価値創造を支える人材戦略

CHROメッセージ

人こそが、最も大切な財産

SMBCグループがお客さまや社会にとってなくてはならない存在となるためには、従業員一人ひとりが挑戦を続け、成長を遂げていくことが何よりも大切です。「人」こそが我々の財産であり、競争力の源泉です。

現在、グループには12万人の多様な人材が活躍していますが、我々が誇るべきものは「一人ひとりの強さ」です。この強さとは、一人ひとりが仕事に対するこだわりと情熱を持ち、お客さまや社会のために何ができるかを徹底的に考え抜く姿勢を指します。また、それぞれが仲間を大切にし、責任感を持って自らの職務を全うし、困難にも果敢に挑戦する意欲も兼ね備えています。この人材に対する価値観を、我々はDNAとして先人から受けつぎ、長きにわたって培ってきました。

2023年度には、これらの目指す姿を具体化した「SMBCグループ人財ポリシー(人財ポリシー)」を制定しました。

人的資本経営を通じ「選び、選ばれる関係」へ

我々が将来にわたり成長し、お客さまや社会から選ばれる企業として付加価値を提供し続けるためには、人財ポリシーで掲げた姿を追求し続け、会社と従業員の選び、選ばれる関係が好循環していることが不可欠です。人財ポリシーは「人事の羅針盤」であり、現在の中期経営計画で掲げた各種施策の基盤となっています。

また、2025年度より「人財ポリシースコア」という独自の指標を導入しました。この指標を通じて、人財ポリシーの目指す姿の実現度を可視化し、それをモニタリングしていきます。今後も中期経営計画等の経営戦略との連関を見据えつつ、その実現度合いの状況から、施策のアップデートを進めていきます。

グループCHROとして、これからも人財ポリシーを人事施策の基本方針として位置付け、一人ひとりの人材力を最大限に引き出すことで、経営基盤の格段の強化を図り、社会的価値の創造と経済的価値の追求を実現していきます。

三井住友銀行の人事制度改定に込めた思い

三井住友銀行では、2026年1月に予定している人事制度改定を通じて、人財ポリシーのさらなる具現化を目指しています。この改定では、これまでの年功序列といったレガシーから脱却し、一人ひとりがプロフェッショナルとしてのキャリアを歩み、役割と行動、貢献に基づく評価を徹底することで、挑戦を促し、実力を引き出す環境を整備します。

この改定を通じて、従業員一人ひとりが高いプロ意識と矜持を持ち、挑戦と成長を繰り返していくことにより、SMBCグループが社会やお客さまにとって欠かせない存在であり続けることにコミットしていきます。グループCHROとして、こ れからも人的資本の可能性を最大化し、グループ全体の進化を牽引していく決意をここに表明します。

SMBCグループ版人的資本経営モデル

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人財ポリシースコア

SMBCグループでは、人財ポリシーの実現度を定量的に評価する指標として、「人財ポリシースコア」を新たに導入しました。この指標は、グループの人的資本経営モデルを支える基盤である、人財ポリシーの「従業員に求めるもの」と「従業員に提供する価値」との好循環の実現度を可視化するものです。本スコアは、エンゲージメントサーベイの各項目の結果を組み合わせて算出し、エンゲージメント総合スコアのKPIと同じく70以上を目安として設定しています。

現在、このスコアは目安を超える水準を維持しており、SMBCグループにおいて人財ポリシーが十分に実現されていると評価しています。今後もスコアのモニタリングを継続し、そこから得られるインサイトを施策に反映させることで、人的資本経営を深化させ、SMBCグループの持続的な成長を実現していきます。

2025年度人財ポリシースコアの内訳

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人材戦略の達成状況

人材戦略の達成状況*1

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三井住友銀行の人事制度改定

新人事制度によって実現したいこと

事業環境の変化に伴い我々に求められる専門性が高度化していることを踏まえ、各領域でプロフェッショナル人材の確保・育成を加速させ、そのような人材の活躍を通じて、我々のビジネスをさらに拡大していきます。

