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1万4千社超の企業が活用。あらゆる企業をつなぎ、ビジネスのサステナブルな循環を実現する「ビズクリエイト」

2019年4月に三井住友銀行が立ち上げた「Biz-Create(以下、ビズクリエイト)」は、業種や事業規模、地域を問わずオンライン上であらゆる企業と企業をつなぐビジネスマッチングのプラットフォーム。メーカーから小売、卸、情報通信サービス、企業以外にも自治体や学校法人に研究機関まで、実に多様なニーズが掲載されています。

現在、14,000社を超える企業が活用しているビズクリエイトは、どのようなきっかけで誕生したのか? 商談の場がオンラインに移ることでビジネスはどう変わるのか?
三井住友銀行 法人戦略部の高瀬 優梨江氏にビズクリエイトの目指す先についてうかがいます。

ビジネスマッチングのデファクトスタンダードを目指して

ビズクリエイト誕生の背景を教えてください。

当行はこれまでも、金融サービスだけでなくリアルで銀行員が間に入ってお客さま同士をおつなぎする手伝いをしてきました。ビジネスマッチングを手がけることはお客さまのニーズや商流を知る機会になりますし、場合によってはお客さまがまだ気づいていない経営課題を発見することもできます。

ただ、お客さまのニーズが高度化・多様化する時代において、マッチングもデジタルシフトしていく必要があると考え、2019年にビズクリエイトを立ち上げました。もちろん、これまでお手伝いしてきたリアルなマッチングは継続をしていますが、銀行員に対応を依頼するほどではないケースや、お客さま自身でビジネスニーズを発信したい場合にはビズクリエイトを選択肢の一つとしてご活用いただければと思います。

あらためてビズクリエイトがどのようなサービスなのか、教えていただけますか。

ビズクリエイトはオンラインでお客さま同士がダイレクトにつながることができるプラットフォーム型ビジネスマッチングサービスです。サイト上ではビジネスニーズの自由な発信・閲覧が可能で、お客さま同士のチャットによるコミュニケーションもできます。立ち上げ当初は想定していませんでしたが、新型コロナウイルスの影響でオンラインのマッチングサイトへの関心は高まっていると感じており、月間の新規商談件数が1,000件を超える状況が続いています。お客さま同士のマッチングの成約数について残念ながらすべてを集計できているわけではありませんが、少なくとも累計で2,000件を超える成約のご報告をいただいております。

システム面をNECが手がけているとのことですが、共同運営のきっかけは?

ビズクリエイトの立ち上げを検討していたとき、いろいろな事業会社様とお話の場を設けてきましたが、そこでNEC様はもともと地域の垣根を超えたビジネスマッチングを推進したいというコンセプトをお持ちだったことを知りました。私たちの思想ともリンクしていますので、ビズクリエイトで実現したいこともスムーズにご理解いただけました。

実際のプロジェクト推進にあたっては、今まで蓄積してきたリアルでのビジネスマッチングのデータやノウハウを、いかにデジタルに繋げていくかがポイントでした。思想を共有でき、デジタルとAIの技術力を持っているNEC様と組むことで、お客さまにより良いサービス、「商談を生む」マッチングサイトを提供できるだろうと実感できたのでタッグを組ませていただいた次第です。

※参考:NEC デジタルファイナンスURL

他のマッチングサービスと比べてビズクリエイトが優れている点を教えてください。

ビズクリエイトの特徴は三つあります。現在、14,000社を超える事業者様にご利用いただいていますが、その約4割が年商100億円を超える大企業です。新たな仕入れ先を開拓したい、協業パートナーを見つけたいといったニーズをお持ちの大企業に多数ご登録いただいております。それが差別化ポイントの一つと考えています。最近では大企業以外にもベンチャー企業に自治体や学校法人、研究機関、行政機関といった方々のご利用も増えてきました。業種も規模もさまざまで、全方位的に多くの方にご利用いただいています。

