震災からちょうど1年、この3月は、エネルギーを含め原発関連書の新刊点数が非常に目立ち、1日に数点の新刊を入荷した日が多かった。震災後の検証データを扱った書籍が増えており、売れ筋書籍の世代交代も生じている。震災後に注目された高木仁三郎の人気は根強く、復刊書も多い。ベストテン以下には、「スマートグリッド」「太陽エネルギー」「風力」「天然ガス」など、いずれもエネルギー関連書が並んでいる。
BOOKS 〜環境を考える本〜
話題の環境本
地球変動のポリティクス 温暖化という脅威
米本 昌平 著 弘文堂

著者は、東京大学先端科学技術研究センターの特任教授。『地球環境問題とは何か』(岩波新書)、『知政学のすすめ』(中公叢書)、『バイオポリティクス』(中公新書)などの著書が有名である。前書きに「これ(東日本大震災)を境に変ったことの一つは、戦後日本が抱いてきた安全保障に関する感覚ではないだろうか」とあるように、 今、私たちが温暖化や原発にどう向き合うのかを種々の最新データを用いて示す著者渾身の文明論である。
2050年の世界地図 迫りくるニュー・ノースの時代
ローレンス・C・スミス 著 小林由香利 訳 NHK出版

ニュー・ノースとは、アイスランド、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシア、カナダ、アメリカが領有する、北緯45度以北の地域のことである。温暖化で氷が解け航路が開けたことで、北極海の海底に眠る化石燃料の主権争いが加速。極北の出来事が世界にどう影響を及ぼすのか。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の地理学者である著者が、多角的に検証した科学データをもとに40年後の未来像を提示する。
人工降雨 〜渇水対策から水資源まで〜
真木太一、鈴木義則、脇水健次、西山浩司 編 技報堂出版

人工降雨は、近年、多くの実験が行われ、歴史的にもかなりの情報があるのにもかかわらず、実用化は思うほど進んでいないのが現実である。地球環境問題が顕在化しつつある今、水資源確保、渇水対策、砂漠化防止は喫緊の課題であり、そのための手段としても人工降雨の実現は大いに期待されている。本書は、人工降雨法の中でも最も新しく優れた液体炭酸法を中心に据えて、その原理から実験成果、発展性、課題までを詳しく解説する。
環境書3月度売上げベストテン
ジュンク堂書店(池袋本店)2012年3月1日〜31日
1 | 図解 原発のウソ | 扶桑社 |
---|---|---|
2 | おしえて! もんじゅ君 | 平凡社 |
3 | 原子力市民年鑑2011-12 | 七つ森書館 |
4 | 放射能時代を生きる3つのアクション | 七つ森書館 |
5 | 原発がなくても電力は足りる! | 宝島社 |
6 | 1ミリシーベルトの呪縛 | エネルギーフォーラム |
7 | 図解 新エネルギー早わかり | 中経出版 |
8 | EDMC/エネルギー・経済統計要覧2012 | 省エネルギーセンター |
9 | 図解入門 よくわかる 最新 火力発電の基本と仕組み | 秀和システム |
10 | シェールガス争奪戦 | 日刊工業新聞社 |