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三井住友フィナンシャルグループ

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SMBC Group Report 2019 デジタルで切り拓く金融の未来

CDIOの私が社内のディスラプターとなり、新しい領域へのチャレンジを牽引します 執行役専務 グループCDIO 谷崎 勝教 CDIOの私が社内のディスラプターとなり、新しい領域へのチャレンジを牽引します 執行役専務 グループCDIO 谷崎 勝教

 近年、デジタライゼーションの進展が、社会・経済を大きく変容させつつあります。テクノロジーの進歩の速度は目覚ましく、SMBCグループはまさにパラダイムシフトともいえる、ビジネスモデルそのものが大きく変わりうる局面に直面しています。これは私たちにとって大きなチャレンジであることは間違いありません。しかし、こうしたテクノロジーの進歩を取り込んで、私たち自身が進化する余地は大きく、さらには、他のパートナーと結び付くことで、従来にない新たなビジネスを生み出していけると考えています。
 私たちの中期経営計画「SMBC Group Next Stage」では、デジタライゼーションを、7つの戦略事業領域のすべてに跨り全体を貫く柱として位置付けています。具体的には、お客さまの利便性向上、新規ビジネスの創造、生産性・効率性の向上、経営インフラの高度化といった側面から、あらゆる事業領域で、AI(人工知能)やブロックチェーンをはじめとした新たなテクノロジーを取り込んだデジタライゼーションを推進しています。
 たとえば、キャッシュレス決済分野においては、金融とIT、マーケティングを融合させたハイブリッドなソリューションの提供に向けて「次世代決済プラットフォーム」の構築を進めているほか、決済等を通じて蓄積されたデータを用いることで、よりパーソナライズされたマーケティングの実施や、より精度の高いリスク分析に基づく高度な金融プロダクトの開発・提供に向けて取り組んでいます。また、「情報銀行」のように、データを活用した新たなビジネスモデルも生まれつつあり、将来的にはSMBCグループが「金融業」から「情報業」になっていく可能性もあると考えています。

デジタライゼーションの取組で外部からも高い評価
Cyber Security部門で表彰(英Financial Times誌 傘下のメディア)
Cyber Security部門で表彰(英Financial Times誌 傘下のメディア)
経済産業省・東京証券取引所による「攻めのIT経営銘柄2019」
経済産業省・東京証券取引所による「攻めのIT経営銘柄2019」

全社横断的な変革と、新領域へのチャレンジ

 デジタライゼーションの取組をスピーディーかつ効果的に進めていくためには、自社グループ内の知見だけでなく、お客さまや、ベンチャーを含むパートナー企業が持つデータや技術、ノウハウを適切に組み合わせたオープンイノベーションが不可欠です。従来の自前主義にこだわることなく、API等にも取り組みながら、パートナーとの共創を通じた事業開発に注力しています。
 また、SMBCグループのデジタライゼーションにおいては、専門的なスキルを持った一部の尖った人材や部署によるイノベーションの創出だけでなく、グループ全体にデジタライゼーションを浸透させていくことが重要だと考えています。そのためにも、全社員、特に若い従業員が新しい取組に臆することなく挑戦できる環境の整備を進めるとともに、CDIOである私自身が、社内の「ディスラプター」となり、既存の枠組に囚われない発想に基づく施策を先頭に立って推進しています。
 このように、営業スタイルや本部スタッフの働き方を含めた、ビジネス・カルチャーの全社横断的な変革と、新領域へのチャレンジを両輪で加速させていくことで、より質の高い魅力的なサービスを創出し、それらを個人、法人を問わずあらゆるお客さまに提供していきます。

国際金融協会(IIF)春季総会に登壇
国際金融協会(IIF)春季総会に登壇

世の中のデジタライゼーションが急速に進む中、
IT戦略は、重要な経営戦略のひとつです。
SMBCグループでは、7つの戦略事業領域のすべてを支える取組として、
攻めと守りの両面からデジタライゼーションを推進しています。
その具体的な取組を、いくつかご紹介します。

オープンイノベーションの推進

ワークショップ「SMBC BREWERY」がスタート

 2018年4月、異業種企業とアイデアを共創するワークショップ「SMBC BREWERY」がスタートしました。SMBCグループと、スタートアップも含めた異業種企業が集まり、半日間で協業アイデアを出し合っています。
 このワークショップを通じて、SMBC日興証券は、AIに強みを持つスタートアップ企業HEROZ社と協働し、投資情報サービス「AI株式ポートフォリオ診断サービス*」の提供を開始しています。

株価や決算データをもとに、1ヵ月後の収益率を予測し、期待収益率の高いポートフォリオをAIが提案します。

ワークショップ「SMBC BREWERY」がスタート

先端技術の発掘

SMFGシリコンバレー・デジタルイノベーションラボ

 米シリコンバレーに設置した「SMFGシリコンバレー・デジタルイノベーションラボ」は、現地のスタートアップ企業の発掘を担っています。たとえば、2019年3月、データ分析を圧倒的に加速化するソフトウエア「Trifacta Wrangler Enterprise」の利用を開始しましたが、これを開発した米Trifacta社は、同ラボが発掘しました。

先端技術ラボの設置

 グループ傘下のシンクタンクである日本総合研究所に先端技術ラボを設置しており、IT企業や研究機関と連携し、基礎技術や先端技術のリサーチ、検証を担っています。

SMFGシリコンバレー・デジタルイノベーションラボ

AIの活用

アンチ・マネーローンダリングへの取組

 アンチ・マネーローンダリングへの取組において、マネーローンダリングが疑われる取引の判定業務にAIを導入し、業務の効率性を大きく向上させました。

SMBCチャットボット

 社内の照会業務向けに開発した対話型のAI自動応答システム「SMBCチャットボット」等、実用化したシステムを一般のお客さまにも積極的に販売しています。

企業の業況変化検知システム

 ITコンサルティングやシステム構築を行うJSOL*と共同開発した企業の業況変化検知システムは、取引先企業の口座の動きをAIが分析し、タイムリーに業況の変化を察知するものです。三井住友銀行内では既に実用化しており、今後は地方銀行を中心に販売していく計画です。

