ステークホルダー・ダイアログ

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2017年度ダイアログ 持続可能な社会の発展に向けて -金融機関に期待されるSDGsおよびESGへの取組- (2018年1月18日)

2017年度ダイアログの様子

現在、世界的に大きな潮流であるSDGs(持続可能な開発目標)や、拡大するESG(環境・社会・ガバナンス)投資に対してSMBCグループが果たすべき役割や課題などを改めて認識すべく、3名の専門家の方々にプレゼンテーションをいただいたのち、パネルディスカッションを行いました。

  • 出席者の社名、肩書き等は開催当時のものです。

ダイアログにご参加いただいた有識者

一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン 事務局長 大田圭介氏

一般社団法人
グローバル・
コンパクト・
ネットワーク・
ジャパン
事務局長
大田 圭介氏

MSCI マネージング・ディレクター 内 誠一郎氏

MSCI
マネージング・
ディレクター
内 誠一郎氏

一般財団法人CSOネットワーク 事務局長・理事 黒田かをり氏

一般財団法人
CSOネットワーク
事務局長・理事
黒田 かをり氏

SMBCグループ参加会社

  • 株式会社三井住友フィナンシャルグループ
  • 株式会社三井住友銀行
  • 株式会社SMBC信託銀行
  • 三井住友ファイナンス&リース株式会社
  • SMBC日興証券株式会社
  • 三井住友カード株式会社
  • 株式会社セディナ
  • SMBCコンシューマーファイナンス株式会社
  • 株式会社日本総合研究所
  • ダイアログの様子
  • ダイアログの様子
  • ダイアログの様子
  • ダイアログの様子
  • ダイアログの様子
  • ダイアログの様子

SDGsおよびESGの現状と課題

まずは、SDGsおよびESGに企業がどう取り組むべきか、3名の有識者の皆さまによる分析や見解のプレゼンテーションをいただきました。

プレゼンテーションの概略

大田氏:『我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)』

  • SDGsで掲げられた17の目標

    SDGsで掲げられた17の目標

    SDGsに設定された17のゴール(目標)は、影響を与え合う相関関係にある。ゴール全体を見て、包括的に、どう取り組まなければいけないのか考える必要がある。
  • 企業は、まずSDGsを理解し、「優先課題を決定→目標を設定→経営へ統合→最後は情報開示」というステップを踏むアプローチがポイントとなる。
  • 金融業界には非常に期待が集まっており、事業会社に対する良い影響力を与えてほしい。

内氏:『ESG投資拡大の背景』

  • 長期的に株主の利益を守るために、ESGというコンセプトが非常に大事になる。社会の持続性が高まると、株主だけではなく、そこから経済的な利益を得る人の利益も確保されるため、全体がうまく回るような考え方である。
  • 銀行は、企業としてはESGとして優れているとアピールしたいが、売っている商品はESGに配慮していないという事象が世界的にみられる。また、SDGsに積極的に取り組んでいても、必ずしもESGの評価も高くなる訳ではないとの理解が必要。

黒田氏:『SDGs・ESGに対する企業への期待』

  • 現在、ビジネスと人権に関する国連指導原則を実施するために国別行動計画を作る国が増えていて、日本もその一つである。市民社会組織として、各セクターに働きかけをしている。
  • 企業がSDGsを本業で捉えていくことはとても重要だが、非常に脆弱性の高い人たちへの影響も常に考えて行動しなければならず、ビジネスだけでは対応できないところがある。そこで、社会貢献活動とリンクさせるなど、NPOを含む多様なセクターとの連携等が求められている。

プレゼンテーションを受けてのパネルディスカッション

プレゼンテーションを踏まえたパネルディスカッションでは、我々SMBCグループが投げかけた質問に対して、貴重なご意見を多数いただきました。

SMBCグループからの質問と有識者のご意見

Q.1/マテリアリティ(重点課題)に目標を整理したのち、どのようにSDGsに取り組み、展開させればよいか。

(大田氏)
最終的には、いかに経営に統合して実践していくか、SDGsというレンズを通して、企業理念をどう自分なりに解釈するかを突き詰めて、日常の業務やオペレーションに活かしていくところに、SDGsの一つの活用法があるのでは。

