基本的な考え方

社会全体の大きなトレンドとして企業と従業員の関係は変容し、従業員の就業観の変化や多様化が進んでいます。
グローバルベースで約10万人の従業員を抱えるSMBCグループは、「従業員一人ひとりの働きがい向上」と「企業としての生産性向上」を両立させ、
グループ経営戦略の実現を目指します。また、常に成長し続ける人材を創出し、従業員の挑戦と活躍を促すことで、人財力No.1を目指します。

グループ経営戦略を支える人事戦略

人事中期経営計画

SMBCグループの中長期ビジョン実現に向けた経営基盤を支えるべく、下記3点を柱とする人事中期経営計画を策定しました。

1. Resource Management
グループ各社・部門横断の戦略的な人員配置

ビジネスモデル改革や店舗改革、グループベースでの業務集約等、業務の改革や効率化を進めます。一方、新中期経営計画の「7つの重点戦略」に沿った成長・強化領域には機動的に人員を投入し、従来以上に事業部門・グループ各社を超えた、横断的な再配置を行います。
結果として、前中計の3,300人を上回る、国内で7,000人の自然減を図ります。

2. Seamless Platform
真のダイバーシティ&インクルージョンを実現

グループ各社・部門横断で戦略的に人材活用を実現していくためには、多様な人材がそれぞれの持ち場で力を発揮する上での障壁を解消していく必要があります。制度や仕組の整備に加え、教育等を通した従業員・周囲のマインドセット変革等に取り組み、真のダイバーシティ&インクルージョンを実現します。

(1) 事業戦略の実現に資するプラットフォームの構築

ビジネスの強化と効率化を機動的・効果的に行うためのプラットフォームの整備を進めています。
リテール事業部門では、ウェルスマネジメント統括本部や決済・ファイナンス本部の設置に併せ、エンティティを跨いだ人材の融通を前提とした人事制度や採用戦略の見直しを進めます。
ホールセール事業部門においても、お客さまへの対応力をさらに強化するため、専門性を備えた人材育成・キャリアパスの構築を進めています。

(2) グループベースでの柔軟な採用戦略

新卒採用では、合同採用イベントの開催や採用戦略の見直し等、グループ内の連携を強化しています。また、キャリア採用では、採用数全体における割合を約20%まで引き上げる等、大幅に増加させており、多様なチャネル(リファラル採用、カムバック等)を通じて管理職候補者を含む幅広い人材の採用と、キャリア入行者の活躍を支える環境整備に注力しています。

(3) 経営層・人材の多様化
グローバル
海外拠点従業員の人材情報を一元管理するデータベース整備や、幹部登用の透明性を高めるための枠組として「Global Talent Management Council」の設置を通じ、地域を越えた人材活用を推進しています。
また、異文化環境におけるリーダーシップ養成のため、米国University of Pennsylvania, the Wharton Schoolとの提携による幹部従業員研修をはじめとした各国従業員の合同研修や、海外採用従業員が最長1年間国内拠点で勤務する「Global Japan Program」等を行っており、累計約1,700人の従業員が参加しています。
ジェンダー
SMBCグループとして、女性管理職比率・女性役員数の数値目標を定めています。女性の次世代幹部候補の育成・管理職プールの形成のため、女性採用の割合を3割以上とする等の女性採用の強化、リーダーシップ研修の実施や上司向けの意識醸成等を通じた育成強化に加え、登用・昇進での「能力重視/人物本位」徹底のため、管理職・人事部でのアンコンシャス・バイアス研修を必須化しています。
また、2021年4月には、企業の重要意思決定機関に占める女性割合の向上を目指す「30% Club Japan」に加盟し、より一層の女性活躍・意思決定層の多様化推進に取り組んでいます。LGBT等の性的マイノリティに対する支援として、同性パートナーも利用可能な福利厚生制度の整備や、性的マイノリティに関する相談窓口の設置を行うほか、外部イベントへの協賛等を通じ、従業員の意識啓発やAlly(当事者支援)のネットワーキングに取り組んでいます。
シニア従業員の活躍
定年延長等を受け、シニア従業員が各社で専門性を活かしたり、グループを跨いだ異動にあたり、マインド・スキル両面でのリカレント教育や着任後のサポート、セカンドキャリア支援の制度を整備する等、グループ一体で活躍支援に取り組んでいます。
(4) 多様な従業員が活き活きと活躍するために
健康経営
グループ各社において「健康経営宣言」を制定し、最高健康責任者(Chief Health Offi cer)の下、企業・健康保険組合・健康サポートスタッフの三位一体で、すべての従業員が健康で活き活きと働ける環境を整備しています。
具体的には、健康セミナーや運動啓発キャンペーン、女性特有の健康課題に関する制度拡充や研修を実施しています。また、禁煙プログラムの費用補助を行い、2020年度に実施した禁煙キャンペーン時には、参加者の約80%が禁煙に成功しました。
メンタルヘルスケアとして、全従業員対象のストレスチェックおよび集団分析を通じた研修等の実施、メンタル相談窓口の設置や復職支援を行うほか、過重・過密労働防止に向けて、勤務時間のモニタリングや勤務間インターバル制度等の取組を行っています。
両立支援
従業員の価値観の変化等を受け、ライフステージや障がいの有無等の制約にかかわらず、パフォーマンスを最大限発揮できる環境整備を進めるため、休暇・休職制度の拡充や、研修等の実施、男性の育児休業推進に加え、介護に関する相談窓口「わかるかいごBiz」を設置しています。
また、すべての従業員が「働きがい」を感じ、意欲高く業務に取り組めるよう、テレワーク環境の整備や、フレックスタイム制度・時差出勤等の働く場所や時間の柔軟化を進めるだけでなく、ペーパーレス・印鑑レスの推進やRPAを用いた業務効率化を通じて、生産性向上にも取り組んでいます。

