日常業務の中にある「社会的価値」に気づき、「 仕事を通じて社会を変えられる」実感を深める。そして、未来に向けた行動を一歩踏み出すことを目的に、2025年12月14日に開催されたSMBCグループの社内イベント「SMBC Group Day 2025 ~私たちの仕事で社会的価値を創る~」。
プログラムの一環として、社会課題を起点にビジネスを推進する第一線の経営者やクリエイター、SMBCグループの実践者を招き、意見を交わし合う「社会的価値創造(シャカカチ)トーク」セッションも設けられた。
全部で5回あったトークセッションのうち、今回のテーマは、「顧客の“困りごと”から始まる事業創造―Trunkが拓く金融の新領域」。The Breakthrough Company GO Creative Director 小林大地 氏 進行の下、お笑いコンビ ペナルティのヒデ氏をお招きし、三井住友銀行 ホールセール統括部 法人デジタル企画室の山下祐人と柳澤隆大の2名を交えて語った。
中小企業の困りごとを起点に、
「安い・早い・使いやすい」に挑戦
資金管理や経理業務の煩雑さに悩む企業は多い。多くの企業が抱える資金・経理面の課題を解決するべく、SMBCグループが2025年5月、新たに立ち上げたのが中小企業・スタートアップ向けデジタル総合金融サービス「Trunk」だ。
三井住友銀行の法人口座「Trunk(トランク)」|オンライン完結 : 三井住友銀行
最短翌営業日に口座開設ができ、手数料設定は業界最低水準。かつ、操作画面も直感的に使いやすい仕様にしており、「安い」「早い」「使いやすい」の3点がTrunkの強みだ。今後はさらに、カードやファイナンス等の機能も拡充させていく方針だ。
「Trunk」立ち上げの背景には、2024年3月のマイナス金利政策解除があった。金利の正常化によって、金融機関としても中小企業向けのサービスに投資できるようになり、お客さまの困りごとに改めて真剣に向きあっていった結果、新サービスの着想に至ったと山下は語る。
この「お客さまの困りごと」に対し、ヒデ氏は芸能人の目線から見た難しさについて述べた。一定以上の知名度がある芸能人でも、別の事業を始めようとする際に口座開設や銀行取引の申し込みで苦戦するケースは少なくない。Trunkによってそうした「壁」を乗り越えやすくなるのであれば、挑戦したい若手世代にとって喜ばしいことだと語った。
「お客さまと向き合ってきたつもりだったが、生の声と改めて向き合う中で反省も多かった」と柳澤は、当時を振り返る。Trunkという新たな試みに際し、柳澤たちはお客さまとの対面ヒアリングを実施したが、そこで浮かび上がってきたのは「起業直後の口座開設でメガバンクは厳しい」と、多くの方が常識のように捉えている実態だった。
リスク対応と利便性を両立させた
商品設計と社内対話の重要性
金融機関としては、法令対応や各種規制対応を厳しくしなければならないという側面がある。とはいえ、実態として「メガバンクに申し込んでも、手続きに時間がかかり、最終的には口座開設できなかった」という困りごとが多発していた。
これらの課題解決に向けてTrunkの立ち上げを進めていったものの「乗り越えなければならない壁は多かった」と山下は語る。個人向け金融サービス「Olive」の成功事例を参考に、お客さまへのインタビューを徹底しながら、アジャイル型で開発を進めていったが、「リスク対応」と「使いやすさ」のバランスには特に苦慮したという。
「従来の口座開設でお客さまに入力いただいていた項目一つとっても、安全性を保ちつつ、どれだけお客さま目線で便利なように工夫できるか。口座開設時の審査を担当する専門部署とも議論を交わしながら、1つ1つ詳細を詰めていきました。最終的に、約200項目あった入力項目は約70項目に減り、お客さまに馴染みの薄い専門用語も伝わりやすい表現にしました」