また、会社の発展に向けて人財ポリシーの好循環の創出も目指していきます。すなわち、従業員と会社が選び、選ばれる関係となるため、会社は多様な価値観を尊重し、従業員が最大限の力を発揮できる環境と組織風土を築いていきます。そのような職場で意欲的に業務に取り組み、成果を上げた従業員に対し、公正な評価と処遇で応じることで、それぞれの職場で働くことにさらなる意欲や喜びを感じてもらう関係を構築します。

人事制度改定の全体像

新人事制度では3つのコンセプトを掲げています。

  • 1.一人ひとりがプロとしての軸を作るキャリアパスの設計
    これまでは、全員が幅広く業務を経験し、一律にマネジメントを目指す単一的なキャリアパスでした。新人事制度では、それぞれの領域で専門性を磨いてプロフェッショナルを目指すキャリアパスも提供することで、マネジメントだけでなく、トッププレイヤーとしてのキャリアゴールを描く選択肢が広がります。
  • 2.一律の年次運用の撤廃
    入行年次や年齢に関係なく、プロフェッショナルとして求められる役割と成果・貢献を重視し、評価・処遇を決定します。 実力があれば誰もが、大きな役割とそれに応じた処遇を得られるようになります。
  • 3.一人ひとりがキャリアと働き方を選択
    従業員一人ひとりが自らのキャリアパスを選択し、ライフステージに応じた働き方を実現できることはもちろん、それが公正に評価・処遇される枠組を確立します。自律的なキャリア形成の実現に向けた、意識改革につなげていきます。
人事制度改定に関する理解浸透のための従業員とのセッションの様子

人事制度改定に関する理解浸透のための従業員とのセッションの様子

人事制度改定を成功に導くポイント

三井住友銀行発足後初めての抜本的な改定のため、従業員がキャリア形成や実力本位の仕組に対して不安を感じることや、マネジメントの負担が増加することも想定されます。

たとえば、管理職は、部下一人ひとりの適性・キャリア志向を把握し、成長を促すフィードバックを行うことが求められます。多様な人材に寄り添い、チームのパフォーマンスを最大化するために、これまで以上に高度なマネジメントスキルが必要となることから、管理職を対象とした施策を拡充していきます。

また、新人事制度を従業員全員が正しく理解し、前向きに変化を受け入れられるよう、経営・事業部門・人事が一体となり、丁寧なコミュニケーションを行っています。

1. 戦略を支える人材ポートフォリオの構築

目指す姿と今後の展望

注力領域におけるプロフェッショナル人材の確保と戦略に応じた機動的な人材配置を目指し、人材ポートフォリオマネジメントをさらに推進していきます。たとえば三井住友銀行では、従業員が保有するスキルや経験を自ら開示し、各部署がその情報を基にオファーできる制度の導入を予定しています。多様化するビジネスニーズに応えられるよう、より精緻で柔軟な人材ポートフォリオの構築を目指します。

取注力分野の人材拡充

成長に向けた戦略重点領域
3つの注力分野に対して現中期経営計画3ヵ年の人員投入計画を定め、積極的な採用と機動的な配置を進めています。具体的には、DX人材をはじめ、法務・コンプライアンス等の経営基盤を担う人材、グローバルCIBやマルチフランチャイズ戦略等を進めるグローバル人材の拡充に注力しています。

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専門人材認定
従業員の専門スキル向上のため、認定制度を拡充しています。日本総合研究所では「エキスパート認定制度」の対象者をシステム部門から本社部門全体へ拡大しました。また、三井住友銀行では特定の社外資格取得者を認定する「SMBC DX パスポート」を活用し、DX人材の育成を加速しています。

専門人材の認定者数

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人材獲得の強化
各領域での専門性向上を目的として、コース別の新卒採用を促進しています。三井住友銀行では、IT・デジタルコースの拡充や、入行後に最短での海外赴任を確約する「Global Banking Course」の新設等を行いました。キャリア採用の手法を多様化し、部署起点のスカウトやリファラル、カムバック採用の動きも増え、2024年度のスカウト経由の採用者数は99名に上りました。

新卒コース別採用数推移

キャリア採用数推移

グループ・グローバルを舞台とした 活躍推進

国内外のシームレスな人材配置
多様な人材がグループ・グローバルでシームレスに活躍できるような、仕組や環境を整備しています。
グループ会社間では、3,200名の人材交流が生まれていることに加え、会社横断でプロジェクトチームを組成する事例も増えています。

