コーポレートガバナンス

基本的な考え方

SMBCグループでは、経営における普遍的な考え方として経営理念を定め、企業活動を行う上での拠りどころとして位置付けています。経営理念に掲げる考え方を実現するために、コーポレートガバナンスの強化および充実を経営上の最優先課題のひとつとし、実効的なコーポレートガバナンスを追求しています。

三井住友
フィナンシャル
グループの体制

当社は、組織形態として指名委員会等設置会社を採用しています。国際的に広く認知され、国際的な金融規制・監督とも親和性の高いコーポレートガバナンス体制を構築し、業務執行に対する取締役会の監督機能強化および業務執行の迅速化を図ることを目的としたものです。なお、中核子会社である三井住友銀行とSMBC日興証券は監査等委員会設置会社を採用しています。

当社は、実効的なコーポレートガバナンスの実現を通じて、不祥事や企業としての不健全な事態の発生を防止しつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ります。コーポレートガバナンスに完成形はないものと考え、継続的なコーポレートガバナンスの強化・充実に向け、不断の取組を進めることにより、実効性の一層の向上を目指しています。

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  • *1:外部有識者として山口廣秀氏(日興リサーチセンター理事長、元日本銀行副総裁)、山﨑達雄氏(国際医療福祉大学特任教授)が委員を務めています。
  • *2:外部有識者として高村ゆかり氏(東京大学未来ビジョン研究センター教授)、有識者として足達英一郎氏(日本総合研究所フェロー)が委員を務めています。

2025年6月時点

取締役会の役割

当社の取締役会は、経営の基本方針等、法令上取締役会の専決事項として定められた事項の決定および執行役・取締役の職務執行の監督を主な役割としています。また、取締役会の監督機能の一段の強化および業務執行の迅速化等を目的として、法令上取締役会の専決事項として定められている事項以外の業務執行の決定を、原則として執行役に委任しています。

また、取締役会は、経営理念の実現、企業価値および株主の共同の利益の長期的な増大に努め、それらを損なう可能性のある行為に対して、公正に判断し、行動することとしています。

加えて、取締役会は、執行役による適切なリスクテイクを支える環境整備を行うとともに、健全な経営を堅持していくため、会社法等に基づき、SMBCグループの業務の適正性を確保するための体制を整備しています。さらに、独立した客観的な立場から、執行役に対する実効性の高い監督を行うことを責務のひとつと捉え、適切に会社の業績等の評価を行い、その評価を執行役の人事に適切に反映します。

取締役会での審議項目の例

  • 中期経営計画および業務計画の進捗状況
  • グローバル戦略・インオーガニック戦略
  • デジタル化への取組
  • 人事施策(人的資本投資)
  • システム戦略方針・サイバーセキュリティ・データガバナンス
  • グローバルコンプライアンス
  • 政策保有株式に関する対応
  • 金融庁による行政処分等を踏まえたSMBC日興証券への重点的な監督等
  • 社会的価値の創造(含むサステナビリティ推進)への取組
  • 資本政策(ROE・PBR 向上)
  • 地政学リスクへの対応・金融市場動向への対応

(参考)ガバナンス向上への
取組

2002
  • 三井住友フィナンシャルグループ(当社)を設立
  • 取締役会内部委員会として、任意の人事委員会、報酬委員会、リスク管理委員会を設置
2005
  • 取締役会内部委員会として、任意の監査委員会を設置
2006
  • 業務の適正を確保する体制整備のため、経営理念および行動規範に則り、内部統制決議を行い、「内部統制規程」として制定
2010
  • 財務内容の透明性や投資家の利便性の一段の向上、資金調達手段の多様化等を目的として、ニューヨーク証券取引所に上場
2015
  • 「SMFGコーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定・公表
  • 社外役員を増員し、社外取締役5名、社外監査役3名の計8名に
2016
  • 取締役会の実効性評価を開始
2017
  • 指名委員会等設置会社へ移行(社外取締役7名)。指名・報酬・監査の法定3委員会に加え、任意のリスク委員会を設置(法定3委員会の委員長は社外取締役に)
  • 事業部門制・CxO制を導入し、新たなグループガバナンス体制を整備
2019
  • 中核子会社である三井住友銀行とSMBC日興証券が監査等委員会設置会社へ移行
  • 取締役を17名から15名に減員し、社外取締役比率が47%に上昇
2020
  • リスク委員会の委員長に社外取締役が就任
2021
  • グループCSuOを任命
  • 任意のサステナビリティ委員会を設置(委員長は社外取締役に)
2023
  • グループビジネス管理室を設置
2024
  • 取締役会の構成を社外取締役が過半数となるよう変更

