三井住友フィナンシャルグループ

13

経営からのメッセージを投資家に正確に伝え、市場の声を経営に反映させる。IRからグループの成長に貢献

三井住友フィナンシャルグループ 企画部 IR室 盛 玲子

三井住友フィナンシャルグループの経営陣からのメッセージを投資家に伝えていくとともに、投資家の関心事を経営陣にフィードバックしていく。盛の所属するIR室では、日々投資家とコミュニケーションをとることで、投資家向け広報業務を担っている。
個人投資家にはHPで情報開示を行い、機関投資家や証券アナリスト等とは年間数百件の面談を実施。彼女自身がプレゼンテーションを行うこともあれば、役員が欧米亜各国を巡り現地の機関投資家向けにプレゼンテーションする際、同行するのも彼女の役目だ。面談の際に彼女が心がけているのは、投資家の知りたい情報や理解度に合わせて、グループの経営ビジョンが端的に伝わるようにすること。そのためには面談に向けた周到な準備はもちろんのこと、普段から経営陣と同じ目線でものごとを考えるように努めているという。
盛はこれから、グローバルで6万人以上となったグループ従業員に向けてのインナーコミュニケーションにも力を注いでいきたいという。世界中の従業員全員が今後の戦略やビジョンをきちんと共有し、グローバルで統一されたメッセージを発信できる企業体になれば、グループの価値はさらに向上していく。フィナンシャルグループ全体の情報発信力をさらに高めていくために、自分ができることはないか、盛は日々模索している。

三井住友フィナンシャルグループ 三井住友フィナンシャルグループについて詳しくはこちらをご覧ください。

業務インタビュー

投資家とのコミュニケーションを担うIR業務に従事。
私がいま携わっているのは、三井住友フィナンシャルグループのIR(Investor Relations)と呼ばれる投資家向け広報業務および、資本調達など資本政策に関わる業務です。主に国内外の機関投資家やアナリストとコミュニケーションを取り、当社グループの戦略を説明し、成長性、収益性、さらに財務健全性などに関する理解を深めてもらうことで株式や債券投資家向けのマーケティングを行うほか、格付機関の対応なども担っています。
たとえば、決算時における投資家向け説明会の準備も、私の重要な業務のひとつです。具体的には、社外にわかりやすいメッセージを伝えるためのプレゼンテーション資料の作成などを行っています。当社では、こうした投資家向け広報イベントを、事業部門による説明会も含めれば2~3ヶ月に一度のペースで実施しており、また投資家やアナリストと年間500件に及ぶ面談を実施しています。さらに年に2回、欧米の大手機関投資家に対して役員からプレゼンテーションをするための訪問や、不定期ですがアジアの機関投資家への訪問を行っており、私は役員と共に訪問しています。
戦略に関わるコーポレートストーリーは役員が語る一方、アナリストに説明する詳細なデータはIR室で用意しており、毎回、周到な準備を行ってミーティングに臨んでいます。

2013年度には銀行業界初の「IR優良企業賞」を受賞。
私がこれまで関わってきた案件で印象に残っているのは、当社が2009年度に実施した、二度の大規模な増資です。経営企画部や財務企画部と密に連携しながら、マーケティングのためのプレゼンテーション資料や目論見書などを作成のうえ、役員と共に海外の機関投資家のもとへ訪問しました。「なぜ増資するのか」というエクイティストーリーの構築に腐心したものの、投資家の方々に成長期待をアピールすることができ、総額1.8兆円もの資金調達を成功させることができました。業務に関わっている最中は多くの苦労がありましたが、無事成し遂げた時は大きな達成感がありました。
また、投資家とのコミュニケーション強化や、ニーズに合ったディスクロージャーに努めてきた甲斐あって、当社は、2013年度の日本IR協議会による「IR優良企業賞」を銀行業界として初めて受賞しました。決算説明会資料の充実ぶりや、投資家が必要としている情報の要点をおさえていることなど、IRへの取組み姿勢が評価されての受賞で、これまでのIR活動の成果が認められたと、業務に携わる一員としてたいへんうれしく思っています。

