価値創造のための事業戦略

　リテール事業部門は、資産運用ビジネス、決済ビジネス、コンシューマーファイナンス等の主要分野で国内No.1の事業基盤を誇り、高品質の対面コンサルティング力、先進的な決済・ファイナンス商品・サービスを有しています。
　足元では、コロナ禍を踏まえた「キャッシュレスの進展」「デジタルファースト」や人生100年時代を迎えた「高齢者の健康不安、若年世代からの資産形成」等、個人向け金融サービスを取り巻くメガトレンドの中でお客さまの行動が大きく変化しています。2020年度はデジタル・リモート営業への注力や来店予約サービスの全店導入等、お客さまのニーズの変化を捉えた施策をいち早く実行しました。
　2021年度は、中期経営計画で掲げた、成長マーケットへの資源配分、ビジネスプロセス見直しによるコスト構造改革、デジタル・ITを活用した新たなビジネスへの挑戦に基づく施策を着実に実行し、成果の極大化を目指します。また、グループベースでのコスト構造改革の一段の推進により、持続的な成長を実現していきます。
　資産運用ビジネスにおいては、市場へのマネー供給を通じた、わが国の経済成長と老後の資金不安に対する個人の健全な資産形成を後押しし、貯蓄から資産形成・投資への大きな動きを捉えることでビジネスチャンスにつなげていきます。決済ビジネスにおいては、急速に機運が高まるキャッシュレスの流れを捉え、利用者・事業者双方へ一層利便性の高いサービスを提供していきます。また、円滑な次世代への資産移転は、お客さまの大切な資産をお預かりする銀行固有の業務のひとつです。高齢者の多様化する不安に、従来の金融機関の観点にとどまらない付加価値の高いサービスを提供していきます。

　グループ一体のアプローチを通じて、サステナブルな成長を加速させていきます。お客さまのニーズに応じた三井住友銀行・SMBC日興証券・SMBC信託銀行の明確な役割分担やグループ連携体制のさらなる強化を通じて、グループベースで他行他社からの資産集約に注力していきます。法人オーナー等の大口富裕層に対しては、「SMBC Private Wealth」ブランドの商品・サービスを強化するとともに、グループ各社がそれぞれの強みを活かしながら連携してアプローチすることで、収益安定化によるサステナブルな成長を促進していきます。また、幅広い相続ニーズに対応する商品を投入することでグループベースでの対応力を強化し、次世代取引の拡大につなげていきます。

　コロナ禍で一層高まるデジタル化・キャッシュレス化の機運を受けて、さらに利便性の高いサービスを提供していきます。利用者向けには、引き続きニーズに沿った商品・サービスのレベルアップを実施し、利便性向上と顧客基盤の拡大を推進していきます。事業者向けには、キャッシュレス決済端末とコンテンツを低価格のサブスクリプションで提供するモデルの導入や外部パートナーとの提携による商品性強化等により、シェア・業容拡大に注力していきます。
　コンシューマーファイナンスにおいては、高まるデジタルニーズを捉えたアプリのUI／UX向上やグループのノウハウを活用した商品強化等を通じて、より利便性の高いサービスを提供していきます。

　三井住友銀行においては、デジタル・リモートのオンライン上で完結する手続の拡大やビデオチャット機能の向上等、三井住友銀行アプリをはじめとするデジタルインフラの大幅リニューアルを通じて、お客さまの一層の利便性向上と事務効率化を追求していきます。一方で、リアル店舗ネットワークの優位性を継続して追求し、店頭を地域のお客さまに有人ならではのコンサルティングサービスを提供する場とし、お客さま満足度の向上を実現していきます。グループ各社においても、グループ間における共同店舗化を進展させ、ワンストップであらゆるサービスを提供することで、お客さまの利便性向上と効率的な店舗運営の両立を実現していきます。