価値創造のための事業戦略

グローバル事業部門 執行役専務 グローバル共同事業部門長 西崎 龍司 執行役専務 グローバル共同事業部門長 福留 朗裕 グローバル事業部門 執行役専務 グローバル共同事業部門長 西崎 龍司 執行役専務 グローバル共同事業部門長 福留 朗裕

世界的に強みを有するプロダクト・サービスや
グローバルネットワークを切り口に、
国内外のお客さまの国際的な事業展開をグループ一体でサポートしています。

 2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響が常態化する中、インドネシアや航空機ビジネスを中心に厳しい環境に直面したものの、グループ一体となってお客さまの資金ニーズにお応えするとともに、事業環境の変化に合わせて機動的に中期経営計画の施策を推進した結果、連結業務純益は増益を確保し、中期経営計画の初年度としてしっかりとした手応えを得ることができました。
 中期経営計画2年目の2021年度は、重点施策は不変としつつも、サステナビリティやデジタルといった成長分野に注力する等のメリハリをつけた運営を行い、お客さまの経営課題解決に向けたグローバルソリューションプロバイダーへの変革を加速させます。
 具体的には、ビジネスラインや顧客層拡大の観点で成長余地の大きい海外証券ビジネスを拡充することで、銀行業務と証券業務を融合したCIBビジネスの取組をさらに推進し、お客さまのさまざまな企業イベントへの提案力を高めます。アジアにおいては、中長期的な成長基盤を構築するため、ベトナム、フィリピン、インドの インオーガニック戦略により、個人から大企業のお客さままで幅広いサービスが提供可能なフランチャイズ構築を加速させます。
 また、気候変動をはじめとしたお客さまのESGへの取組強化を受け、サステナビリティ領域でアドバイザリー機能を拡充し、ESG戦略に関わる課題へのソリューション提供力を強化します。加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けさらに高まる非接触ニーズを捉え、デジタルビジネスに戦略的に取り組みます。当社が強みを持つ貿易金融分野では、デジタルプラットフォームを他社に先駆けて整備し、お客さまに新たな決済・金融手段を提供します。
 こうした取組を通じ、大きな成長ポテンシャルを有する海外市場で、グループ一体となって持続的な成長の実現を目指します。

連結業務純益に占める割合(2020年度)

連結業務純益に占める割合(2020年度)

重点戦略 1

CIBビジネスの強化

 銀行業務と証券業務を融合したCIBビジネス強化に向け取組を加速します。
 グローバルに両者の連携が進み、日系・非日系企業のクロスボーダーM&A案件でアドバイザリーサービスの提供機会が増えています。グローバルセクターでの連携強化を進めることで、当社の強みであるプロダクト力やグローバルネットワークを梃子に、事業ポートフォリオの入替等、お客さまの経営課題へのソリューション提案を強化します。
 また、CIBビジネスの高度化に向けた重要な機能強化として、伸びしろの大きい海外証券業務の拡充に取り組みます。特に米国では債券セールス&トレーディングビジネスの確立や選別的な顧客層拡大を進め、一段高いマーケットプレゼンス獲得を目指します。

欧米CIBビジネス粗利益*1

欧米CIBビジネス粗利益

重点戦略 2

アジアをはじめとした成長領域への取組

 アジアで中長期的な成長を実現するため、個人から大企業まで幅広いお客さまにサービスを提供する金融フランチャイズの展開を進めます。
 インドネシアでは、2020年度はコロナ影響を大きく受けましたが、Bank BTPNを中核とした成長基盤を構築するという方針に変更なく、デジタルバンキング強化や個人中間層の開拓等、ビジネス拡充を進めます。2021年度に入り、ベトナムとインドのノンバンク、フィリピンの商業銀行への出資を発表しました。従来の大企業取引と併せ、SME・リテールビジネスのプラットフォームを拡大していきます。
 また、シンガポールのARA Asset Managementへの出資や米国のAres Managementへの出資比率引き上げ等、アセットマネジメントをはじめとした新たなビジネス領域拡大に注力します。

アジアのフランチャイズの拡大

アジアのフランチャイズの拡大

重点戦略 3

グローバル金融グループにふさわしい経営基盤の確立

 マーケット環境の変化や地政学リスクの高まり、各種規制の高度化が進む中、ガバナンス、リスク管理、コンプライアンスに優先的にリソースを投入し継続的に強化していきます。SMBCグループの海外ビジネスを支えるべく、さまざまなリスクを想定し、グループ全体で能動的に経営基盤を整備することが、グローバル金融グループとして持続的な成長を実現する上で不可欠です。
 このような重点分野への投入リソースを確保し、新たなビジネス領域を拡大するため、デジタライゼーションの活用やビジネス推進体制の見直し、事務の集約等を通じて、徹底的な効率化を進めます。

グローバル金融グループにふさわしい経営基盤の確立

サステナビリティへの取組

 気候変動をはじめとしたサステナビリティを取り巻く外部環境の大きな変化を捉え、お客さまの経営課題解決に向けソリューション提供力を強化しています。
 2020年度は、欧米中心に海外でグリーンファイナンスへの取組を強化し、取組金額においてグローバルリーグテーブル第2位までプレゼンスを高めました。加えて、お客さまのESG戦略・対外開示のアドバイスやそれに付随したファイナンスのアレンジメント、脱炭素・エナジートランジションに向けたアセットポートフォリオ入替のアドバイザリー業務等、グローバルソリューションプロバイダーとしての提案力強化に取り組んでいます。2021年2月には、邦銀として初めて日系企業の米国法人に対してESG評価に応じて金利を優遇する融資枠11億米ドルの設定に取り組みました。先進的な案件を数多く進めることで取組を加速させていきます。
 また、インドネシアでは、Bank BTPNを通じて銀行口座をお持ちでない方でも携帯電話のメッセージ交換技術を利用して銀行取引が可能となる「BTPN Wow!」の提供や、BTPNシャリアを通じて主に低所得者層の女性向けにイスラム金融を提供する等、あらゆる人々が利用可能な幅広い金融サービスを提供しています。

グローバールリーグテーブル(グリーンローン取組額)*2

グローバールリーグテーブル(グリーンローン取組額)