「SMBCエルダープログラム」

長寿を日本の成長力に。高齢社会の課題への挑戦

2021.06.08

三井住友銀行 
ライフシフト・ソリューション部
久野天平(くの てんぺい)
間宮啓介(まみや けいすけ)
中原大輔(なかはら だいすけ)
金 聖愛(きん そんえ)

人生100年時代の長寿人生を支え、お客さまに安心とゆとりをお届けするために。2021年4月、これまでの金融サービスに加え、非金融サービスも提供する「SMBCエルダープログラム」がスタート。専任のエルダーコンシェルジュがお客さまに寄り添い、より充実した生活を送っていただけるようにサポートしていきます。

今回は「SMBCエルダープログラム」の開発と運営に携わるライフシフト・ソリューション部から、グループ長の久野天平以下、間宮啓介、中原大輔、金聖愛に、それぞれの立場から語ってもらいました。

INDEX

  1. 1. 金融と非金融を組み合わせた新サービスで、人生100年時代に、安心とゆとりを届ける
  2. 2. サービスを利用されるお客さまとパートナー企業さま。どちらにもご満足いただけるサービスを目指して
  3. 3. エルダーコンシェルジュがお客さまの豊かな人生をサポート。1人ひとりに寄り添い、向き合う
  4. 4. 長寿を日本の成長力に変え、イキイキと心豊かに暮らせる社会へ

金融と非金融を組み合わせた新サービスで、人生100年時代に、安心とゆとりを届ける

間宮啓介

SMBCエルダープログラム開発の背景を教えてください。

間宮 : 商品開発の仕事に携わって約10年になりますが、これまでは、主に個人のお客さまがお持ちのご資産に関する運用や相続のお役に立てる商品を開発してきました。しかし、近年は従来のサービス領域だけでは、お客さまのニーズに十分に応えることができていないのではないかと感じていました。

その理由の1つは、日本社会の高齢化が進み、お客さまのライフスタイルやニーズが多様化しているということ。お客さまから、さまざまなご相談をいただくなかで、金融商品だけではカバーしきれない日々の暮らしや健康に関するお悩みへの解決手段が必要であると感じるようになってきました。もう1つは、金融商品を取り巻く市場環境の変化を受け、世の中にはさまざまな商品サービスが登場しており、三井住友銀行ならではの魅力をどのように提供していけば良いのかといった悩みもありました。

そのような背景を受けSMBCグループでは、3年ほど前に金融という枠を超えた「人生100年時代」プロジェクトチームを発足し、さまざまなサービス・商品の検討に着手することになりました。そしてこの度、第一弾として「SMBCエルダープログラム」をリリースしました。

SMBCエルダープログラムの概要と特長を教えてください。

間宮 : SMBCエルダープログラムは銀行が金融という枠を超え、人生100年時代で多様化するお客さまのお困りごとやご要望にお応えするための新しいサービスです。

このプログラムの最大の特長は、銀行がエルダーコンシェルジュとエルダー専用デスクを設定していることです。専任のエルダーコンシェルジュがお客さまのお困りごとの相談に乗り、サービスのご提案やサポートを行います。また電話窓口としてエルダー専用デスクを用意し、お客さまからのご要望にオペレーターがお応えします。

お客さまがご利用いただきやすいように、シンプルで分かりやすいサービスの設計にしています。例えば、サービスのご利用にあたってお預けいただく口座を、皆さまになじみのある普通預金にすることで、多くの方にご利用いただけるのではないかと思っています。

また、日常生活に役立つさまざまなサービスを導入しました。お客さまのニーズに応える付加価値をご提供するサービスモデルなので、今後もお客さまのご要望に合わせてサービスを常に進化させていきたいと思っています。

このサービスを通じて、お客さまにどのような暮らしをお届けしたいですか?

間宮 : 「なんとなく不安だけれど、何から始めれば良いのか分からない」という漠然としたご不安をこのサービスで解消していただき、いくつになっても趣味を楽しんだり、生きがいを見つけたりとポジティブな方向にお気持ちをシフトしていただけるといいですね。

サービス開始後に、どのような声や問い合わせがありましたか?

間宮 : 2021年3月15日のプレスリリースの後、新聞や一部テレビのニュースでも取り上げていただき、多くの反響をいただきました。いくつかの支店では新聞の切り抜きを持って「このサービスを申し込みたい」と来店されたお客さまもいらっしゃいました。こういったお客さまの声を聴くことができるのは、大変うれしく今後の励みにもなりますね。

SMBCエルダープログラムとは?

