DXへの取組
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2022年、日本初のセキュリティトークン取引所創設を視野に。大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)設立。

株式会社三井住友フィナンシャルグループは2021年4月1日、流通・換金機会の整備による投資家の利便性向上と企業の柔軟な資金調達支援を目的に、株式とセキュリティトークン(ST、金融商品取引法上の「電子記録移転有価証券表示権利等」)を扱う私設取引システム(PTS)運営会社「大阪デジタルエクスチェンジ株式会社(以下「ODX」)」をSBIグループと新設した。

その後、2021年11月15日付で野村ホールディングス株式会社(以下「野村」)と株式会社大和証券グループ本社(以下「大和」)を加えた4社で、ODXの第三者割当増資を引受けることで合意。出資比率はSBIホールディングス100%子会社のSBI PTSホールディングスが70%、三井住友フィナンシャルグループが20%、野村が5%、大和が5%となった。野村・大和の資本参加により、証券業界への影響力を一層強化させる。

ODXの将来展望

ODXは2022年春を目処にまずは上場株式を取扱い、その後セキュリティトークンの取扱いを開始する予定だ。2021年度中に態勢整備を進め、金融庁に対し第一種金融商品取引業者登録、PTS業務の認可申請を行うことで、2022年春の開業(普通株取扱い)を目指す。組織化されたセカンダリー・マーケットを整備することにより、適正な価格形成や流動性の向上などが見込まれ、セキュリティトークンが投資家にとってより身近なものとなり得え、また活発なセキュリティトークンのセカンダリー・マーケットを創設することにより、プライマリー・マーケットの活性化を促し、より利便性の高い新たな資本市場の形成を目指していく。

同社代表取締役 朏 仁雄氏は、「日本で長らく続く東京証券取引所の一極集中に対し、ここ数年、投資家の最良執行に対する意識の高まりもあり、株式PTSでの取引が増えている。日本の証券市場の拡大に寄与すべく、株式PTS市場の運営に新規参入すること、その先に日本の投資の裾野を拡げるべく、ブロックチェーン技術を活用した新しい資金調達・運用手法であるセキュリティトークンの日本初の取引所創設を見据えている。株式とセキュリティトークンの取引を両輪として、新しい技術により金融市場を拡大していく」と話している。

大阪デジタルエクスチェンジ 代表取締役 朏 仁雄氏

セキュリティトークンとは

ブロックチェーン等の電子的手段を用いて発行する有価証券を指し、金融商品取引法上の電子記録移転有価証券表示権利等に位置付けられる。セキュリティトークンを活用した資金調達手法STO(SecurityTokenOffering)により、既にケネディクスグループによる日本初の公募商品の発行となった不動産を裏付けとしたアセットファイナンスやベンチャー企業のプロジェクトファイナンスによる資金調達機会の広がり等、幅広い投資家ニーズに沿った投資機会が広がると見込まれている。

PTSとは

取引所を介さずに有価証券を売買できる電子取引システムのことで、金融商品取引所の代替市場と位置づけられる。取引所と比べて取引時間が長く、小さな呼び値単位で取引可能という特徴があり、顧客が取引所よりも有利な価格を享受できる可能性がある。日本では現状SBIグループのジャパンネクスト証券と外資系のチャイエックス・ジャパンの2社が運営している。

PTSがもたらすセキュリティトークンの流動性向上はSTOの活性化に寄与し、セキュリティトークン市場の拡大に貢献すると考えられている。

STO
(Security Token Offering)

類義語:

有価証券の価値をデジタル化したもので、デジタル有価証券として発行することで新たな資金調達を行う手法。

トークン
(Token)

類義語:

直訳すると「しるし」「象徴」という意味で、仮想通貨におけるデジタルコイン/キャッシュレス決済における認証デバイスのこと。

ブロックチェーン
(Blockchain)

類義語:

  • 分散型台帳

情報を記録するデータベース技術の一種で、ブロックと呼ばれる単位でデータを管理し、それを鎖(チェーン)のように連結してデータを保管する技術を指す。同じデータを複数の場所に分散して管理するため、分散型台帳とも呼ばれる。