デジタル時代の銀行店舗のあり方。SMBCの「次世代型店舗」戦略。

満足度向上とコスト削減を同時に実現する「次世代型店舗」

三井住友銀行は店舗改革のコンセプトとして、「お客さまへのサービス提供の仕方を変える」「事務プロセスを変える」「店舗の在り方を変える」の3つを掲げている。
具体的な取り組みとして、店頭に来店したお客さまがタブレットやATMでの手続きが可能であれば、窓口でお待たせすることなく、利便性の高いスマホアプリやATMでの手続きをご案内する。

窓口での手続きにおいても、店頭での待ち時間を減らす施策として、お客さまの順番が近くなるとスマホに通知を送る「お呼び出しサービス」を実施するほか、納税などにも対応可能な高機能ATMにより、お客さまご自身で対応が可能な手続きを増やしている。
さらにタブレットを有効に活用し、伝票のないペーパーレス・印鑑レスでスムーズな取引ができるようにしているため、これまで窓口後方で処理していた事務手続きを事務センターに集中させることが可能となった。

こうした取り組みにより、かつては店舗によって大きなスペースを割いていた銀行員の事務スペースを縮小することができ、お客さまスペースを従来の1/3から2/3に拡大することができるようになった。そのため店舗は、資産形成・資産運用等の相談で来店したお客さまに対し、ゆったりとご利用いただける場へと変化している。

また、2020年度以降は、全店一律でサービスを提供してきた店舗機能を見直し、個人のお客さまのご相談に特化した「個人専用店舗」と、従来通りすべてのサービスを提供する「フルサービス店舗」に分けた。

多様な店舗戦略の取組み

さらに地域性・マーケットの特色などに応じ、様々なタイプの次世代型店舗を展開している。

店頭でお客さまをお待たせすることがないよう、あらかじめインターネットや電話で予約したお客さまだけがご利用できる完全予約制の店舗も新設した。シンボル店の麻布十番店は、落ち着いたデザインとお客さまにゆったりとご利用いただける空間を兼ね備え、お客さまの資産形成・資産運用等のご相談ニーズにお応えしている。現在では麻布十番店だけでなく、全店に予約システムが導入され、利用することも可能だ。

「グループ共同店舗」は、SMBCグループ各社の店舗を同一拠点に集約し、ロビーや応接スペースを共用するタイプの店舗である。グループ全体でのスペースマネジメントの効率化を進めるとともに、店舗ネットワークの適正化を実現させた。この店舗形態には、お客さまの多様化するニーズに対し、銀行・証券・信託のサービスをワンストップでご提供できるメリットがある。現在、赤坂支店・新宿支店には、三井住友銀行とSMBC日興証券、プレスティアが入居しており、すでに30以上の店舗で実現している。

さらに昨今、現金を使わないシーンが増加していることを踏まえ、キャッシュレス店舗を出店した。一号店は東京・汐留で、そのほか東京・大手町、大阪・梅田と都心のオフィス街に3店舗を出店している。

お客さまの人生に寄り添うコンサルティングスペースへ

お客さまと銀行との日常の接点はデジタルが中心になっていく。店舗をこれまで以上にお客さまが気軽に相談できる「場」にしていくべく、例えば、ネットで名義変更の手続きを予約された方に、来店前にお忘れものが無いか確認の電話をしたり、お客さま情報をもとにニーズを想定して事前準備を行い、来店の際には手続きだけでなく、ご提案もさせていただくなど、デジタル時代ならではの店舗のあり方、お客さまと銀行員の繋がり方をより一層追求していく。
今後店舗はより一層、事務受付の場から、結婚・退職・相続など、お客さまの人生に寄り添うコンサルティングスペースになっていく。コロナ禍を経て、お客さまの行動やニーズが変化するなかで、日常の接点であるデジタルチャネルはもちろんのこと、きめ細やかな対面でのコンサルティングサービスを提供することで、人生100年時代を迎える中で変化するお客さまの多様なニーズに応えていく。