金融機関としてのリスク対応と顧客体験の良さは、バランスが難しい。そのため、審査を担当する部署では、お客さまと相対しながら、口座の犯罪利用防止に力を入れつつ、顧客体験の向上の両立を図る必要がある。その趣旨をきちんと理解してもらう過程も重要だったと柳澤は主張した。
「単にTrunkの方針を打ち出すだけでは、現場の方々は受け入れにくいものです。なぜTrunkという新サービスを打ち出すのか。どういった方々を迎え入れるためのものなのか。何度も何度も対話を重ね、現場の方々との対話を重ね伝えていきました」
口座開設の手続きを郵送や来店不要で、オンライン完結できるのがTrunkの大きな強みだ。しかし、その裏側では、今までにないオペレーションを構築するべく、地道な準備を積み重ねてきたと柳澤は語る。構想から約2年、社内での対話を重ねつつ、Trunkを実現できる体制を整備した。
「デジタル完結」の強み。
日本全国に広がるTrunkの申し込み
そうして2025年5月にリリースを迎えたTrunk。2025年12月時点で口座開設数は30,000件を超える勢いだ。
柳澤によれば、お客さまの属性は東京・大阪・名古屋といった大都市圏のみならず、デジタル完結の強みから47都道府県至るところから申込みがあり、代表者の年齢層も10代の若手からシニア層まで多岐にわたるという。
「実際に、高校生で起業された方から口座開設の申し込みを頂いたことがあります。『オンライン完結だったことで放課後に申し込みができて良かった』とのことでした。時間と場所を選ばないデジタルならではの価値を実感したエピソードでした」
柳澤の話を受けて、ヒデ氏は「自分の息子に勧めたい、非常に完成度が高いサービスだ」とTrunkを評価した。幼い頃からエンジニアを志望し、3Dプリンターを活用したものづくりにも強い関心を持つこどもに対し、ヒデ氏はその才能にどう投資していくべきか、頭を悩ませていたという。
「親の支援にも限界があります。こども達の方がアンテナの感度も高いので、自らその才能を活かす機会を切り拓いていける方が良いと思うのです。インターネットにはリスクもありますが、Trunkのように挑戦する人の背中を後押し・伴走してくれるようなサービスは、本当の意味で優れたサービスだと思います」
「信頼できる経理部長」として、
中小企業の成長を支え、
日本の再成長に貢献
地元でビジネスをしている友人やセカンドキャリアを考えているスポーツ選手にもTrunkのことを勧めてみたいと語るヒデ氏。その言葉に、笑顔で頷く柳澤。「手前味噌ながら身内にも自信を持って勧められる商品ができたと実感している」とサービス品質の良さを語った。
Trunkのメインターゲットは、従業員数が少なく、経理担当者も僅かな企業だ。だからこそ、「企業経営者が志一つで起業して、後のお金回りはTrunkに任せてもらえるという状態を作っていきたい」と山下は今後の展望を示す。具体的には、請求書管理から資金繰りの見える化、急な資金不足を支える機能まで対応できるように、現在準備が進んでいるという。
「信頼できる経理部長」として、Trunkをより多くの方に使っていただけるように今後も広めていきたいと、これからの意気込みを語る山下。日本の再成長には中小企業の成長が必須であり、Trunkを通じてその一助を担いたいと強く訴えた。そんな山下の思いに、強く頷き、柳澤は熱く語った。
「Trunkを立ち上げるにあたって、『法人口座』のあり方についてたくさん考え抜きました。諸説ありますが『口座』という言葉の語源には、お金のやり取りに関するお客さまと銀行の口約束、つまり信頼関係の証という説があるそうです。今回、より高度化した金融サービスを立ち上げたわけですが、Trunkを入り口に多くのお客さまと信頼関係を結び、お客さまと我々、そして日本全体が再成長に繋がる、そうした三方良しの社会的価値の実現を目指していきたいです」
「SMBC Group Day 2025」にて行われたその他の「社会的価値創造(シャカカチ)トーク」セッションについては、別レポートにまとめています。合わせて、ご参照下さい。