また、グローバルでは、国を跨ぐ異動について、統一した「Global Mobility Policy」を定め、より一体的な運用へと移行予定です。グローバルな人材配置を機動的に行い、従業員に幅広い成長機会や活躍の場を提供していきます。

協働体験を通じたグローバルアラインメント
国内外の従業員が、SMBCグループの事業・人材の多様性を実感するとともに、グローバル人材としてのスキル・専門性を高められるよう、日本と海外の双方向での短期派遣や業務出向を推進しています。

三井住友銀行では、海外現地従業員に向けて、日本での短期研修制度「Global Japan Program」等の実習機会提供や、日本への出向を促進しています。2024年度は90名が来日し、高度な専門性を発揮するとともに、雇用地にとらわれない成長機会や活躍の場を得ました。

また、国内雇用の従業員を対象とした2年間の海外トレーニー制度の継続に加え、戦略上の注力国であるインドには、2024年度から若手従業員を3ヵ月間短期派遣する等、将来のグローバルビジネスを牽引する人材の育成に注力しています。

インドへの若手従業員短期派遣プログラム「Indo wo Shiro Program」

インドへの若手従業員短期派遣プログラム「Indo wo Shiro Program」

経営人材の輩出

サクセッションプラン
CxOや事業部門長等の国内外の主要ポジションについて、リーダーシップに富んだ経営人材を育成するため、サクセッションプランを策定し、年齢・背景にかかわらず成果・実績に応じた登用を推進しています。たとえば、40代前半での執行役員登用や、グループ内で所属会社を跨いでの執行役員登用を実現しました。
また、経営幹部候補者の計画的な育成を目的としたグループ合同研修を開催しています。経営幹部としての俯瞰的な視野を育むことに加え、グループの強みを活かしたビジネス推進に向けて一体感の醸成を図っています。

後継者候補数・継承準備度

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グローバルタレントマネジメント
グローバルな主要ポジションでの最適配置を実現するため、2024年度に海外現地従業員の執行役員登用プロセスを「Global Talent Management Framework」として整備しました。執行役員候補者の選出から、360度評価の実施等、登用までの一連のプロセスを明確化し、雇用地にとらわれない最適な人材の登用を加速していきます。

グローバル人事の挑戦

グローバル人事機能の高度化
SMBCグループにとって、海外ビジネスの重要性はこれまで以上に高まっています。近年、事業規模と人員の両面で海外事業は大幅に成長しており、今後も持続的な成長を展望しています。海外ビジネスが拡大し、複雑性が増す中で、 我々はグローバル人事機能を高度化することが求められています。これをふまえ、グローバルで人事機能の一体化に取り組んでおり、人事運用の簡素化・効率化、国・地域間の連携強化、本社としての適切なガバナンス体制の構築を推進しています。「One Global HR」としてグローバルに整合した人材戦略を実行することで、国・地域にかかわらずグループ・グローバルの従業員全員に活躍の場を提供し、事業と従業員がともに成長していくことを目指します。

Joel Fastenberg

Joel Fastenberg
執行役員 人事部 部付部長

統一プラットフォームの構築
グローバル人材戦略の実現に向けて、人事組織・運用等のHRプラットフォームをグローバルで統一することが不可欠だと考えています。

そこで、2025年度から、各地人事責任者のレポートラインを本社人事部にも接続しました。また、Global CoE(Center of Excellence)として機能別にグローバルな企画・運営体制も構築しました。CoEの5つの機能のうち、4つは海外現地従業員を責任者にアサインし、人事部門においても雇用地にとらわれない人材配置を実現しています。さらに、海外においては銀行・証券の一体運営を進めていることを踏まえ、グローバル人事領域においても三井住友銀行とSMBC日興証券の一体運営を開始しました。新体制により、海外拠点との一体的な人事運用とグループ・グローバルで人材力の最大化を加速していきます。

また、グローバルでの人事データ活用の高度化を目指し、海外における人事システムの統合を検討しています。これを国・地域を跨ぐ異動等に活用することで、グローバル全体で最適な人材マネジメントの実現を目指します。

