医療版「情報銀行」事業を展開。医療データを扱うスマホアプリ「decile」で個人の医療データ管理を支援。

株式会社三井住友銀行(以下、SMBC)は2021年7月、情報銀行※事業展開の一環として、スマホアプリ「decile(デシル)」をリリースした。
※個人との契約に基づき、個人の為にパーソナルデータを管理し、個人の意思に基づきデータ利活用を行う事業
自身の医療データの管理・共有・利活用をアプリで
decileは、自分の医療データの管理・共有・利活用をサポートするオンラインサービス。アプリ名のdecileは「自分のことをデータ『で知る』」から作った造語であり、データの力で一人ひとりの人生をより豊かなものにしたいという思いが込められている。
現在は大阪大学医学部附属病院(以下「阪大病院」)の患者さま向けに、電子カルテに保存されている自身の医療データをアプリ上で閲覧できるサービスを提供している。アプリを通じて、自分で通院記録を入力できるほか、医療機関に対し、医療データを受け取るための申請ができる。対象の医療データは、アレルギー情報や検査結果、薬剤の処方データ、産科エコー画像、ペースメーカー情報等で、閲覧可能なデータは順次拡大している。
decileは個人情報の中でも特に取扱に注意を要する医療データを取扱う。そのため、阪大病院監修の下、医療倫理の4原則(自律尊重、与益、無加害、公正・正義)に則ったデータ管理・利活用を徹底している。また株式会社三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMBCグループ)が出資し、生体認証サービスを展開している「ポラリファイ」の提供するサービスを導入することで、銀行の口座開設と同等レベルの厳格なオンライン本人確認・認証も行なっている。

金融機関が、お客様のデータも安心・安全に預かり運用する時代
今後の社会においてさらなるデータの利活用が求められるなか、個人側にはパーソナルデータが使われることへの「不安」や、利益や便益が還元されないことへの「不満」がある。
こうした課題に対し提唱されているのが情報銀行だ。情報銀行とは、個人との契約に基づき、個人の為にパーソナルデータを管理し、個人の意思に基づきデータ利活用を行う事業である。銀行がお客さまのお金を預かるように、情報銀行はお客さまのデータを預かる。
情報銀行の普及・成功の鍵は「個人がデータを預ける際の不安やコストを上回る便益・サービスを提供できるか」である。なかでも、医療・介護・ヘルスケア分野のデータは、利活用の結果が個人の健康増進や健康寿命の延伸に繋がることが期待され、便益が直接的で分かり易いこともあり、特に注目されている。
SMBCは、これからの金融機関に求められている新たな社会的使命は、パーソナルデータを安心・安全に預り・運用する機能の提供であるという考えのもと、グループとして永年培ってきた社会的信用をもとに、情報銀行の実現を進めている。
今後は、病院から連携するデータ項目を順次拡大し、患者さまが手元で管理することの意味の大きいデータの返却に努めていく。またSMBCグループでは、2020年9月に医療機関の業務効率化を支援するスマホアプリを提供する「プラスメディ」を連結子会社化しており、プラスメディが提供する患者向けアプリ「MyHospital」との連携を行うことで全国での普及を目指し、豊かな社会・豊かな生活の実現に貢献していく。