経営者と同じ視線で、市場と接する姿勢が求められる。
IRの仕事は、投資家という外部の声を聞き、経営陣にフィードバックをすること。そして、経営陣からのメッセージを正確に外部に伝えていくという両方の役割があります。たとえば、金融機関に対して投資家は、以前は財務の健全性を重視していましたが、最近は事業の成長性や資本の有効活用に興味が移っています。投資家がこのようなポイントで経営を評価しており、当社にこのような期待や批判がある、といった意見を経営陣に発し、市場の声を経営に反映させていくことがIR室の使命です。自ら経営者と同じ視線、考え方で市場と接し、経営者と同じレベルの知識が求められる仕事だと切に感じています。
それとともに、経営陣がいま何を考えているのかを的確につかみ、それを咀嚼し、外部の投資家の方々が理解しやすい言葉に転換していくことに力を入れています。メッセージの受けとめ方は相手によって異なるため、理解レベルに応じていかに正確に伝えていくかということには、絶えず頭を悩ませています。投資家とコミュニケーションを取る際に留意しているのは、端的な言葉で伝えるということです。投資家から「わかりやすかった」「ミーティングに満足した」というフィードバックをいただいた時は、大きなやりがいを感じます。

社内に対しても、大きな影響を及ぼせる存在を目指す。
今後は、当社グループのグローバル全体で6万人を超える従業員に向けたインナーのコミュニケーションの促進にも、力を注いでいきたいと考えています。
これから当社グループは、いっそうのグローバル化を推進していきます。グローバルで統一されたメッ セージが発信できる組織になるようインナーコミュニケーションを活発化させたいです。 さらに、同じチームに所属する若手部員の成長にも貢献し、社外のみならず、社内に対してもインパクトを与えられるような存在になりたいと考えています。

私の1日レポート

  • 先陣を切って出社
    起床は6時前です。通勤中は日経新聞を読んでいます。7時過ぎには出社し、いつも部内で一番か二番目です。

  • 英字紙をチェック
    出社後は、フィナンシャル・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルなどの英字新聞をチェックして情報を収集します。海外に赴いて欧米の機関投資家と接する機会もたびたびありますので、この業務は英語力が必須です。

  • 午前中は集中力を要する業務
    午前中は集中力が高いため、投資家向け説明会のプレゼンテーション資料の構成立案など、思考力が必要な業務を中心に行っています。決算説明会が集中する繁忙時(5~6月、11~12月)は、午前中から投資家との面談が入ります。

  • 投資家との面談の機会は頻繁
    証券会社が主催するコンファレンスに出席することもあります。その際は1日に7~8件の面談を実施。投資家の方々に、こちらの伝えたいことをいかに正確に理解していただくか、細心の注意を払ってコミュニケーションしています。

  • 密度の濃い業務を終え退社
    投資家からの照会対応や、必要な情報のリサーチ、さらに行内・グループ会社との打合せなど、諸々の業務を終えた後に退社。密度の濃い毎日です。

休日の過ごし方

休日はあまり出かけることなく、家でのんびりしています。興味を持って購入したものの、まだ読めていない本がたくさん溜まっているので、読書をしていることが多いです。いろんなジャンルの書物に触れて、教養を深めるように心がけています。

私の「チカラ」分析

5

4

3

3

5

  • 説明力【5】
    相手が知りたいことを理解したうえで、わかりやすく丁寧に説明するよう、心がけています。
  • 思考力【4】
    何をどのように伝えれば効果的か、誰に対するどのようなマーケティングがいま必要なのか、しっかりと考えて取り組んでいます。
  • 人間力【3】
    投資家やアナリスト、経営陣の気持ちを読みとり、満足のいく対応ができるよう気を配っています。その点では十分な配慮をしていますが、忙しくなった時の対応がこれからの課題です。
  • 我慢力【3】
    根気をもって話を聞くのは、あまり得意ではありません。でもこの仕事は、理解していただくために、忍耐強くコミュニケーションする姿勢が大切です。
  • クオリティへの拘り力【5】
    仕事の質にはプライドを持ってこだわっており、決して手を抜きません。

3年後の「なりたい」自分