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地域からのエネルギー政策への期待

 2014年6月24日、「経済財政運営と改革の基本方針2014」が閣議決定された。いわゆる骨太の戦略の中に「『地域の元気創造プラン』を強力に推進し、産・学・金・官の連携により、雇用吸収力の大きい企業の創出や、分散型エネルギーインフラ・プロジェクトの産業化を目指した全国展開を行う」との一文が盛り込まれている。

 分散型エネルギーインフラ・プロジェクトとは、再生可能エネルギーや地域でのガス発電と余熱を利用するシステムの導入等により、自立的で持続可能な災害に強い地域エネルギーシステムを構築するとともに、電力改革で開放される新たな市場を地域経済に組み込むものだという。

 政府は、@自治体主導による「地域の特性を活かしたエネルギー 事業導入計画(マスタープラン)」の作成支援、A建設・エンジニアリング、エネルギー、ICT等の地域の関連企業と連携した自治体のプロジェクトの推進、B地域金融機関の資金供給等により設立される電力線・熱導管等を整備する地域インフラ会社への支援、を行う予定だ。

 多くのエネルギー関連企業の各地での立ち上げを支援するという目的は、電力改革にも意味を持つだろう。ただし、エネルギーの地産地消という発想は、今に始まったことではない。過去にも、地域新エネルギー導入促進計画や地域新エネルギービジョンを各自治体がこぞって策定したことがあった。単なる調査費のばらまきとならないよう、過去の反省を活かし、今度こそ地域発のエネルギー政策が本当の意味で実現することを期待したい。

(株式会社日本総合研究所 足達 英一郎)