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2. 従業員の成長とウェルビーイング支援

目指す姿と今後の展望

SMBCグループでは、従業員一人ひとりが自分らしく活躍するために、新しい挑戦を支援する仕組作りや、心身ともに健やかに仕事に向き合える環境整備を行っています。また、従業員が担当領域でプロフェッショナリティを高め、キャリアを充実させるための機会の提供も進めています。

自律的なキャリア形成を支える仕組

自らのキャリアと向き合い、挑戦する機会
グループ横断で職務やポストに応募できる公募制度や、各部署が業務内容や魅力を伝える説明会「ジョブフォーラム」の定期的な開催等により、従業員の自律的なキャリア形成を支援しています。2024年度の「ジョブフォーラム」は約1,400名が参加しました。 三井住友カードでは、公募制度に加え、希望する職務やポストに自ら手を挙げて挑戦できる「キャリアチャレンジ(FA制度)」を導入しており、2024年度は通常の公募と合わせて310名の社員が活用しました。

さらに、社内ベンチャーを立ち上げる取組を支援しており、年齢や経験を問わず、挑戦する機会を提供しています。この取組を通じて、2024年度は新たに6名の新規事業の「社長」が生まれました。

公募制度応募者数

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社外派遣や副業による成長促進
社外派遣エントリー制度や、副業・社内副業を通じた多様なスキル・経験の習得を促しています。たとえば、SMBC信託銀行や三井住友ファイナンス&リースでは、他部署の業務を一定期間体験できる機会を提供しており、経験の拡大・キャリアビジョンの明確化を促進しています。

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専門性にフォーカスした育成体系
従業員の専門性獲得に向けたグループ各社の取組も進んでいます。たとえば、三井住友ファイナンス&リースでは、ラーニング・プラットフォーム「SMFLアカデミー」を整備し、従業員が自ら進んで専門性を獲得できる仕組を提供しています。また、SMBCコンシューマーファイナンスではスキルの可視化に取り組み、必要な資格取得に向けた支援を行っています。

健康経営

従業員の成長を支える心身の健康確保
従業員の健康に対する意識・リテラシーの向上を目的としたさまざまなセミナー・イベントをグループ一体で開催しています。また、検診や治療等にかかる費用補助、柔軟な勤務制度の整備等を行っています。こうした取組が評価され、当社は「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)(ホワイト500)」に認定されました。

3. チームのパフォーマンス最大化

目指す姿と今後の展望

SMBCグループでは、従業員の多様な価値観を尊重し、チームワークにより成果を生み出す組織風土の醸成に取り組んでいます。特にDE&Iは、SMBCグループの重要な成長戦略と位置付け、さらに強化するため、2024年度から取り組むテーマ(両立支援等)ごとにグループ横断で施策の企画・立案を行う体制を整えました。今後も、環境変化や従業員の意識の多様化を踏まえ、さまざまな施策に取り組んでいきます。

DE&Iの推進

意思決定層の多様化
SMBCグループの意思決定層の多様化に向けてさまざまな取組を推進しています。たとえば、日本におけるジェンダーギャップの課題を踏まえ、三井住友銀行の「スポンサー制度」では、経営会議役員(スポンサー)が女性経営幹部候補(スポンシー)に対して、キャリアアップに向けた包括的な支援を行っています。2025年度は17名の経営会議役員がスポンサーとなり、21名のスポンシーを支援しています。

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両立支援の促進
従業員が、仕事とプライベートを両立しながら思う存分に活躍できるよう、両立支援制度を拡充しています。性別に関係なく育児休業を取得しやすい組織作りのほか、介護ガイドブックの策定等、介護との両立に向けた従業員の意識の醸成も進めています。

男性の育児休業平均取得日数・取得率*

男性の育児休業平均取得日数・取得率拡大画像を表示する

パフォーマンスを高める組織風土

組織をリードするマネジメント育成
中堅層から役員まで、マネジメント力の育成に力を入れています。 管理職1人当たり平均22人が360度評価を実施する等、管理職に内省する機会を提供し、組織全体のパフォーマンス向上につなげています。