人生100年時代を支え、お客さまに安心とゆとりをお届けするために、これまでの銀行サービスに非金融の生活支援サービスも加えた、さまざまなサービスを提供していきます。

SMBCエルダープログラム ピンチで拡大

<3つの特長>

  1. 1. これからの生活に役立つサービスを月額9,900円(消費税込)でご提供します。
  2. 2. 専任のエルダーコンシェルジュとエルダー専用デスクがお客さまのお気持ちに寄り添って対応します。
  3. 3. 銀行サービスと提携・付帯サービスを組み合わせ、お客さまの生活に安心とゆとりをお届けします。

<対象となるお客さま>

本預金の専用口座を新規開設いただき、1,000万円のお預け入れを継続いただけるお客さま。
※未成年、法人のお客さまは対象外となります。

<提供サービス>(2021年4月時点)

備える

  1. ・ 健康相談ダイヤル・セカンドオピニオン手配・受診手配サービス
  2. ・ 水まわりや鍵トラブル等の駆け付け出張サービス
  3. ・ 代理人キャッシュカード・代理人指名手続き
  4. ・ 介護施設等取扱企業紹介サービス

守る

  1. ・ 貸金庫・貴重品保管サービス
  2. ・ ホームセキュリティ・みまもりサービス

暮らす

  1. ・ 定額自動送金
  2. ・ リバースモーゲージ型住宅ローン
  3. ・ 家事代行・ハウスクリーニングサービス

楽しむ

  1. ・ 厳選旅のご相談・ご案内サービス

想う

  1. ・ 資産継承特約の付加
  2. ・ 遺言信託、贈与関連サービス
  3. ・ 終活関連サービス

サービスを利用されるお客さまとパートナー企業さま。どちらにもご満足いただけるサービスを目指して

中原大輔

SMBCエルダープログラムで利用できる各種サービスをどのような視点で開発し、選定したのか教えてください。

中原 : まず始めに、お客さまのニーズを調査するため、約3,000名のアンケートを行い、加えて各支店のお客さまに個別インタビューも行いました。

調査の結果、ご高齢のお客さまには健康寿命と資産寿命を伸ばしたい、趣味を充実させたいなどの思いがあり、認知症や介護のような、健康に不安を抱えている方が多いことが分かりました。またお子さま世代は、親世代の生活、例えば離れて暮らす親御さんの見守りや、社会との接点の維持に対する心配はあるものの具体的な行動をしにくく、遠慮している姿が浮かび上がってきました。そのような声を反映して、まずは備える・守る・暮らす・楽しむ・想うという5つの切り口でサービスを選定しました。

パートナー企業とどのように交渉を進めたのか教えてください。

中原 : 三井住友銀行には法人の顧客基盤があり、多くの優良企業さまとお付き合いがあります。
サービスの設計にあたり、パートナー企業さまに本プロジェクトのお話をした際には我々の「高齢社会の課題への取組」という考えに大いに賛同してくださいました。

交渉するなかで難しかった点としては、サービスをご利用になる方も、提供するパートナー企業さまも我々にとっては大切なお客さまだということです。双方がwin-win になるサービスをいかに作るかがポイントでした。普段であれば、個人のお客さま、法人のお客さまの場合でも1対1の交渉が多いのですが、今回は双方にとってベストな内容とするために調整に時間がかかりました。最終的には双方に喜んでいただけるサービスに着地できたと思っています。

今後どのようなサービスを展開していきたいと考えていますか?

中原 : 今後もお客さまのニーズに合わせて、サービスを拡充していく予定です。SMBCエルダープログラムは現場の声を活かしながら、お客さまと一緒に作っていくサービスです。この「お客さま」とはサービスを利用されるお客さまであり、タッグを組むパートナー企業さまの両方を意味します。このコンセプトは変えずに、どんどん発展させていきたいですね。

エルダーコンシェルジュがお客さまの豊かな人生をサポート。1人ひとりに寄り添い、向き合う

金聖愛

エルダーコンシェルジュの役割を教えてください。

金 : エルダーコンシェルジュはSMBCエルダープログラムをご契約いただいたお客さまに対して、日常生活のお困りごとやお金のご相談も含めて、1人ひとりに寄り添い、人生をサポートしていくのが役割です。
元々、運用や相続などでお客さまに個別対応する「マネーライフパートナー」として活躍していたメンバーから、意欲があり、お客さまと長く関係性を築くことが得意で、コミュニケーション能力に長けたスタッフが選定されています。

