日常業務の中にある「社会的価値」に気づき、「仕事を通じて社会を変えられる」実感を深める。そして、未来に向けた行動を一歩踏み出すことを目的に、2025年12月14日に開催されたSMBCグループの社内イベント「SMBC Group Day 2025 ~私たちの仕事で社会的価値を創る~」。
プログラムの一環として、社会課題を起点にビジネスを推進する第一線の経営者やクリエイター、SMBCグループの実践者を招き、意見を交わし合う「社会的価値創造(シャカカチ)トーク」セッションも設けられた。
全部で5回あったトークセッションのうち、今回のテーマは、「社会的価値はどこにある?―日々の業務から“意義”を見出す方法」。The Breakthrough Company GO(株式会社GO。以下、GO)代表取締役 三浦 崇宏氏 と、地域活動や社会貢献に取り組みながら“現場のリアル”に寄り添ってきたお笑いコンビTIMのゴルゴ松本氏をお招きし、PIVOT株式会社の野嶋紗己子氏の進行の下、三井住友銀行 名古屋エリア 教育担当の板垣恵美を交えて語った。
日常的な取り組みや助け合いから
自然と生まれる社会的価値
「社会的価値創造」と言われても、自分の仕事にどう結びつくのかイメージしづらいと感じる人は多い。「社会的価値の創造(シャカカチ)をどのくらい意識/実践できているか」という問いを会場の参加者に投げかけたところ、「あまり意識できていない」という回答が約半数であった。この結果に対し、ゴルゴ松本氏は「言葉そのものを意識しなくても、目の前のことに全力で取り組み、互いに助け合うことで社会的価値創造は成されている」と自身の見解を述べた。
「私は昔から、ただ『夢を実現したい』という思いで、自分の目の前のことにひたすら全力投球し続けてきました。下積み時代は、芸能界ではまだ一切価値を生み出せずにいたので、バイトで生計を立てながら、ネタ作りやライブに全力で挑みました。お笑いライブは全力の一組ずつの競い合いですが、それぞれの全力投球の結果『今日のライブは面白かった』という価値を生むんです。また、プライベートでも夫婦で助け合って生活しています。
社会的価値という言葉は意識しなくても、日々の取り組みや助け合いに全力を注ぐだけで、自然と価値を社会に生み出していけるのではないでしょうか」
こういった無意識の社会的価値創造は、職場内や地域でも同様に起きているはずだと語るゴルゴ松本氏。これを受けて、板垣は金融機関の現場で積み重ねたキャリアをもとに、自身の体験を語った。
「営業担当者時代は達成すべき目標があったので、正直、社会貢献を意識する余裕はなかったです。ある程度歳を重ね、ここからは社会貢献だ、と思うようになりました」
他金融機関でのキャリアを経て、三井住友銀行に40歳で入行した板垣は、もともと日本人の金融リテラシーの低さが気になっていたという。金融経済教育の波が、今後、銀行にもやって来るに違いない。そんな思いから、自主的に手を上げ、全国で1名しかいない教育担当のポジションに就くことができたと、過去の経緯を語った。
シャカカチを柱に、
単に「儲かる会社」から
「誇れる会社」へ
SMBCグループは、金融の力で社会課題を解決する「社会的価値の創造」を経営の柱に据えている。その柱を意識しながら全社的に取り組んでいるものの、人によって熱量の差が生じることもある。どのようなコミュニケーションを社内で取れば、社会的価値創造に全員が熱量を持って取り組めるのか。
この問いに対し、三浦氏は「単に儲かっている複合金融グループではなく、家族や子どもに胸を張って自慢できる企業体であること。周りから尊敬される存在としてあり続けるために、『社会的価値創造』という柱がある。そう捉えてみると、社員の方々の見え方も変わるのではないでしょうか」
とはいえ、個々の社員で自主的に取り組むにも限度がある。会社の中で果たすべき仕事があり、達成すべき数値目標もある中で、社会的価値創造を意識し続けることは難しい。そういった背景をふまえ、三浦氏は大手外資系企業で導入されている制度を例に挙げつつ、社会に役立つ取り組みを数字以外でも評価できる仕組みづくりが重要だと述べた。
「周りの人をケアしたり、住んでいる地域や町のことを考えて動いてみたりするだけでいい。地域や町の利益が、自分たちの業績にも繋がっている。そんな意識を持つところから、取り組みを始めていけたらよいのではないかと思います」
事業課題を起点に
社会的価値の創造に取り組む
