2021年度は、昨年に引き続きSMBCグループにおける社会貢献活動の中核と位置づけられる「PROMISE 金融経済教育セミナー」を評価の対象事業として、社会的インパクトを可視化する社会的インパクト評価を実施しました。SMBCグループとして注力する金融経済教育を通じて、受講者のお金に関する学びや意識・行動の変化といった社会的インパクトを創出できているのか、客観的に分析し、より効果的なプログラムにしたいと考え、本セミナーを対象事業に選定しました。なお、本件評価は、特定非営利活動法人ソーシャルバリュージャパンが実施しました。

今回の取組を通じて得られた知見や気付きを踏まえ、より効果的なプログラム作りを進めていきます。




1.評価サマリー

2020年度社会的インパクト評価を通して有効性が確認されたロジックモデルに基づき、全国11校、合計1,500名以上の受講者の高校生からのアンケート調査と、抽出した参加者へのインタビューに対して、プログラムを受講しない対照群の高校生からの回答と比較する形で評価を実施し、これまで120万人以上が参加した本事業全体の社会的インパクトを推計した。本年度評価から得られた知見の概要は、以下の通りである。

社会的インパクト評価から得られた知見

1. 事業実施による金融リテラシー向上の効果確認

客観的金融リテラシー(金融リテラシー・マップ分野)は、セミナー受講によりスコアが有意に向上しており、本事業による客観的金融リテラシーへのインパクトがあったと言える。また、本事業による客観的金融リテラシー向上は、高校1年生、一般校、専門学科において高い効果が期待できる。
主観的金融リテラシーは類似条件の受講群と未受講群の比較において、受講群においてスコアが向上傾向にあった。また、本事業による主観的金融リテラシー向上は、高校1年生、専門学科、女子学生において高い効果が期待できる。


2. プログラム・コンテンツの適切性の確認

本事業が高校生に提供している「生活設計・家計管理プログラム」、「ローン・クレジットプログラム」、「金融トラブルプログラム」、それぞれのプログラムと対応する金融リテラシー・マップ及び行動特性・考え方の多くの分類においてスコアが向上していたことから、プログラム・コンテンツは適切に効果を発揮していると言える。


3. 受講者である高校生の金融経済への高い関心

定性調査の結果から、セミナー受講により、学校において金融経済を学ぶことの重要性について考える学生や、様々な金融経済分野に関する関心を持つ学生が増えたことから、本事業は高校生の金融経済への関心喚起に効果があると言える。

2.対象事業の概要

事業名
PROMISE 金融経済教育セミナー

事業主体
SMBCコンシューマーファイナンス株式会社

事業内容
お客様サービスプラザもしくは地域の学校にて、無料の金融経済教育セミナーを行い、未来を担う学生や地域の方々が、お金に関する正しい知識を習得するとともに、適切な判断ができるよう支援する

実績
累計受講者数 120 万人以上(2011年~2022年1月)

【受講者の属性】

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SMBCコンシューマーファイナンス 金融経済教育への取り組み

3.本社会的インパクト評価の概要

  • 金融経済教育がもたらす社会的インパクト
    • ・期待される社会的インパクトは下記の通り(1~3に関しては金融経済教育研究会報告書より)。
    • 1.生活スキルの向上と家計の健全性の実現
    • 2.金融サービスの質の向上
    • 3.日本の資産形成の仕組みを変え経済成長に必要なリスクマネーを供給する
    • 4.金融トラブルへの対応力の向上・予防

  • 想定されるロジックモデル
    • ・先行研究やプログラム資料から、想定される金融経済教育の社会的インパクトを示すロジックモデルは以下を想定した。
  • 想定されるロジックモデル 拡大画像を表示する


  • 実施概要
    • ・2021年度評価においては、事業が対象とする参加者層のうち、主なセグメントである高校生に対する調査を評価精度を向上させ実施し、プログラムがもたらす社会的インパクトを推計した。
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4.本社会的インパクト評価の主な分析結果

  • 金融リテラシーのセミナー受講による変化
    • ・客観的金融リテラシー及び主観的金融リテラシーのセミナー受講による変化を、受講群全体、未受講群全体にて比較したところ、 受講群は向上し、未受講群は減少した。
    • 【金融リテラシーの変化(事前・事後)】
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  • 金融リテラシー・マップのセミナー受講による変化
    • 【金融リテラシー・マップの変化量(事前・事後)】
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  • 「金融リテラシー調査 2019年」との比較
    • ・客観的金融リテラシーについて、「金融リテラシー調査 2019年」(金融広報中央委員会)の結果と比較した。受講群・未受講群の事後スコアは、全国調査の学生スコアよりも低い傾向にあるが、全国調査の学生は大学生を含む18歳以上であり、今回の調査対象が金融や経済の基本知識が定着していない15歳から18歳の高校生である点を鑑みると、年齢相応の結果であると推測される。
    • 【客観的金融リテラシーの全国調査との比較】
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5.考察

  • 2021年度社会的インパクト評価から得られた知見と、2022年度以降のPROMISE 金融経済教育セミナーへの提言は以下の通りである。
  • 社会的インパクト評価から得られた知見と、2022年度以降のPROMISE 金融経済教育セミナーへの提言 拡大画像を表示する