取締役会の構成

当社の取締役会は、専門知識や経験等のバックグラウンドが異なり、ジェンダーや国際性においても多様性を備えた取締役で構成しています。

2025年6月27日現在、取締役会は、13名で構成されています。このうち過半数の7名が社外取締役であるほか、取締役会議長には、業務執行を行わない取締役会長が就任しており、執行役および取締役の職務の執行を客観的に監督する体制を構築しています。

また、社外取締役は、法定および任意で設置している各委員会の委員長または委員となっているほか、必要に応じ、コンプライアンス、リスク管理等に関する報告を担当部署から受ける等、適切な連携・監督を実施しています。

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取締役のスキル・マトリックス

グローバルな金融グループの取締役会として十分な監督機能を発揮できるよう、「企業経営」「金融」「グローバル」「法務・リスク管理」「財務会計」「IT/DX」「サステナビリティ」等に関する知見・経験を備え、SMBCグループのさらなる発展への貢献が期待できる人物を選定しています。

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  • *1:◎は委員長。
  • *2:対象取締役に対して特に期待する分野であり、対象取締役が有するすべての知見・経験を表すものではありません。

2025年6月時点。

取締役会の実効性評価

当社は、「SMFGコーポレートガバナンス・ガイドライン」の「取締役会の実効性評価」の項目において、取締役会は、その職務の執行が同ガイドラインに沿って運用されているかについて毎年、分析・評価を行うことを規定し、開示しています。

2024年度については、「コーポレートガバナンス・コード」および「SMFGコーポレートガバナンス・ガイドライン」に記載されている「取締役会の役割」「取締役会の運営・社外取締役へのサポート体制」および「取締役会の構成」を中心に、2025年4、5月の取締役会において、5名すべての社外取締役から意見を聴取しました。その上で、社内取締役へのインタビュー等も踏まえ、同年6月の取締役会において審議を行い、取締役会の職務の執行が同ガイドラインに沿って運用されているかについて、分析・評価を行いました。本評価については、その実施プロセスの各段階において、先進諸外国の知見を持つ外部専門家によるレビューを受けています。

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実効性評価結果の概要

2024年度は、前回の実効性評価を踏まえた対応が適切になされ、取締役会の審議高度化や実効性向上への努力の結果、十分な実効性を有しており、かつ、従来よりも実効性が向上していると評価しました。当社の取締役会は今回の実効性評価の結果や、一連のプロセスの中で各取締役から提示された多様な意見および外部専門家の推奨事項を踏まえ、社外取締役と社内の役職員の相互理解を推進するとともに、当社の企業価値向上のための本質的な課題を議論していくことにより、さらなる実効性の向上に取り組んでいきます。

取締役会の実効性評価PDCA

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内部委員会の活動実績(2024年度)