JSOLはNTTデータの子会社で、三井住友フィナンシャルグループの持分法適用関連会社

データ分析の高度化

デジタルマーケティング施策の推進

 Yahoo! JAPANと共同で新設したブレインセルは、改正銀行法下の銀行業高度化等会社です。Yahoo! JAPANが蓄積してきた検索ノウハウを活用しながら、まずはSMBCグループのデジタルマーケティング施策を推進しています。

情報銀行に関する実証実験事業

 三井住友銀行と日本総合研究所は、情報銀行に関する実証実験事業を総務省から受託しています。健診データや病院での診療結果、処方箋等を、他の病院や調剤薬局と共有し、個人の利便性向上を目指しています。

情報銀行に関する実証実験事業

Have a good Cashless. いいキャッシュレスが、いい毎日を作る。 Have a good Cashless. いいキャッシュレスが、いい毎日を作る。

 世界中でキャッシュレス化が進む中、日本のキャッシュレス比率は2割程度にとどまっていますが、それでも、キャッシュレス決済への関心は近年急速に高まっています。政府も、2025年までにキャッシュレス比率を40%まで引き上げることを掲げており、2019年10月の消費増税に合わせて、キャッシュレス決済利用者へのポイント還元や、導入店舗での決済端末代金・加盟店手数料に対する補助金等、「キャッシュレス・消費者還元事業」を予定しています。
 日本のキャッシュレス決済市場は、従来のクレジットカードやデビットカード、電子マネーに、モバイルペイメントやQRコードといった新しい決済手段も加わり、多様化・複雑化を伴いながら成長しています。こうした日本の決済市場において、キャッシュレス決済をさらに加速させていくためには、単に新たな支払手段を作るのではなく、事業者と利用者の双方のニーズに、柔軟かつスピーディーに応えることができる、オープンな決済プラットフォームを整備することが最適な戦略だと、私たちは考えています。
 SMBCグループには、三井住友カード・セディナという、日本のキャッシュレス決済市場を長きにわたって牽引してきたクレジットカード会社がありますが、2019年4月より、この2社を実質的にひとつの事業体とすることで、SMBCグループのキャッシュレス決済戦略の中核を担う事業体制を確立しました。三井住友カード・セディナのノウハウと、三井住友銀行の顧客基盤、そして事業提携先やパートナー企業の総合力を結集し、これまで以上に効率性の高い、スピード感のある戦略によって、日本のキャッシュレス化を牽引していきます。

Have a good Cashless.

 日本のキャッシュレス比率が低いのは、治安が良く現金を持ち歩くことに危険を感じることが少ないこと、ATMの利便性が高く、現金の入手が容易であること等が要因にあります。一方で、キャッシュレス化が進むことには、決済処理の省力化や流動性の向上、支払データの利活用による消費の活性化といった、様々なメリットもあります。
 日本における『キャッシュレス』とは、利便性や合理性だけでは語れない「安心を持ち歩く」こと、そしてそこから生まれる「心のゆとりや自由を持ち歩く」ことであると私たちは考えます。
 誰もが身軽に過ごせる毎日を手に入れること。心も自由な、軽やかな毎日を過ごせるようになること。
 三井住友カードでは、「Have a good Cashless.」というメッセージにその想いを込めて発信していきます。

次世代決済プラットフォームの構築

 2019年2月、従来進めてきた三井住友カードとGMOペイメントゲートウェイ社との提携協議に、世界最大規模のペイメントネットワークを有するVisa社が新たに参画し、3社の持つ強みを結集することで、より強力な次世代決済プラットフォーム事業を構築することに合意しました。
 ①日本固有の状況ともいえる多くの決済手段の乱立に1台の端末で対応する、②ネットとリアルをシームレスに融合する、③世界水準のセキュリティを担保し、新たな高付加価値サービスを提供する、これらの要件を満たす決済プラットフォームを構築し、2019年度中のサービス開始を目指しています。
 また、最近では、決済データの活用を目的として、異業種のプレイヤーが独自のペイメントサービスを導入する動きも活発化していますが、私たちも、決済に伴うデータをいかに活用するかが、キャッシュレス決済戦略の鍵となると考えています。SMBCグループは、30兆円の決済取扱高を誇る、わが国有数のキャッシュレス決済基盤を有しています。この基盤を存分に活かし、次世代決済プラットフォームをより多くの事業者・利用者にご利用いただくことで、決済データの付加価値を向上させるとともに、競争力のあるサービスや事業者のマーケティングサポート機能を開発・拡充していきます。

次世代決済プラットフォームの構築 次世代決済プラットフォームの構築
事業者へのソリューション強化

 中小事業者・個人事業主向けのスマートフォンを利用したカード決済サービス「Square」の推進により、2019年10月よりスタートする政府の「キャッシュレス・消費者還元事業」も見据え、加盟店の裾野拡大を加速していきます。Squareについては、三井住友銀行の全支店での取扱も開始しています。

Square社との合同記者会見
Square社との合同記者会見
利用者へのサービス強化

 「便利」「安心・安全」「お得」を3本の柱として、新しいキャッシュレス決済エクスペリエンスを実現します。2018年度は、三井住友銀行・三井住友カードのモバイルアプリをリニューアルし、デビットカードの支払限度額の設定や他行口座を含む資産管理機能等を追加しました。

リニューアルしたモバイルアプリ
リニューアルしたモバイルアプリ