3. Employee Engagement
従業員一人ひとりが最大限の力を発揮

(1) 人材育成戦略 ~自律的な成長を実現する環境を整備~

SMBCグループでは、ビジネス環境に応じた人材育成について、各社独自に取り組んでいることに加え、グループ横断で人材育成を担う組織として、「SMFG人事部研修所」を設置しています。グループとしての俯瞰的な視野を涵養するプログラムや、グループの強みを活かしたビジネス推進に向け、一体感を醸成することを目的としたプログラム等を実施しています。各プログラムはグループCEOによる強いコミットの下、グループ経営陣との対話を盛り込むことで、受講者へ向けてグループ一体感醸成につながるメッセージを継続的に発信しています。尚、集合型の研修にとどまらず、グループ共通のLearning Management System(SMBC Group eCampus)を導入し、Webベースでの学びも提供しています。

また、グループ経営幹部候補者の計画的な育成を目的に、各社から選抜した従業員を対象に、グロービス大学院と協働開発したプログラムを実施しています。プログラム内では、グループの強みを活かした経営戦略の立案等に取り組んでいます。次世代経営幹部候補者にはエンティティの壁を超えた異動ローテーションを行い、グループを俯瞰した視野や経営の視座を身に着ける取り組みも実施しています。

グループベースでの合同研修や人事ローテーションを通じた、一体感の醸成に加えて、グループ全体を俯瞰できる視野を持った人材や、これからのグループ経営を担う人材の育成を推進しています。

三井住友銀行においては、充実したキャリア支援制度と、現場主導による従業員一人ひとりの自律的なキャリア形成支援が評価され、厚生労働省の「グッドキャリア企業アワード」において、イノベーション賞を受賞しました。
これからの環境変化や経営戦略にスピーディーに対応することを目的に、デジタル知見等のリスキル・リマインドを目的としたキャリア開発支援策を拡充していきます。

三井住友銀行における人材育成方針
三井住友銀行は中期経営計画において、育成に携わるあらゆる場面における長期的戦略として、「人材育成ビジョン」を制定しました。従業員一人ひとりの挑戦を後押しするため、人事部主導の人材育成スタイルから、現場主導で従業員が自律的に成長していく育成スタイルへ転換しつつ、評価の透明性を高め、年次を問わず、貢献した従業員がより評価されるための環境整備を進めています。
人材育成ビジョン

人材育成戦略
貢献評価制度について
  • ・透明性・納得性のある手法で、会社または他の従業員への貢献度合いを評価し、メリハリある処遇を実現する制度
  • ・自らの所属する部署・グループに対する貢献に留まらず、グループ全体および他の従業員に対する「貢献」全てを評価
実力評価制度について
実力評価制度について
  • ・貢献として顕在化する「行動特性(コンピテンシー)」と本人特有の「行動源泉(エネルギー)」を通して、総合的に評価する制度
  • ・部店長の評価のみでなく、人事部員による面接や研修等を通じ、多面的評価情報の収集を図り、実力評価に反映
実力評価制度について
OJTを主体とした職場における経験学習サイクルの加速化

若手従業員に対しては、先輩従業員による指導体制(アンカー制度)や、徹底的な自己理解と基本行動・基礎知識を習得し、適切な競争意識を醸成する育成体系を導入しています。
また、職場ごとのエンゲージメントを「見える化」するツール(wevox)の導入や、1on1ミーティングの全行展開等、OJTを主体とした職場における経験学習サイクルを加速化する取組を推進しています。

人材育成ビジョン
マネジメント層に向けた取組

従業員の価値観の変化や業務の専門化が進み、働き方をめぐる意識・環境が大きく変化していることから、マネジメントの難易度は年々増し、上記「職場における経験学習サイクルの強化」においても、その役割は益々大きくなっています。このような環境に合わせ、新任管理職に対し、役割期待やマネジメントの重要性、また人材育成のポイントやダイバーシティ&インクルージョンの推進意義等を伝える新任研修を職位別に実施するほか、全管理職のサポートとして、マネジメント力強化に向けた取り組みを実施しています。