  主な役割 開催回数
(平均出席率)
活動内容
指名委員会 株主総会に提出する当社取締役の選任および解任に関する議案の内容を決定。経営トップの後継者選定に関する事項や主な子会社の役員人事等を審議 4回(100%)
  • 当社会長および三井住友銀行会長の人事案および、グループ会社社長の人事案について継続的に審議の上、同意
  • 社外取締役候補者選定基準の見直しおよび、基準を踏まえた取締役の選任議案について審議
報酬委員会 当社取締役、執行役および執行役員の報酬等の決定方針、取締役および執行役の個人別の報酬等の内容を決定。主な子会社の役員報酬等の決定方針、当社執行役員等の個人別の報酬等の内容を審議 7回(100%)
  • 2026年度から開始する次期中期経営計画を見据え、当社および三井住友銀行の役員報酬体系の見直しを審議
  • SMBCグループの競争力を高めるため、グループ各社の役員に対する株式報酬制度のさらなる対象拡大を審議
監査委員会 当社取締役および執行役の職務執行の監査、監査報告の作成、株主総会に提出する会計監査人に関する議案の内容の決定 14回(99%)
  • 監査方針に基づき、重要な会議への出席、取締役および執行役等からの職務執行状況の聴取、社内各部署からの報告聴取や各拠点への往査等を通じて、取締役および執行役の職務執行状況を監査
  • 監査委員会における審議結果を取締役会へ報告し、必要に応じて執行役等に対して提言や意見表明を実施
リスク委員会 環境・リスク認識とリスクアペタイトの運営、運営体制等のリスク管理にかかる重要な事項について審議し、取締役会に助言 4回(100%)
  • 主要国の政治・金融経済動向や地政学リスク等について議論し、業務計画の策定に向けて、トップリスクやストレステストの結果を踏まえ、リスクアペタイトやリスクシナリオ顕在化時の対応方針について審議
  • 健全なリスクカルチャー醸成へ向けた取組、オペレーショナル・レジリエンスの強化等について審議
サステナビリティ委員会 社会的価値の創造に関する施策の進捗、サステナビリティを取り巻く国内外の情勢等について審議し、取締役会に報告・助言 2回(100%)
  • 社会的価値の創造に関する取組状況を振り返り、さらなる取組の拡大に向けた対応や、取組によるインパクトの測定および開示の方向性について審議
  • サステナビリティを巡る外部環境の変化を踏まえ、SMBCグループの戦略・戦術の見直しの必要性や、実体経済の脱炭素化に向けた取組の高度化について審議

社外取締役のサポート体制

グループの事業活動および業務内容を深く理解してもらうことが重要との考え方の下、社外取締役に対し、経営を監督する上で必要となる事業活動に関する情報や知識の提供、求められる役割を果たすために必要な機会の提供を継続的に行うこととしています。
2024年度は、下記の取組等を実施しました。

社外取締役によるニューヨークの拠点視察

社外取締役によるニューヨークの拠点視察

社外取締役による三井住友DSアセットマネジメントの拠点視察

社外取締役による三井住友DSアセットマネジメントの拠点視察

  • 事業活動および業務内容の理解促進を目的として、中核子会社の部店長会議等、執行サイドの各種会議に参加したほか、グループ会社の国内・海外拠点視察、海外拠点役員やグループ会社社長との意見交換を実施
  • 社外取締役・担当部署との間で、「三井住友銀行の人事制度改定」や「グループ会社のビジネス」等のテーマ別のインフォーマルな会合を開催
  • 取締役会における議案の理解を促進するための取組として、事前に議案内容の説明会を開催
  • 外部専門家を講師として、「サステナビリティ」「データガバナンス」「中央銀行デジタル通貨」に関する勉強会を実施
  • 社外取締役に適時適切に社内会議の模様等の情報提供を実施
  • 社外取締役のみの会合を開催

社外取締役の独立性に関する基準

当社では、社外取締役が独立性を有すると判断するためには、現在または最近において、次の要件のいずれにも該当しないことが必要であると考えています。

1. 主要な取引先
  • 当社・三井住友銀行(以下、当社等)を主要な取引先とする者もしくはその業務執行者
  • 当社等の主要な取引先もしくはその業務執行者
2. 専門家
  • 当社等から、役員報酬以外に、過去3年平均で、年間1,000万円超の金銭その他の財産を得ている法律専門家、会計専門家またはコンサルタント
  • 当社等から、多額の金銭その他の財産を得ている法律事務所、会計事務所、コンサルティング会社等の専門サービスを提供する法人その他の団体の一員
3. 寄付