「Wevox」の活用
グループ・グローバルでエンゲージメントサーベイ「Wevox」を活用し、可視化したデータを基に現場主体で課題の特定や改善に取り組んでいます。三井住友銀行では3,000名超がエンゲージメント・アンバサダーとして職場作りの中核を担っています。エンゲージメントスコアは高い水準を維持していますが、引き続き定点観測を続け、各種人事施策の改善に活用していきます。

エンゲージメントスコア

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三井住友銀行の人材育成について

三井住友銀行は、人材に関するあらゆる場面における長期的戦略としてSMBCグループにて制定した、「SMBCグループ人財ポリシー」に従い、人材育成に取り組みます。従業員一人ひとりの挑戦を後押しするため、人事部主導の人材育成スタイルから、現場主導で従業員が自律的に成長していく育成スタイルへ転換しつつ、評価の透明性を高め、年次を問わず、貢献した従業員がより評価されるための環境整備を進めています。

OJTを主体とした職場における経験学習サイクルの加速化

若手従業員に対しては、先輩従業員による指導体制(アンカー制度)や、徹底的な自己理解と基本行動・基礎知識を習得し、適切な競争意識を醸成する育成体系を導入しOff JTとの接続を意識した取組を行っています。

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三井住友銀行の評価制度

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貢献評価制度について
  • ・透明性・納得性のある手法で、会社または他の従業員への貢献度合いを評価し、メリハリある処遇を実現する制度
  • ・自らの所属する部署・グループに対する貢献に留まらず、グループ全体および他の従業員に対する「貢献」全てを評価
実力評価制度について
実力評価制度について
  • ・貢献として顕在化する「行動特性(コンピテンシー)」と本人特有の「行動源泉(エネルギー)」を通して、総合的に評価する制度
  • ・部店長の評価のみでなく、人事部員による面接や研修等を通じ、多面的評価情報の収集を図り、実力評価に反映
実力評価制度について
マネジメント層に向けた取組

従業員の価値観の変化や業務の専門化が進み、働き方をめぐる意識・環境が大きく変化していることから、マネジメントの難易度は年々増し、上記「職場における経験学習サイクルの強化」においても、その役割は益々大きくなっています。このような環境に合わせ、新任管理職に対し、役割期待やマネジメントの重要性、また人材育成のポイントやDE&Iの推進意義等を伝える新任研修を職位別に実施するほか、全管理職のサポートとして、マネジメント力強化に向けた取り組みを実施しています。

マネジメントに求められるスキルは科学的に研究が進み、体系化されていることから、外部の知見を最大限に活用したマネジメントスキル研修を導入しています。また、管理職の評価要素の一つに、「ダイバーシティ(多様な価値観を持った部下やメンバーの違いを活かし、新たな価値を創造する行動)」を盛り込むほか、年に一度、部下や同僚からの多面評価(SMBCマネジメントレビュー)や上司との面談を通じて、多角的に自身のマネジメントスタイルを自省し、適切に課題設定を行い必要なスキルを自ら開発するサイクルを回しています。

加えて、定期的に人事部や他の管理職層とのコミュニケーションの場を設けることで、銀行全体の課題意識の理解や好事例の共有を通じたマネジメントスキルの底上げにもつなげています。

マネジメント層に向けた取組

Off JTの充実

若手を早期戦力化し、OJTによる育成効果を高めることを目的として「基礎教育プログラム」を実施しています。
例えば、徹底的な自己理解、主体的な成長への渇望、適切な競争環境を生み出すため、若手従業員に求められる必須の基礎知識、基本行動の習得・発揮度合の評価認定を行う「SMBCファーストフラッグ認定」や「チェックポイント制」、先輩従業員による若手従業員の指導・育成をサポートする「アンカー制度」など、OJTとOff JTを組み合わせた複層的な育成プログラムを導入しています。

このほか、管理職層を含む長期的なキャリアを展望するための階層別研修、経営を担うリーダー層に向けたリーダーシップ研修に加え、eラーニングコンテンツを中心にデジタル素養・知識の涵養を促す「デジタルユニバーシティ」、与信・外為などの専門知識を集中的に強化することを目的としたテーマ別研修プログラムも提供しています。リーダーシップ研修においては、東京大学、米国University of Pennsylvania, the Wharton School 等外部の専門機関と共同開発した高度なプログラムを導入しています。