マネジメントに求められるスキルは科学的に研究が進み、体系化されていることから、外部の知見を最大限に活用した、アンコンシャス・バイアス研修をはじめとするマネジメントスキル研修を導入しています。また、管理職の評価要素の一つに、「ダイバーシティ(多様な価値観を持った部下やメンバーの違いを活かし、新たな価値を創造する行動)」を盛り込むほか、年に一度、部下や同僚からの多面評価(SMBCマネジメントレビュー)や上司との面談を通じて、多角的に自身のマネジメントスタイルを自省し、適切に課題設定を行い必要なスキルを自ら開発するサイクルを回しています。

加えて、定期的に人事部や他の管理職層とのコミュニケーションの場を設けることで、銀行全体の課題意識の理解や好事例の共有を通じたマネジメントスキルの底上げにもつなげています。

マネジメント層に向けた取組

Off JTの充実

若手を早期戦力化し、OJTによる育成効果を高めるための充実した基礎教育プログラム、管理職層を含む長期的なキャリアを展望するための階層別研修、経営を担うリーダー層に向けたリーダーシップ研修に加え、デジタル素養・知識の涵養、与信・外為などの専門知識の強化等、テーマ別の研修プログラムも提供しています。リーダーシップ研修においては、東京大学、米国University of Pennsylvania, the Wharton School 等外部の専門機関と共同開発した高度なプログラムを導入しています。

経営リーダーを担う幹部候補者については、上記選抜研修や異動によるタフな業務アサイメント等を通じて計画的な育成につなげています。

自律的なキャリア支援
自律的なキャリアデザインを支援する仕組として、SMBCグループ各社の部署・業務内容を学ぶ「SMBCジョブフォーラム」を毎年開催し、年2回の公募(研修/ジョブ/ポスト)を実施しています。2020年度の応募者数は、前年比1.5倍の429名となり、合格者数も152名(35.4%)まで増加し、自らの手で希望のキャリアを切り拓く従業員が着実に増えています。また、職種や階層を超えたキャリアアップを志向する従業員に対して、具体的な業務や働く環境を体験してもらうトライアル職種・階層転換制度を整備し、100名近い従業員がチャレンジしました。自発的な学びの意欲を持った従業員に対しては、国内外の大学院や外部教育機関への公募派遣、大学院等への通学を目的とした休職制度(利用者60名)、働き続けながら自己啓発に取り組んでもらう費用補助制度を導入しています。 

こうしたキャリア支援に加えて、三井住友銀行では、業務の多様化を背景とした高度なスキルや豊富な経験の必要性、および、従業員の専門性指向の高まりを受けて、当該分野における業務経験5年以上の高い専門性を有する従業員に対して、キャリア保証と専門性レベルに応じた手当支給を行う「エキスパート制度」を導入しています(認定領域は30分野、375名を認定)。

<公募制度>

研修
エントリー
キャリア形成に必要な各種研修プログラムへ公募する制度
ジョブ
エントリー
自律的なキャリア開発にチャレンジできるよう、希望するジョブ(職務)へ公募する制度
ポスト
エントリー
意欲と能力ある人材にマネジメントポスト(部店長、課長など)にチャレンジする機会を提供するための公募制度
(2) 組織風土

従業員のエンゲージメント向上には、自発的に挑戦できる、しようと思える、「心理的安全性」が土台になると位置付けており、自由な服装を認めるドレスコードフリーや、呼称から役職を外す「肩書きフリー」等に取り組むほか、ヒト・組織がつながるきっかけとなるデジタルツールとして、社内SNSを導入しました。
 また、エンゲージメントサーベイ「wevox」の導入は、各組織が自律的に組織を改善する風土を醸成するためのものであり、グループベース・グローバルでの展開を進めています。三井住友銀行においては、エンゲージメントサーベイスコア70以上を維持することをKPIとし、KPIスコアを達成しています(2021年3月時点)。また、2021年3月に実施したグループ従業員サーベイでは、73%の従業員がSMBCグループで働くことに誇りを感じていると回答しています。

エンゲージメントサーベイ(WEVOX)

Column:社内SNS「ミドりば」

社内SNS(みどりの広場/通称:ミドりば)は、経営・組織と従業員、従業員同士等、さまざまな垣根を越えたコミュニケーションの活性化やイノベーションの創出を目的とし、2020年10月に三井住友銀行で導入しました(グループ各社にも順次展開予定)。具体的には、従業員「個人」が他の従業員や業務を「知る」、同じ志を持つ従業員と「つながる」、自身の考えを「発信する」、それらを可能にすることによって、自発的な社内コミュニティづくりや、各部署の情報発信強化によるキャリア意識の形成をサポートします。また、従業員がアイデアを自由に発信し、専門部署や経営がメンター・スポンサーとなることで、既存ビジネスの変革や有志の従業員による新規ビジネスの事業化につなげます。すでに2万人以上の従業員が利用を開始しており、ナレッジシェアやアイデアに関する相談等、月に数千件のやり取りが行われています。

ミドりば