二つ目は銀行ならではの安心感です。ビズクリエイトを利用登録できるのは弊行か三十三銀行様に口座をお持ちの事業者様です。そして、三つ目は基本サービスが無料という点です。月額利用料の発生するマッチングプラットフォームもありますが、私たちとしてはまずは多くの方にサービスを使っていただいて、お客さまの声を聞きながら、機能をレベルアップし、とにかく質の高いサービスにしてきたいという思いがあります。まずは無料で使えるビズクリエイトを知って活用いただいた上で、より商談を効率化させたいとか、より手厚いサポートを銀行員にお願いしたいというお客さまには別途有料のプランも用意しています。

まずは裾野を広げるため無料で展開をして、より深くサービスを受けたい方は有料のプランもあるということですね。

「ビジネスマッチングといえばビズクリエイト」と言われるようなデファクトスタンダードを目指しています。

オンラインで広く発信することで、リアルでは出会えない多くのつながりを呼び込む

ビズクリエイトを運用するにあたって多くの企業担当者と会ってきたと思いますが、やはりどの業種も新規取引先の開拓は共通の悩みなのでしょうか?

皆さん共通した課題認識をお持ちだと思います。やはりコロナ禍で展示会そのものが開催されなかったり、対面での商談が難しくなったりしていますので。大企業、中小企業問わず、コロナ禍で本業に影響が出ているお客さまは新たなビジネスパートナーを積極的に探している傾向が強いです。これまではそういった自社のニーズを発信する場所が限られていましたし、その場所に出向く必要がありました。また、発信する場があったとしても同業種の目には留まるけど、他業種の目にはなかなか届きませんでした。ビズクリエイトが拡大していくにつれて、「ビズクリエイトにニーズを登録することで、想定していないような出会いがあった」というお声をとても多くいただきました。

成約率が数%の電話営業と比較して、ビズクリエイトはどの程度効率化が図れるのでしょうか?

これはビズクリエイトのWebサイトにも掲載しましたが、例えば、あるお客さまからご報告いただいた事例として自社の電話による営業活動の成約率が0.5%だったのに対して、ビズクリエイトにニーズを掲載したところ、8件の商談のお申し込みがありました。おおよそ1,500件の電話営業と同程度の価値があったということです。こういったお声は他のお客さまからも多くいただいていまして、出張費をかけて遠方に出向きホテルに数日滞在して帰ってくる従来の商談に比べたら、コストパフォーマンスは非常に優れているといえます。また、ビズクリエイトは役職者の方の利用率が高いので、商談のスピードが早いという声もいただいています。

これまでは「銀行員にこんなお願いをしても大丈夫かな?」といった精神的なハードルを感じているお客さまもいらっしゃいました。そして人が間に入ることで商談のスピード自体が落ちてしまうデメリットもありました。それをデジタルに置き替え、お客さま同士が自由にやり取りできる環境を整備したことで、ビジネスチャンスを逃すことなく商談いただけるようになり、結果として順調に商談件数を伸ばしてきていると考えています。

これまでに実現した印象的なビジネスマッチングについて教えてください。

ビズクリエイトをご利用いただく多くのお客さまから「商談効率がよく、コストパフォーマンスに優れている」とか「今までは接点が持てなかった企業と出会うことができた」といったお声をいただいています。

ビズクリエイトでは、自社の商品やサービスを売りたい、買いたい、といったニーズをきっかけとする商談の他にも、業務提携に至った事例等もございます。
例えば、住宅メーカーのヤマダホームズ様と、ボディーケアカンパニーのファイテン様の事例です。ヤマダホームズ様は、昨今、『未来の家づくり』というテーマで、協業パートナーやアイデアを広く募集されています。ヤマダホームズ様が発信する「住宅業務での新規事業パートナー募集」というニーズを、ファイテン様が検索し、「健康」というテーマで連携できないかと、商談がスタートしました。結果として、両社は「健康寿命の家づくり」において業務提携を行うというプレスリリースを出されています。ビズクリエイト上で出会われ、新しいビジネスに繋がった、印象的なビジネスマッチングの1つです。

