出

Dolphin Houseでの活動には、いくつかの困難が伴った。活動エリアは、警察官が常駐警備を行うほどの深刻な治安への懸念がある地域であった。さらに活動当日は、朝から激しい雨に見舞われた。そのような状況下でも、SMBC ACのチームは計画通りに作業を進めた。CEO自らが作業着を身につけて一輪車を押し、それに続くように、世界12の拠点から集結した300人を超える従業員と、株主である三井住友銀行(以下、SMBC)、三井住友ファイナンス&リース、住友商事株式会社のメンバーがチーム一丸となって作業にあたった。スワンはこの日のことを次のように振り返る。

「激しい雨が降っていたからこそ、私たちの行動とコミュニティへの想いが、参加者や関係者の方にとって、より一層、誠実で本物であると感じられたのではないでしょうか。困難な状況でもやり遂げる私たちの決意が、その感覚を強くしたのだと思います」

株主の一員として2024年の活動に参加したSMBC グローバル戦略統括部 航空機・船舶金融室 菊田 礼は、この活動が大きな成果を上げている背景には、周到な準備があると説明する。

「活動当日だけでなく、事前に地域住民の方々へ丁寧に目的を説明し、理解と納得を得るプロセスを大切にされていました。さらに現場では、行政や警察、プロの工事業者の方々との緊密な連携によって厳格な安全管理が徹底されていました。これにより、参加者は作業に集中でき、表面的なものではない、長くコミュニティに根付く本当に意味のある改修が実現できているのだと感じました」

国籍や役職を超えたこの協力体制と、地域への深い敬意が、困難な状況下でのプロジェクト完遂を可能にした。そして、一日を終える頃には、放置されていた土地は、こどもたちの歓声が響く遊び場、スポーツに汗を流すサッカーピッチ、そして住民が集う菜園といった、地域に新たな活力と交流をもたらす多機能な空間へと生まれ変わった。

この取組に対し、Dolphin Houseコミュニティ開発協会からは、SMBC ACの姿勢を称賛する感謝状が届いた。そこには「SMBC ACのチームは、私たちのコミュニティに敬意を示してくれました。当初から注意深く耳を傾け、住民一人ひとりに真の温かさをもって接してくれたのです」と、心からの言葉が綴られている。こうした真摯な姿勢と献身的な努力によってもたらされた目に見える変化は、地域住民にとって大きな喜びとなった。

現地コミュニティと
継続的に深くつながり、
社会的価値創造の
幅を広げる

SMBC ACの「バリーマンの学校を一つも取り残さない」という目標は2025年に達成されたが、今後もこの取組をさらに発展させ、地域コミュニティとの永続的な関係を育んでいく考えだ。

地域に深く根差したこの活動は、SMBC ACだけでなく、SMBCグループ全体にも利益をもたらす。SMBC ACの株主として経営管理を担うSMBC グローバル戦略統括部 航空機・船舶金融室 岡戸 博和は、この取組がもたらす長期的なインパクトを次のように見据える。

「SMBCグループは、世界中にオフィスを構えるグローバル企業です。それぞれの国で地域社会と深くつながり、良き企業市民として受け入れられることは、各国で円滑な事業活動を行ううえでの基盤となります。さらに、こうした活動は現地の従業員の誇りを育み、優秀な人材を惹きつける力にもなります。これらの現地主導の取組は、グループ全体の社会的価値創造の幅を広げるうえで、非常に意義深いものです」

最後にスワンは、この取組がもたらす波及効果と、その先に描く未来を次のように語った。

「私たちの実践が先駆けとなり、他の企業も同様の取組を推進することを期待しています。そして、こうした取組が社会全体に波及し、支援を必要とするコミュニティのためにより良い未来を共に創造していくこと。それが、私たちの目指す姿です」

プロフィール

デイビット スワン

SMBC Aviation Capital
Chief Operations and Sustainability Officer

菊田 礼

(株)三井住友銀行
グローバル戦略統括部

岡戸 博和

(株)三井住友銀行
グローバル戦略統括部