伊勢原自然塾


株式会社三井住友銀行が2006年から連携している「富良野自然塾」の8箇所目の分校として「SMBCの森 伊勢原自然塾」を開所し、環境教育プログラムを実施しています。
参考:富良野自然塾SMBCの森 (お使いのブラウザは video タグをサポートしていません)
森林に関する課題は、環境保全や地域経済・
コミュニティの活性化など、日本が抱える社会課題そのものです。
SMBCグループは、自ら森林を保有し、
その保全・回復に努めることで、
森林が有する生物多様性保全、水源涵養、
CO2吸収といった機能を高めつつ、
「SMBCの森」が周辺のコミュニティに対し提供する便益を
拡大することを目指します。
そのうえで、森林活用・管理に関するモデルケースを
自ら開発し社外に展開していくことにより、
自然が創出する付加価値についての理解を
ステークホルダーとともに深め、
ネイチャーポジティブの効果的な実践に繋げていきます。
三井住友銀行は、2024年5月に神奈川県伊勢原市日向地区の森林約220haを「SMBCの森」として取得しました。2030年までに陸と海の30%の保全を目指す環境省主導の「生物多様性のための30by30アライアンス」に加盟するなど、「SMBCの森」における生物多様性の保全、環境教育、森林業の活性化等の取組を通じて、ネイチャーポジティブ・脱炭素社会の実現を目指し社会的価値の創造につなげてまいります。
生物多様性の保全
日向地区には、希少な動植物が生息しています。30by30目標に貢献するため自然共生サイトの認定を受けるとともに、シカの食害防止の為の侵入防止柵の設置や間伐の実施等の適切な森林管理を通じて、希少種を含めた多様な生態系の保全・回復に取組んでいます。森林由来のJ-クレジットの創出
森林経営計画に基づいた間伐・植林等、適切な森林管理を通じて、樹木の成長を促し、吸収する二酸化炭素吸収量を増やすことができます。今後、森林が持つ二酸化炭素吸収量をクレジット化し、自社のカーボン・オフセット等に利用することを検討しています。環境教育サイト
「SMBCの森 伊勢原自然塾」の設置
森林業の活性化
木材は成長過程で二酸化炭素を吸収するほか、国産材は輸送に伴う二酸化炭素の排出も抑制できるため、環境に優しい建材と言われています。「SMBCの森」で生産される木材や間伐材を、自社の建築物材料や、自社で使う備品、紙製品、バイオエネルギーほかで幅広く活用することで、国産材の認知度を高める等、森林業の活性化にも取り組みます。
「SMBCの森」は神奈川県伊勢原市の
北西部に
位置する日向地区に所在し、
面積は220.65haです。
「SMBCの森」には神奈川県の鳥獣保護区が含まれており、豊かな生態系と多様な生物種が存在しています。
また神奈川県の「水源の森林」にも指定されており、潤沢な水資源を有しています。
都心部から近く大山山頂への登山道もあることから、
登山客やバードウォッチャー等も訪れる、豊かな自然が楽しめる区域となっています。
ここでは「SMBCの森」に植生する木々や動植物種について紹介します。
「SMBCの森」の山林面積の約6割は人工林であり、主にヒノキ・スギ・サワラで構成されています。
天然林はアカシデ・イヌシデ等を中心とした広葉樹林となっています。
「SMBCの森」では現在、植物191種、鳥類52種、哺乳類16種類が確認されています(2024年9月時点)。
鳥類を中心に、「SMBCの森」に生息する動物や植物を写真と併せて紹介します。
森林は環境・社会にポジティブな影響を与えるさまざまな公益的機能を保有しています。
「SMBCの森」がもつ公益的機能のうち、生物多様性の保全機能と水源涵養機能について、それぞれ現状評価とシナリオ別評価に分けて分析を行いました。分析の結果、本森林は現状および将来において、生物多様性保全や水源涵養を通じて環境や社会に便益をもたらしていることが明らかになりました。
SMBCは今後も環境や地域社会によりポジティブなインパクトを創出できるよう、適切な森林管理を推進してまいります。
生物多様性
評価内容生物多様性ビッグデータを使用して「SMBCの森」における現状の生物多様性の豊かさ・重要性と、森林管理シナリオ別の生物多様性保全効果を評価(株式会社シンク・ネイチャー協力)水源涵養量
評価内容流域水循環シミュレーションによって「SMBCの森」およびその周辺域の地表水・地下水の活動状況を可視化し、現状の水源涵養量と、森林管理シナリオ別の水源涵養量の変化を評価(株式会社地圏環境テクノロジー協力)調査結果
生物多様性の保全優先度、1kmグリッドあたりの生物種数が全国平均より高く、自然共生サイトとしての価値が高いことが示されました。
シナリオ別評価では、森林ゾーニングシナリオでは現状管理より1.2倍、生物最大化シナリオでは1.79倍もの生物種数を維持する豊かな森となることが示され、適切な森林管理によって生物多様性を大きく向上させるポテンシャルを持つことがわかりました。
広域評価では、「SMBCの森」の位置を日本全国の生物多様性地図(1km解像度)と重ね合わせて評価しました。当該地は、太平洋沿岸の温暖多雨な地域にあり、維管束植物及び脊椎動物全体及びそれぞれの分類群(淡水魚類を除く)において、生物多様性の保全優先度(※1)、相対生物種数(※2)が高い結果となりました。これは、自然共生サイトとしての価値が高いことを示しています。
※1:1kmグリッド単位で生物集団の相対絶滅リスクを求め、全国で順位付けした値
※2:分類群ごとに最も種数が多いグリッドを100として相対値化した値
調査結果
「SMBCの森」では降った雨の約64%を涵養しており、下流の地域に対する持続可能な水源の確保の一助を担っています。また、洪水緩和や水質浄化などの多面的機能にも寄与しています。
シナリオ別評価の結果、樹種・樹高・立木密度の差異に伴う涵養量の変化は1%未満と大差なく、今後予定している森林ゾーニング管理や、生物多様性最大化を求めた樹種転換等を行った場合においても、水源涵養機能は引き続き高い水準で維持されることが示されました。
評価の結果、「SMBCの森」では降った雨の約64%(316.5万㎥/年)を涵養していることが分かりました。この涵養量は約4万人分の年間水使用量に相当します(※)。