SAFE EYE

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わかっているのに直そうとしないこと

 未来を予測することは難しい。特に、時代は不確実性を強めているといわれる。世界の金融・財政危機を予見した人は少なかっただろうし、円高がここまで進むことを見通せた企業経営者も多くはなかったろう。ましてや地震や津波の場合、可能性が高まっていることはわかっても、それがいつ発生するかは誰にもわからない。

 その一方で、ほぼ確実に未来がこうなるとわかっていることがある。地球上の人口は増加し、経済活動は活発になって購買力は拡大し、それに合わせてエネルギー需要は増大し、温室効果ガスの排出も間違いなく進む。水資源が枯渇に向かい、食糧も奪い合いとなり、生態系サービスの劣化も続く。

 ほぼ確実にこうなるとわかっていることなのに、我々はほとんど手を打てないでいる。考えてみれば愚かなことである。メディアも予想だにしなかった出来事には、大きなスポットライトを当てるが、わかっていてもできないことにはほとんど関心を向けることはない。

 かつて「わかっているのに直そうとしないのが、一番悪いことだ」と教えられたことがある。来年2012年は、地球サミットから20年がたつ。「リオ+20」という催しが、再びブラジルで開催される予定である。単にグリーン・エコノミーへの待望感を共有するのではなく、この20年の振る舞いを真摯に振り返る機会にしたいと思う。

(株式会社日本総合研究所 足達 英一郎)