当社等から、過去3年平均で、年間1,000万円または相手方の年間売上高の2%のいずれか大きい額を超える寄付等を受ける者もしくはその業務執行者

4. 主要株主

当社の主要株主もしくはその業務執行者(過去3年以内に主要株主もしくはその業務執行者であった者を含む)

5. 近親者

次に掲げるいずれかの者(重要でない者を除く)の近親者

  1. (1)上記1~4に該当する者
  2. (2)当社またはその子会社の取締役、監査役、執行役、執行役員等の使用人

詳細は、「SMFGコーポレートガバナンス・ガイドライン」の参考6をご参照ください。

報酬制度

当社では、SMBCグループの経営理念や中長期的に目指す姿であるビジョンの実現に向け、次の2点を主な狙いとする役員等の報酬体系を構築するとともに、譲渡制限付株式を用いた株式報酬制度を導入しています。

  • SMBCグループの短期・中長期の業績と役員等の報酬との連動性を高め、業績に対する適切なインセンティブとして機能すること
  • 株式による報酬の比率を高め、役員等の株式保有を進めることにより、株主との利益共有を進めること

役員等の報酬体系(2025年度)

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当社役員報酬の構成等

役員報酬は、原則、「基本報酬」「賞与」「株式報酬」で構成されており、経営環境や業績等を踏まえて変動する業績連動部分の比率の目安を役位に応じ40%から60%程度としています。役員の報酬体系や報酬水準は、第三者による経営者報酬に関する調査結果・経済・社会情勢・経営環境等を踏まえ、報酬委員会で決定しています。

単年度業績連動報酬

単年度業績連動報酬として、「賞与(現金)」と「株式報酬Ⅱ」を支給しています。2024年度の業績指標は、SMBCグループの経営の最終結果である「SMFG当期純利益」、SMBCグループの収益力を示す「SMFG業務純益」の2指標を採用し、業績と役員等の報酬との連動性を高め、業績に対する適切なインセンティブとしての機能を担保しました。単年度業績連動報酬の業績評価係数は、報酬委員会が年度ごとに決定しており、2024年度の実績は以下の通りです。

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中期業績連動報酬

中期業績連動報酬として「株式報酬Ⅰ」を支給しています。当社の中長期の業績と株主価値の向上等に対するアカウンタビリティ・インセンティブ向上のために、評価指標に「ROCET1」「ベース経費」等の財務指標に加え、株式指標として「TSR」、非財務指標として「社会的価値の創造」を採用し、調整項目である「新たなビジネス領域への取組」「コンプライアンス・お客さま本位・リスク管理」を踏まえて決定します。

社会的価値の創造に向けた取組に関する評価

役員等が、持続可能な社会の実現に対するコミットメントを一層高めることを企図し、役員報酬には、社会的価値の創造に向けた取組に関する評価を取り入れています。

2022年度より、単年度のサステナビリティへの取組について、温室効果ガスの排出削減量といったサステナビリティに関する主要なKPIの単年度の達成度および主要な外部評価機関の評価結果に応じて、報酬委員会で評価を決定し、最大±10%の範囲で単年度業績連動報酬に反映させています。

また、2023年度より、中期業績連動報酬の評価指標に非財務指標として社会的価値の創造を組み入れました。具体的には、環境や従業員に関する取組のKPI達成率のほか、SMBCグループが設定する5つのマテリアリティへの取組状況を、報酬委員会が評価します。

業務運営の健全性確保

株式報酬制度に基づき割り当てられる譲渡制限付株式を対象に、財務諸表の重大な修正やグループのレピュテーションへの重大な損害等の事象が発生した場合に、マルス(譲渡制限期間中の減額・没収)・クローバック(譲渡制限解除後の返還)を可能とする仕組を導入しています。
過度なリスクテイクの抑制、金融業としてのプルーデンス確保(健全性維持に向けた取組)を図っています。

詳細については、以下のリンク先をご覧下さい。