では、複合金融グループとしてSMBCグループで働く社員は、具体的にどのような心意気を持って日々取り組むべきなのか。事業課題の解決を起点にしつつ、社会課題について考えを巡らせていくと、思わぬ機会に繋がることがある。板垣は、2024年度のシャカカチAWARD(グループCEO主催の表彰制度)で社長賞を受賞した自らの取組を一例として語った。
「本取組の背景にあったのは、東海地区における三井住友銀行のシェア向上という事業課題です。マーケットの拡大に向け、大学に注目した私は、飛び込み営業でチラシを置かせてもらうところから始め、次に金融経済教育セミナーをご案内し、最後に『大学生にOliveを広めて、デジタル化の推進や日本の成長につなげたい』という想いをぶつけてみました。その時に大学側のキーパーソンと出会い、社会課題解決の実践型教育プログラムを共同で実施できることになったのです」
デジタル総合金融サービスOliveの販促に繋がる上、地域にはキャッシュレス利用の促進効果が期待でき、学生もマーケティングやセールスプロモーションを実践で学習できる本取組は、「三方良しの手触り感ある社会的価値創造の事例」として評価され、社長賞の受賞に至った。
「身近な事業課題と、日本が抱える社会課題について何かできないかを考え続けていたからこそ、思わぬ出会いが生まれ、共創に至りました。私1人の力では決して達成できなかったと思います」
仕事を通じて
会社を成長させることが、
社会的価値を生み出している
板垣の話を受け、進行役の野嶋氏が「社会的価値を生み出したいと思いつつ、事業会社としては、どうしても目先の利益を優先してしまうこともあるのではないか」と会場に問いかけた。会場アンケートを取ったところ、「社会的価値の創造に取り組みたいが、組織文化や環境といった外的要因に挑戦が阻まれ、理想通りに進まないこともある」といった声があった。
社会的価値を語る側の人と現場との間に見えにくい断絶が生じている状況について、三浦氏は、前提として、自らの仕事に力を尽くし、会社を成長させること自体が社会的価値だと強調した。資本主義の世界は、周りを儲けさせなければ自分が儲からない仕組みだ。だからこそ、共に働く仲間を支え、お金を稼ぎ、経済を回して税金を支払うことがそもそも社会貢献になっていると言う三浦氏。
「組織内で与えられた仕事をこなすのは、会社員として必要なこと。それが達成できて、初めて『次』が言えると思います。与えられた環境や仕事がどうしても合わない場合は、部署や転職などの道も選択肢にはあるわけですし、もっと自由に考えてもいい気がします」
さらに、組織の未来は若い世代がつくるものであり、若手の意見を取り入れながら組織全体の価値観をアップデートしていく必要があると、ゴルゴ松本氏は語る。
「逆にいえば、若手も自分の意見を上司に対してしっかり言える大人にならなくてはいけない。自らの意志をきちんと発信し、相手に示すことで、皆がアップデートしていける。そんな時間を組織の中できちんと作っていくことが大切だと思います」
ゴルゴ松本氏の考えを受け、板垣も「『やりたい』ことを『できる』自分であれば、そしてそれが会社や社会から『求められている』ことであれば、手を挙げて、チャレンジしていけばいい。そうすれば、今の仕事をもっと好きになるし、人生自体のウェルビーイングも高まるのではないか」と語った。
最後に、「SMBCグループが今、世の中に発信するべき社会的意義は何だと思われるか」という参加者からの問いに対し、三浦氏は「金融教育」と「コーポレートカラーの『緑』」の2点を挙げた。SMBCグループの発信を通じて、日本人のファイナンスリテラシーが高まれば、日本が『足し算』から『掛け算』のビジネスができる国に変わっていくかもしれない。また、森林や自然を象徴する「緑」の銀行としての誇りを意識した発信をしていくことで、2025年以降の日本、そして国際社会に向けた取り組みのヒントが見出だせるかもしれない。そう、クリエイティブディレクターならではの視点から三浦氏は語る。
締めくくりとして、三浦氏は本イベント全体を振り返って、以下のように総括した。
「『SMBC Group Day』というイベント1つとってみても、SMBCグループの前向きな姿勢が伝わりますし、社員への愛も感じられました。『会社が自分たちのことを愛してくれている』という前提で物事を捉えてみると、社員の方々の見ている景色も変わるかもしれない。そんな可能性が感じられました」
「SMBC Group Day 2025」にて行われたその他の「社会的価値創造(シャカカチ)トーク」セッションについては、別レポートにまとめています。合わせて、ご参照下さい。