清水 倫、秋山 峻亮、今泉 翔一朗の3名

企業や農家の脱炭素を後押しする
クラウドサービス
「Sustana」「Sustana Agri」

※内容は、取材当時のものです。
  • (株)三井住友銀行 清水 倫(写真左)
  • (株)三井住友銀行 秋山 峻亮(写真中央)
  • (株)日本総合研究所 今泉 翔一朗(写真右)

環境

脱炭素

世界的に脱炭素社会への移行を推進する中で、国内でも一部の上場企業に限らず、中小企業を含む多くの企業が取組を進めています。そうした中で、企業のCO2削減を後押しするサービスとして、SMBCグループは「Sustana」を開発しました。今回、「Sustana」のサービス開発に携わるメンバーに、開発の経緯や今後の展望について話を聞きました。

脱炭素の民主化を目指し、Sustana を開発
さらに農業に特化したサービスへ

清水:
SMBCグループは、脱炭素社会への移行を加速させる存在になりたいと考える中で、2020年4月にSustanaの企画・開発をスタートしました。当時は、脱炭素経営を図ろうとしてもCO2排出量の算定方法がわからない企業も多く、またこの領域のエキスパートも少なく、需要に対して供給が追い付いていない状況でした。 そこで、より簡便かつリーズナブルに使えるクラウドサービスを開発することで、多くの企業の課題に寄り添えるのではないかと考え、Sustanaの開発に着手しました。つまり、脱炭素のエキスパートの領域の汎用化を図ろうというのが発想の起点です。
秋山:
私は、農産物に特化したクラウドサービスSustana-Agriのプロジェクトオーナーを務めています。
食に関わるサプライチェーン全体のCO2排出量の可視化へのニーズの高まりを感じる中で、過去に農業法人「みらい共創ファーム秋田」に出向し、農作業やデジタルを活用したスマート農業の推進などに取り組んできた経験もふまえつつ、企画・開発を行っています。
Sustanaを活用しながら農業生産者と食品関連企業が連携してCO2排出量の可視化・削減を実現していく、新しいサービスの実装ができるのではないかと考えています。
今泉:
私はSustana-Agriを製品サービスとして実装するための、具体的な仕組みづくりに携わっています。
昨今、企業には、Scope3まで含めたサプライチェーン全体のCO2排出量の可視化が求められていますが、特にScope3については、現状の算出方法(活動量×一般的なデータベース上の排出原単位)では、活動量を減らさない限り排出量を削減することができないなど、課題があります。
そこで、まずは農業分野において、食品関連企業における農作物の調達元である農業生産者の作業実態に即した算定を行い、それを企業に提供することで実態に即したCO2排出量の可視化を図ろうとしています。

Sustana サスタナとは

Sustanaは、SMBCグループの提供するCO2排出量算定・削減支援のクラウドサービスです。企業とサプライチェーン全体のCO2排出量の算定から削減施策の立案・実行まで一連の業務をクラウド上で管理できます。

環境負荷低減に尽力する企業や農家が
評価される世界をつくっていきたい。

清水:
価格と品質という現状の評価軸に、脱炭素という3つめの新たな評価軸が加わることで、農業生産者や企業は、新たな差別化戦略を図ることができます。実際、 Sustanaもリリース当時は上場企業での導入が中心でしたが、現在は中堅中小企業の導入割合も増え、裾野の広がりを感じています。
農業生産者も中堅中小企業も、脱炭素への取組が競争力向上につながり、環境負荷低減への取組がしっかり報われる社会を創りたい。そうした意味でもCO2排出量の可視化は重要だと考えています。
秋山:
Sustana-Agriは、実証段階ですが、農業生産者に負担をかけずにデータ収集をするための、営農支援アプリなどとの連携も重要と考えています。
また、既存のニーズだけでなく、2、3年後のニーズを見据えて開発していくことも重要です。ビジネス化するにはまだ検討が必要ですが、農業生産者の環境負荷低減に向けた努力が可視化され、きちんと収益として還元されていくような世界を創造していく、それがこのプロジェクトのひとつのゴールだと思っています。
清水:
日本の伝統産業のひとつである日本酒の世界でもカーボンニュートラルなお酒づくりで、海外のバイヤーから注目され、販路を拡大している酒造会社があります。
このように、脱炭素は、SMBCグループの重点課題のひとつ「日本の再成長」のドライバーになると私は考えています。今後も、Sustanaを軸に、企業や農業生産者と伴走しながら、社会的価値を創造し、日本全体の成長へとつなげていきたいですね。

プロフィール

  • (株)三井住友フィナンシャルグループ兼(株)三井住友銀行
  • サステナブルソリューション部 戦略企画グループ グループ長

清水 倫

2007年3月慶應義塾大学卒業(MDGs専攻)。株式会社三井住友銀行入行。法人営業部での勤務経験を経て、新規ビジネス開発を行う部署へ異動。2018年東京都とともに政策特別融資「三井住友銀行経営基盤強化」「SDGs経営計画策定支援」を立ち上げ。2020年日本総合研究所とともに、横浜市における地方創生SDGs金融制度の構築を支援。現在はSustanaをはじめとするサステナブルソリューション全般の企画・開発・推進を行う。

  • (株)三井住友フィナンシャルグループ兼(株)三井住友銀行
  • 社会的価値創造推進部 事業開発グループ 部長代理

秋山 峻亮

2012年三井住友銀行入行。長野での法人営業、プライベートバンキングビジネスをはじめとする企画業務等を経て2022年に、株式会社みらい共創ファーム秋田に出向。現在は銀行から同社の事業運営に携わると共に、フード&アグリビジネス分野での事業開発や脱炭素関連事業への取り組みに従事。

  • (株)日本総合研究所
    創発戦略センター スペシャリスト

今泉 翔一朗

2015年3月名古屋大学大学院工学研究科修士課程修了。株式会社日本総合研究所入社。創発戦略センター所属。次世代農業ロボットの事業開発等、農業分野を中心にデジタル、ロボット技術を活用したサービスデザインに取り組む。現在は、Sustana-Agri(仮称)をはじめとして、カーボンニュートラルやネイチャーポジティブを推進するソリューションの企画・開発・推進を行う。