ごあいさつ

ごあいさつ

太田純
2022年1月
弛まぬ変革を通じて
時代の荒波に立ち向かう
2021年4月、三井住友銀行は発足20周年を迎えました。また、持株会社である三井住友フィナンシャルグループは2022年12月に設立20周年を迎えます。これはひとえに、お客さまや株主をはじめとする皆さまのご支援とご理解、そして幾多の困難と試練のなかで奮闘した諸先輩ならびに全てのSMBCグループ従業員の日々の努力の賜物であり、この場を借りまして心より感謝申し上げます。
このたび、2011~2020年度のSMBCグループの歩みを記した『SMBCグループ二十年史』がリリースの運びとなりました。今回はペーパーレスの観点から、三井住友銀行発足後の10年間とその前史をまとめた『三井住友銀行十年史』(2013年3月発刊)とともに、Web上で広く一般に公開することと致しました。
『三井住友銀行十年史』は、バブル経済の崩壊が未曽有の金融危機をもたらすなか、住友銀行とさくら銀行がまさに生き残りを賭けて合併を決断した経緯を描いています。2001年4月の三井住友銀行発足後も、不良債権問題への対応と自己資本の増強が最優先課題となるなか、増資に加え、わかしお銀行を存続会社とする逆さ合併を行うなどして、この難局を辛うじて乗り切りました。
グローバル展開を本格化し始めた矢先の2008年9月、米国投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻を契機に、世界金融危機が発生します。もっとも、われわれが直接的に受けた損失は、欧米金融機関に比べ限定的で、むしろ相対的な優位性が高まりました。SMBCグループは、その優位性を活かしてグローバル展開をさらに強化するなど、「最高の信頼を得られ世界に通じる金融グループ」の実現を目指し、成長戦略に着実に取り組みました。
「第2の10年」を取り上げた『SMBCグループ二十年史』は、異次元緩和の長期化や国際金融規制の強化、さらにはデジタル革命の進展等の構造変化が進行するなか、グループ・グローバル経営を本格展開した経緯を描いています。三井住友銀行は、10年先を展望したビジネスモデル改革を進め、2014年4月には国内営業体制の大規模な再編を実施しました。また、グループ会社の再編・統合を通じて業務基盤を拡充するとともに、銀証連携をはじめとするグループ連携を強化しました。
海外では、資産効率の改善等を通じて、持続的に成長が可能なビジネスモデルへの転換を進めるとともに、インオーガニック戦略を積極的に活用して強みのあるプロダクトの一層の強化を図りました。とりわけ、英国Royal Bank of Scotland Groupからの航空機リース事業の買収は、成功事例として特筆すべきものと言えるでしょう。また、われわれは、「マルチフランチャイズ戦略」の下、インドネシアの中堅商業銀行BTPNを連結子会社とするなど、アジアの新興国に第2、第3のSMBCグループを創る取り組みを10年、20年の計で進めています。こうしたなか、グローバルビジネスはほぼ右肩上がりで成長し、SMBCグループの成長を牽引して参りました。
われわれのこれまでの歩みを顧みますと、現状維持では決して生き残ることができなかった、との思いに至ります。今後を展望しても、日本経済の低成長や超低金利環境の持続、長引くコロナ禍の下での不透明・不確実な世界経済、異業種や新興プレーヤーとの競争の激化等、厳しい外部環境が続くと見込まれます。そうしたなか、われわれがなすべきことは、前例や固定観念に囚われず、成長の種を見つけ、弛まぬイノベーションや自己変革を通じて、お客さまや社会に貢献し続けることにほかなりません。
SMBCグループは2020年4月、「最高の信頼を通じて、お客さま・社会とともに発展するグローバルソリューションプロバイダー」を新たなビジョンとして掲げました。その実現に向け、グループ一丸で時代の荒波に立ち向かい、新たな未来を切り拓いて参る決意です。今後とも一層のご支援、ご鞭撻を賜りますよう心よりお願い申し上げます。