Q.2/SMBCグループでは、長い期間をかけて社会貢献活動に努力してきた歴史があるが、本業の中でということに目線が行きがち。ビジネスで解決できる訳ではない、事業と社会貢献のベストミックスについて提言をいただきたい。

(黒田氏)
本業での取組と社会貢献活動は持続的な価値創造に向けて同じ軸で行われるのが望ましい。本業でできない部分については他の企業や自治体、或いはNGOなどと組んで取り組まないと、「誰一人取り残さない」ということは実現できない。

Q.3/株主や資本市場は、なかなかビジネスと関連しない活動に企業が取り組むことを、どう見て、どのように評価しているのか。

(内氏)
当然投資家は本業に繋がる活動をやって欲しい。企業の社会貢献事業は、結局何のために行うのかが重要で、そこが明確でないといけない。寧ろ本業のためにやることをはっきりさせることで、企業の行動は整理がしやすくなるのでは。

Q.4/社会貢献活動を、KPI(重要業績評価指標)などの数値に落とし込むことは、どれくらい重要なのか。

(内氏)
非常に大きなポートフォリオを運用する投資家にとって、定量的なデータでしか投資家は企業を評価できない。定量的なデータだけでは企業の実感と合わないこともあるので、その場合は企業としても「現状と将来的に目指す姿」を開示していく方が効果的であり、それらが結局のところ投資情報となる。

Q.5/気候変動へ対応、開示についてはどのように対応すべきか。

(内氏)
海外の投資家は、ESG投資の中でも特に気候変動を重視しており、現状の取組ペースでは不十分であるとの理解から、各国が取り組みを強化している。日本企業の対応が遅れるとそのコストを支払う側になることで、グローバルには企業価値が下がり、その戦略ができていない企業は投資を減らしていくだろう。日本固有の事情はあまり聞いてもらえない現状をまず理解しないといけない。

Q.6/SDGs の項目を見ると、海外の課題が多い気がしており、グループ会社の多くは国内マーケット主体でビジネスを行っており、ややイメージしにくいところもある。例えば、日本では深刻な高齢化の問題などは、SDGs では採り上げられていない。MDGsの時は途上国中心だったが、SDGsになり先進国も含めてとなったが、どのように理解すればよいか。

(大田氏)
SDGsは一番脆弱な人々をまず救おう、という発想のMDGsに起因していると理解。日本としても、企業だけではなく、国としてどのように関わり参画していくのかが重要であり、日本に資する関係が深い課題は引っ張っていくことが必要。

(黒田氏)
国際的な舞台に出ると、各国のアピール力が強くなっていると感じる。日本は本当にこのままでいいのかと思う。もう少しグローバルな環境の中で果敢にルールメイキングしていく気概を持たないと厳しいと思うことがある。アジア諸国が急速にこのSDGsの取組みを進めているということを、日本の人たちはもっと知った方がよい。

ご意見を受けて

大島専務

本日のご意見を踏まえて、金融グループとしての当社への期待や求められる役割を果たし、業務を通じて具体化していく為には、実際にビジネスをする担当者にどのように理解して納得してもらうかが重要だと感じました。また、様々な社会的な課題への取組姿勢についての世界の潮流は明らかなので経営陣としても問題意識を持っており、全社一丸となった推進を目指しています。

今後は適時適切に外部及び社会に向けて当社のこのような取組を発信していくことも重要だと強く感じました。

株式会社三井住友銀行
専務執行役員
大島 眞彦

末廣室長

大変貴重なご意見をいただき、我々金融機関への命題を鋭く突きつけられていると感じております。我々金融機関は様々な業種と取引を行っており、お客様がSDGsやESGに取り組んでいる中で、我々自身が知識を持っていないと的確にニーズを捉えることができません。また、SDGsやESGにどう取り組んでいくのかを、社内でも従業員一人一人にも浸透させる必要があると感じました。

株式会社三井住友フィナンシャルグループ
企画部CSR室 室長
末廣 孝信