DXへの取組
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デザインの力で、「最も選ばれる金融グループ」へ

三井住友銀行の個人のお客さま向けサービスが、2021年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞した。グッドデザイン賞の受賞は、2019年に受賞した「三井住友銀行アプリ」に続いて2度目となり、今回は「ホームページ」、インターネットバンキング「SMBCダイレクト」、対面サービスの際に利用する端末「SMBCタブレット」、これらが一つに繋がって提供する顧客体験「いつだってすぐそばに、SMBC」での受賞となった。

デジタルとデザイン。一見すると繋がりがなさそうなこの2つの項目に、三井住友銀行が力を入れている背景について紹介する。

「お一人おひとりの専用支店」としてのデジタル接点

個人のお客さまと銀行との付き合い方は、テクノロジーの進歩、とりわけスマートフォンの急速な普及とライフスタイルの多様化により、急速に変化している。さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響により、変化はさらに加速している状況にある。

このような状況下、三井住友銀行は、ホームページ・アプリ・インターネットバンキングなど、お客さまと銀行とのデジタルを通した接点のあり方について、あらためて検討を行い、これらを「お一人おひとりの専用支店」と再定義している。

ホームページは、デジタル上の玄関と考え、実店舗のロビーと同じようにトップページでお客さまのご要望をアンケート形式で確認し、お求めの情報に簡単にアクセスできるよう改善した。また、ホームページ上のほぼ全ページにあたる約1,500ページの情報設計を見直し、分かりやすさを徹底追求している。アプリはWeb通帳をレベルアップさせ、データ保存期間を30年に大幅拡充するとともにメモ機能を追加。お客さまの大切なイベント・思い出が記録できるデータバンクへと進化した。

メガバンク初、24時間365日のサービス提供

インターネットバンキング(SMBCダイレクト)は、専用支店としての使い勝手にこだわり、日曜夜間のシステム停止を廃止。2021年11月からは残高照会や振込が24時間365日、受付可能になった。インターネットバンキングで実現する24時間365日のサービス提供は、メガバンクとして初となる。

加えて、本年中にこれまで店頭でしか受付できなかった名義変更や口座解約等の複雑な事務手続きも、SMBCダイレクト上で対応可能となり、日常的な取引はほとんどすべてデジタルで行えるようになる。現在、インターネットバンキングは約800万人のお客さまが利用しており、今後も、より多くの人の「専用支店」となることで、お客さまの日常生活に寄り添っていきたいと考えている。

すべてのお客さまに寄り添うため「デザイン」に注力

一方で、「ITのことはよくわからない」「使い方がわからないから怖い」といった声が聞かれることも多い。「怖い」という声の中には「デジタルの世界は無機質であたたかみがない」という印象も含まれているのかもしれない。

新たなテクノロジーやデジタル化に抵抗感がある方などすべてのお客さまに寄り添うため、近年、力を入れているのが「デザイン」である。

三井住友銀行では2016年から、リテールIT戦略部にデザインチームを設けている。インハウスのデザイナーチームが中心となり、分かりやすい・使いやすいサービスの訴求、無機質な印象を和らげる手段として「UI(ユーザインターフェース)/UX(ユーザー体験)」の追求に力を入れている。

また、UXに関するリサーチチームを組成し、インターネットでの調査に加え、お客さまの生の意見をうかがうインタビューを実施し、さまざまな声を積極的に採り入れる活動にも力を入れている。

さらにデザイナーだけでなく、ビジネスサイドを担当する行員とも意見を交わし合い、お客さま中心のDX(デジタルトランスフォーメーション)実現に向けて改善を重ねている。

対面でのコミュニケーションを強化する、タブレット端末

お客さまと銀行の日常接点にデジタルが使われることが多くなるにつれ、店舗のあり方も変わってくる。店舗は、お客さまと直接コミュニケーションをとれる貴重な時間であるため、その時間をより有意義に活用できるよう、接客の際に使用するタブレット端末(SMBCタブレット)もリニューアルした。事務手続きにかかる時間を削減しただけでなく、タブレットを「コミュニケーション強化ツール」として再定義し、スムーズにコミュニケーションが進められるよう、UI/UXおよび機能を刷新した。また、システムをインターネットバンキングと共通化することで、対面と非対面のシームレスな体験を提供している。

「日常は使い勝手よく、困ったときには一番頼りになる銀行」へ

三井住友銀行が実現したいのは、時間や場所を問わず「お一人おひとりの専用支店」としてのサービスを提供するデジタルツールと、店舗でのお客さまとの対面でのコミュニケーションをかけ合わせることで、あらゆるお客さまのニーズに合わせたサービス提供を実現することである。これこそが三井住友銀行が考える「ファイナンシャルインクルージョン(金融包摂)」の1つのカタチであると考えている。

あらゆるお客さまのニーズに合わせるためには、徹底的にお客さまを知り、共感する必要がある。だからこそ三井住友銀行にはユーザー視点で物事を考える専門家(デザイナー)がいる。そして、お客さまにとって価値のある顧客体験を描き、それを実現するための体制を整え、様々なサービスを作り続けてきた結果が、2021年度のグッドデザイン賞に繋がった。それはあらゆるお客さまの日常生活に寄り添おうとする三井住友銀行の世界観が、社会からも一定の評価を受けたと考えている。

三井住友銀行は、今後、ますます多様化するお客さまのニーズに応じ、場所や時間、手段を問わず、シームレスな顧客体験をデジタルとデザインを活用して提供し続け、「日常は使い勝手よく、困ったときには一番頼りになる銀行」を目指していく。

UI/UX
(User Interface/User Experience)

類義語:

UIとはユーザーインターフェイスのことで、Webサービスやアプリケーションなどにおいてユーザーの目にふれるすべてのものを指し、UXとはユーザーエクスペリエンスのことで、ユーザーが商品やサービスを通じて得られる体験のこと。

DX
(Digital Transformation)

類義語:

  • デジタルトランスフォーメーション

「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の頭文字をとった言葉。「Digital」は「デジタル」、「Transformation」は「変容」という意味で、簡単に言えば「デジタル技術を用いることによる、生活やビジネスの変容」のことを指す。