BOOKS 〜環境を考える本〜

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話題の環境本

リスクと向きあう 福島原発事故以後
中西 準子 著 河野 博子 聞き手 中央公論新社

リスクと向きあう 福島原発事故以後

環境リスク評価研究の第一人者が、福島原発事故における福島のリスクを分析し始めた。リスク研究をもっと人々の役立つものにしたいと、リスク評価方法の再構築に取り組んでいるのだ。あるリスクを減らせば、別のリスクが増える。リスクとリスクがぶつかったとき、どう選択すればよいか。中西準子という研究者が何を見て、何を考えているか、そして私たちはこれから何に取り組んでいかなければならないかをあらためて考えさせられる好著である。

絵でわかる自然エネルギー
御園生 誠 小島 巖 片岡 俊郎 共著 講談社

絵でわかる自然エネルギー

自然エネルギーにはさまざまなものがあり、ひとまとめには論じられない。それぞれの特徴を理解した上で、賢明な使い方、普及の仕方を選択することが重要である。本書は、適切な判断をするために最小限必要な「事実と考え方」をわかりやすく図解で解説する。「第1章 エネルギー問題の全体像」「第2章 自然エネルギー百花繚乱」「第3章 電気を節約して貯める」「第4章 21世紀の日本のエネルギー戦略」の4部構成。

世界自然遺産と生物多様性保全
吉田 正人 著 地人書館

世界自然遺産と生物多様性保全

2012年に世界遺産条約は採択されて40周年を迎え、「世界遺産」はブランドとして定着。日本では「世界遺産検定」も創設された。本書は、世界遺産条約や生物多様性条約がどのように生まれ、発展してきたのか、また、「世界遺産リスト」「危機遺産リスト」などのさまざまな仕組みが生物多様性保全にどのような役割を果たしているのかを具体的に説明し、「世界遺産」の危機的な現状とこれからの課題について提言を行う。

環境書11月度売上げベストテン

ジュンク堂書店(池袋本店)2012年11月1日〜30日

1 やっかいな放射線と向き合って
暮らしていくための基礎知識
朝日出版社
2 リスクと向きあう 福島原発事故以後 中央公論新社
3 太陽光発電システムの設計と施工 オーム社
4 環境哲学のラディカリズム 学文社
5 ポケット図解 最新
環境問題の基本がわかる本
秀和システム
6 福島原発で何が起きたか
〜安全神話の崩壊〜
岩波書店
7 スマート&スリム 未来都市構想 エネルギーフォーラム
8 センス・オブ・ワンダー 新潮社
9 新エネルギー アスキー・メディアワークス
10 世界自然遺産と生物多様性保全 地人書館

ジュンク堂書店では「スマートシティ」「環境まちづくり」などの書籍は「環境」と「まちづくり」のジャンルで併売している。数年前までは「まちづくり」の書棚に置いたほうがよく売れたが、2012年あたりから「環境」のほうも需要が多くなってきた。「まちづくり」の書棚に来られる方は、建築や行政の関係者が多く、「環境」の書棚に来られる方は、主婦からビジネスマン、行政やNPOの関係者まで幅広い。震災以降、「コミュニティ」という言葉が生きることを考えていく上で1つのキーワードになった。そうした問題意識を持つ読者が確実に増えてきたのだろう。