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2つのコードは企業への追い風になるか

 日本版スチュワードシップ・コードと日本版コーポレートガバナンス・コードという、2つのコードの影響力に、企業の関心が高まっている。

 地球と社会の持続可能性の観点からも、注目すべき点がそれぞれにある。日本版スチュワードシップ・コードでは、7つある原則のうち3番目の「機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を適切に把握すべきである」というもの。ここで金融庁は「指針」に、「把握する内容としては、例えば、投資先企業のガバナンス、企業戦略、業績、資本構造、リスク(社会・環境問題に関連するリスクを含む)への対応」という例示をした。

 一方、有識者会議が作成した日本版コーポレートガバナンス・コード(案)では、基本原則の第2項に「上場会社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の創出は、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会をはじめとする様々なステークホルダーによるリソースの提供や貢献の結果であることを十分に認識し、これらのステークホルダーとの適切な協働に努めるべきである。取締役会・経営陣は、これらのステークホルダーの権利・立場や健全な事業活動倫理を尊重する企業文化・風土の醸成に向けてリーダーシップを発揮すべきである」との文言が盛り込まれ、「原則2-3.社会・環境問題をはじめとするサステナビリティーを巡る課題」に、「上場会社は、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティー(持続可能性)を巡る課題について、適切な対応を行うべきである」と明記がなされた。

 機関投資家と上場企業の双方で、環境問題への配慮がなされるべきと再確認されることの意義は大きい。その上で、機関投資家の行動が変わり、上場企業の行動にも変化が表れるのか、そのことをぜひ、注視していきたい。

(株式会社日本総合研究所 足達 英一郎)