また、今年の3月に、提携している三十三銀行様といっしょにオンライン商談会を実施しましたが、そこに参加されたマルスフードショップ様は愛知県の知多・三河エリアに出店されているスーパーで、仕入れ先を全国に拡大したいというニーズをお持ちでした。商談会を開催した3日間で30社ほどから商談エントリーがあったようで、地元ではつながれないような企業と知り合うことができて「今後につながる出会いになった」と喜んでいただけました。

これまでは、展示会に出展するとその場で名刺交換だけで終わってしまうケースも多々ありました。ビズクリエイトならあらかじめ相手のニーズがわかっているので、情報のミスマッチが少なくてスムーズに取引できたという声も多くいただいています。商談についても、先ほど申し上げたとおり役職を持たれている方がされるので意思決定のスピードが早いというのも強みです。今回のオンライン商談会には100社超の事業者様がエントリーいただき、非常に活況でした。

金融機関同士の垣根を越えた連携で、日本の産業の底上げを

2020年の11月から三重県の三十三銀行と連携をしていますが、このきっかけを教えてください。

弊行は全国のお客さまとお取引をいただいていますが、マザーマーケットは首都圏・近畿圏が中心になります。弊行は、三重県に拠点がないことから、ビズクリエイトで連携をすることで、双方のお客さまにとって、情報やネットワークが拡がり、ビジネスチャンスが増えるだろうと、同じ思いを共有できたことが、連携のきっかけでした。三十三銀行様をはじめとする地方銀行様とタッグを組んで、日本全国のビジネスを盛り上げていきたいと考えています。

他の地方銀行とも連携する予定はあるのでしょうか?

金融機関や地域の垣根を超えて日本全国のビジネスを盛り上げていきたい、その思いに賛同いただける地域金融機関の皆さまとビズクリエイトの仲間の輪を拡げていきたいと考えています。大企業と中小企業、都市と地方、地方と地方などこれまで接点がなかったプレイヤーをシームレスにつなぐことで、単に一つの企業の売上が伸びるだけでなく、そこから設備や雇用への投資意欲が生まれます。雇用が生まれればコミュニティが誕生し、地域がブランディングされ、さらなる地域への投資につながると考えています。

ビジネスのサステナブルな循環を、金融以外でも支えることが私たちのミッションだと考えています。これはどの金融機関も同じ考えかと思いますが、現状はそれを実現するための手段がありません。手段を確立するにはコストも労力もかかりますが、ビズクリエイトなら既存のプラットフォームなのですぐに活用できます。

サステナブルな循環を実現するためには、三井住友銀行単独では足りないピースが多くあります。地元に根ざした地域の金融機関様でしか知り得ない情報はたくさんあると考えており、金融機関同士が垣根を越える必要があると感じています。これはお客さまの課題を解決するだけでなく、金融機関にとってもビジネスチャンスです。なぜなら、デジタルで得たデータやつながりをリアルの営業にも活かせるからです。日本の産業を盛り上げたいという思いに賛同いただける方には、ぜひビズクリエイトに参加してほしいと思います。

では、今後の展望について教えてください。

多くのお客さまにビズクリエイトをご活用いただくためには、「ビズクリエイトならこんなことができるのか」といった新鮮味がある、気付きになるようなサービスであることが不可欠だと考えています。我々はビズクリエイトがお客さまにとって「なくてはならないサービス」になることを目指しています。お客さまのニーズは、今後ますます多様化していくでしょう。その中で、金融ソリューションだけでは解決できない課題を、お客さま同士の出会いを創ることでサポートしていきたいです。NEC様、三十三銀行様をはじめとするチームの皆様と連携しながら、今後もビズクリエイトを拡大していきます。大いなる可能性を秘めたビズクリエイトにご期待ください!

PROFILE
※所属および肩書きは取材当時のものです。
  • 三井住友銀行 法人戦略部

    高瀬 優梨江氏

    2009年 東海大学教養学部卒、三井住友銀行入行。法人営業部の業務経験を経て18年4月から現職。法人のお客さまに提供するビジネスマッチングサービスの企画に従事。

この記事でご紹介したサービス
プラットフォーム
(Platform)

類義語:

サービスやシステム、ソフトウェアを提供・カスタマイズ・運営するために必要な「共通の土台(基盤)となる標準環境」を指す。