「学生の“今”しかできない
挑戦を応援したい。
そして成長につなげてほしい」
SMBCグループが立ち上げた大学運動部支援プロジェクトとは
SMBCグループが立ち上げた
大学運動部支援プロジェクトとは
SMBCグループの三井住友銀行が資金支援などを行う「シャカカチ BOON BOON PROJECT」。昨年度からスタートした本プログラムで第一期生に選ばれた東大ラグビー部の辻
記事提供:Number Web
――SMBCグループでは、昨年度から大学運動部を応援するプログラム「シャカカチ BOON BOON PROJECT」をスタートさせたそうですが、立ち上げたきっかけを教えてください。
藤井近年、大学運動部を取り巻く環境は大きく変化しています。昔と比べ学業が忙しくなり、部活との両立が難しくなっている状況があります。それに加えて学費を支払うために奨学金を利用したり、バイトで賄っている学生も多く、金銭的な面から運動部を諦める学生が増えています。
辻東京大学ラグビー部でも4月に新入部員を勧誘していると、部費がどれくらいかかるのかは必ず聞かれます。財務担当の学生が窓口となって相談にのっていますが、部員を集めるのには苦労していますね。
廣瀬それはちょっと残念ですね。僕も大学のラグビー部でプレーしましたが大学時代に運動部で体験したことってその後の人生に与える影響がすごく大きいと思うんです。一つの目標を実現させるために100人を超える部員と計画を立て、本気で挑戦しました。この経験はプロセスも含めてすごく貴重ですし、いまだにその頃のメンバーとは気兼ねなく会える関係が続いています。大学運動部での経験が、その後の人生を豊かにしてくれたと感じています。

推進グループ長 藤井俊成。
シャカカチを推進する部署で本プログラムの立ち上げ、
運営を担当
藤井私も大学時代ラクロス部で一人の人間として成長できましたし、そのときに学んだことは社会に出てからも役立っています。今の大学生、そしてこれから大学に入学する人たちにも、こういった経験を味わってもらいたいと思っていました。
SMBCグループの経営の柱の一つである「社会的価値の創造」に資する取組み「シャカカチ」の一環として、大学運動部に所属する学生アスリートを支援するためにスタートしたのが「シャカカチ BOON BOON PROJECT」になります。SMBCグループの三井住友銀行が1年間に1団体あたり原則100万円の支援金を4年間提供、さらにプロジェクト・パートナー、パートナー企業と連携し、学生が「学業」と「スポーツ」を両立しながら質の高い競技人生を送ることを目指します。すでに2024年度から第一期生として東大ラグビー部をはじめとする22団体への支援が始まっています。
プログラムへの応募を
成長の場にしてほしい。
――東大ラグビー部では「シャカカチ BOON BOON PROJECT」の支援をどのように活用しているのでしょうか。
辻東大ラグビー部は現在、関東大学ラグビー対抗戦Bグループで戦っています。将来的にはAグループに昇格することを目標としていますが、未経験者が多いためにラグビー理解度が低く、筋力、体力的にも恵まれていません。そこで科学的なアプローチでフィジカル強化をしながら、「シャカカチ BOON BOON PROJECT」の支援によりGPSデバイスと分析ソフトを導入しました。データ活用を通じて、自身のコンディションについて理論や実践を自分で考えるアスリートの育成を目指しています。また実践した事例は学内外の運動部に共有することも考えています。
廣瀬選考委員会にも参加しましたが、東大ラグビー部の応募内容を読んだときにしっかりと考えられているなと感心しました。勉強も頑張ってきた上でさらに競技のパフォーマンスも高めようとしている。まさに文武両道ですし、大学スポーツのロールモデルとなるような素晴らしい取り組みですよね。さらに実践したデータを社会に対して還元していくところも東大らしさがあって、すごく面白かったですね。

大学4年生。ラグビー部で運営全般をサポートする
主務を担当する

導入した
GPSデバイスを装着する
東大ラグビー部のメンバー

今シーズンは入替戦出場、そして
長年の悲願であるAグループ昇格を目指す
※東京大学ラグビー部提供
藤井昨年度は我々も初めてだったので、正直どれくらい応募があるのか全く分かりませんでした。応募が一つもなかったらどうしようと心配していたのが、いざ募集が始まるとどんどん増えて……。
廣瀬僕も100件超えました、200件超えましたという連絡がくる度に「本当に?」って驚いていました。
藤井そうでしたね(笑)。お陰様で最終的に約270件もの応募をいただきました。それはすごく嬉しかったのですが、一方で「どういった内容で応募すれば良いのか教えてほしい」という問い合わせもたくさん寄せられました。でも、こちらから課題を提示するのではなく、一から皆さんに考えてもらう。その過程にも成長に繋がる要素があると思うんです。そのためあえてヒントは出さずに、自分たちで自由に考えてくださいという方針を貫き通しました。
辻僕たちも応募にあたって話し合いをする中で、勝敗を超えた部分、大学でスポーツをすることの価値であったり、東大ラグビー部の存在意義や大切に受け継いでいかなければならない文化についても省みることができました。部員全員がこういう時間を持てたことは非常に大きな意味がありましたし、今年、来年という短いスパンではなく、今後の在り方について考えるいい機会になりました。この経験は資金支援以上の価値があったと感じています。
藤井そう言ってもらえるとすごく嬉しいです。すべての応募に目を通しましたが、みんなで話し合って一生懸命に作り上げた企画書って、見た瞬間に本気が伝わるというか、本気が滲み出てくる。自分たちが目指している姿をイメージしてそこに向かっていくためにどんな課題があり、その課題を解決するために何をしたらいいのかを、とことん考える。これも一つの挑戦だし、成長だと思うんです。採択された、されなかったという結果は別として、応募に挑戦すること自体が皆さんの成長に繋がる。「シャカカチ BOON BOON PROJECT」を、そういう場所にしていきたいと考えています。

本プログラムのプロジェクト・パートナー
――8月1日から第二期の募集がスタートしました。応募を考えている大学生に向けてメッセージをお願いします。
廣瀬ぜひ思い切って応募にチャレンジしてほしいと思います。ここで挑戦した経験は、きっと今後の人生で役立つはずです。自分たちらしさを存分に発揮した、本気の応募を待っています。
藤井私たちは学生の皆さんがこのプログラムを通じて成長し、将来、社会で活躍してくれることを第一に考えて運営しています。大学の名前や競技レベルの高い低いは、一切関係ありません。すべての大学、すべての運動部に門戸は開かれていますので、ぜひチャレンジしてほしいですし、みんなで応募のプロセスを楽しんでもらえたら嬉しいです。
text by 福田剛
photograph by Kiichi Matsumoto
※この記事は、2025年9月11日にNumber Webで公開されたものの再掲載版です。