今までも日常生活のお困りごとなどをご相談いただくケースは多くありましたが、共感することはできても、銀行として何らかの解決策をお示しすることは難しい状況でした。

今はお客さまのご不満、ご不安、ご負担に対してSMBCエルダープログラムをご案内できるようになりました。お客さまと一緒に悩み、考え、そして解決策の1つとしてサービスをご提案し、お客さまに喜んでいただけることがエルダーコンシェルジュ、ひいては私どもの喜びでもあります。

エルダーコンシェルジュ育成にあたって配慮した点や期待することは?

金 : エルダーコンシェルジュにはお客さまの顕在化していないお困りごとに気づいて、お客さまのニーズを引き出すという役割もあるので、SMBCエルダープログラムのサービス内容だけでなく、ジェロントロジー検定資格を取得するなど幅広い知識を習得しています。

  • ※ ジェロントロジー検定:高齢社会が進むなかで、医療・介護・社会保障をはじめ、シニアの心と体や生活など、高齢社会が抱える全体の課題を網羅的に学ぶことができる検定。

コミュニケーションの面でもお客さまのご相談相手としてお役に立てるよう、着任にあたっては研修を実施し、ロールプレイングでのトレーニングなどを実施しています。お客さまがふと困ったな、不安だな、気になるなと感じられたときに気軽に相談に乗ることができる、信頼できる担当者として、お客さまに寄り添い、お客さまの人生が豊かになるようサポートすることを期待しています。

すでに届いているお客さまの声には、どのようなものがありますか? 

金 : 事前のアンケートやインタビューでも予想はしていましたが、デジタルやリモートでのコミュニケーション手段が増えている今の世の中においても、有人での対応に価値を感じていただいているお客さま、銀行に対して安心感を抱いてくださる方が非常に多いです。

ご契約者さまの中には1人暮らしの方も多く、仮にご近所のサポートがあっても、お金のことはセンシティブなので話しづらい、お子さまがいても心配をかけたくない、弱みを見せたくないという思いもあります。だからこそ信頼のおける第三者として、自分に寄り添ってくれる銀行員がご案内するサービスであるということに安心感、満足感を持っていただいているのだと思います。

長寿を日本の成長力に変え、イキイキと心豊かに暮らせる社会へ

久野天平

SMBCグループがSMBCエルダープログラムを提供する社会的意義を教えてください。

久野 : SMBCエルダープログラムは大きな社会課題である「人生100年時代にどう対応するか」ということに対する私たちの1つのアンサーです。高齢社会の課題全体を見据えた、いくつになっても、誰もがすこやかにイキイキと暮らしていくためのプラットフォームだと考えています。SMBCエルダープログラム自体がこれからどんどん進化していき、より良いものへとなっていく。従来の内容が固定されたサービスとは全く違う考え方です。

SMBCエルダープログラムを通じて、どのような社会を目指したいですか。

久野 : 高齢社会の課題に対応し、銀行としての仲介機能を発揮することで社会全体を変えていきたいですね。今後このプログラムが発展していくと、銀行が全く違う業態になっているかもしれません。例えば、心身ともに機能が衰えていくなかでも安心して暮らせるコミュニティを作るとか、自治体と組んでスマートシティを運営し、金融と非金融サービスを一手に引き受ける会社を立ち上げるとか。

私たちは金融業なので、金融サービスは確実に良いものを届けないといけないですし、そこは守りながら、ほかの分野も恐れずに新しいものを提供していきたいです。ただ、あくまでも「お客さまのニーズに合わせて変えていく」のがコンセプト。これが信念ですのでブラさないように、チャレンジしていきたいですね。

SMBCグループのさまざまなサービスを提供していくことで、みんなが心豊かに暮らせる社会になれば、子どもたちも人生100年時代に明るい未来を感じてもらえることでしょう。また、誰もがいくつになっても元気に経済活動に参画していけば、日本の経済成長にも繋がるので、我々もそのお手伝いができればと思っています。

  • ※ 2021年4月取材時の情報です。今後、内容が変更されることもありますのでご留意ください。