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資産の診断から家族間の見守りまで。「おかね」「健康」「生活」における将来のリスクに備えるアプリ「ファミリーネットワークサービス」

人生100年時代を迎え、100年という長い年月をより充実したものにするために、「おかね」「健康」「生活」を、長寿を前提として考え直す必要が生じています。そのような中、SMBCグループでは、金融だけでなく非金融サービスも含めて、人生100年時代を生きるお客さまをサポートするいくつかのサービスを提供しています。

そのうちの一つが、2022年4月に設立したSMBCファミリーワークス(三井住友銀行100%子会社)より2022年8月22日にリリースされたスマートフォンアプリ「ファミリーネットワークサービス」です。

このアプリは、「おかね」「健康」「生活」の3つの観点でリスクを“見える化”し、家族間の不安解消につなげます。利用者と家族間のコミュニケーションを通じて、具体的に将来の「備え」を検討できるサービスです。

今回は、アプリの具体的な機能と誕生の背景、今後の展望について、SMBCファミリーワークスの代表取締役社長 横川花野氏に聞きました。

家族間のつながりを維持し、人生100年時代におけるさまざまなリスクを解決

今回リリースをしたスマートフォン向けアプリ「ファミリー ネットワーク サービス」の概要について教えてください。

人生100年時代における不安要素として挙げられることの多い「おかね」「健康」「生活」の3つの観点でリスクを“見える化”し、共有することで家族間の不安を解消につなげるスマートフォンアプリです。

具体的には、資産シミュレーションや高齢のご家族の見守り、日々の体調管理の記録やトーク機能で家族間のコミュニケーションができるほか、アプリ内で将来のリスクに備えた情報提供もしています。

「おかね」では、資産シミュレーションや請求できそうな保険の検索をすることができます。「健康」は血圧や歩数などを記録でき、健康に関する指標の推移が確認できるだけでなく、家族間で共有もできます。「生活」ではGPS機能で家族の居場所が把握できます。開発にあたって取得したアンケートでは、認知症のご家族がどこかに行ってしまわないか不安だというお客さまからの声を多くいただいていましたので、スマートフォンのGPSから居場所を共有できるようになっています。

SMBCファミリーワークス 代表取締役社長 横川花野氏

普段の居場所はもちろん、災害時に家族がどこにいるのかわかるのは心強いですよね。

そうですね。普段使いはもちろん、緊急時にも役立つサービスかと思います。高齢のご家族の居場所も一目でわかるので、非常にご好評いただいています。

プレミアムプランのサービス詳細を教えてください。

本サービスは、「ベーシックプラン」と「プレミアムプラン」の2つのプランを用意しています。これまでにご説明した資産シミュレーションや、健康に関する指標の推移の確認などの機能は、「ベーシックプラン」で利用できます。
「プレミアムプラン」では、ベーシックプランの機能に加え、24時間のオンライン健康医療相談や、離れて暮らす家族の緊急時アラートや駆付けサポートの機能をご利用いただけます。

家族全員で頻繁に使ってもらうために工夫した点を教えてください。

代表的なのはトーク機能ですね。メッセンジャーアプリのように、いつでも会話できるようになっています。そして当アプリ独自の機能が、家族に起こり得る将来のリスクなどを予知してくれる家族予報です。その予報をもとに、おかね、健康、生活などに関するお役立ち情報を提供しています。

ご高齢の方の中には、日常的に見守られることを負担に感じる方もいらっしゃいます。ファミリーネットワークサービスは決して「見守り」機能だけではなく、その名のとおり家族とつながるための機能を搭載しています。子どもの誕生日や運動会など、日々のイベントの情報はもちろん、家族予報で表示される情報など、家族間で共有できるようになっていますので、家族間のつながりを強めるツールとしてもお使いいただきたいですね。

情報の公開範囲は三段階で設定可能。家族間でもプライバシーを保護

情報の共有、公開する範囲は選択できるのでしょうか?

そうですね。事前のアンケートでは、家族といえども資産については知られたくないとか、居場所も細かく追跡されたくないというお声もいただきましたので、どの情報を誰にどの程度共有するかは、項目ごとに、三段階で公開範囲を調整することが可能です。「詳細公開」を選ぶと、登録した本人が閲覧できる情報と同等の詳細情報を公開します。「簡易公開」は具体的な数値や場所の詳細などは公開せず状態のみ公開されます。例えば居場所であれば、当人が外出中なのか在宅中なのかといった情報は公開します。「非公開」では情報を一切公開しません。ファミリーネットワークサービスはプライバシーに関わる情報を多く取り扱っていますので、公開範囲については事前にお客さまの声を取り入れて入念に打ち合わせを重ねました。

「詳細公開」で公開する情報とは、具体的にどのようなものでしょうか?

例えば「おかね」に関しては三井住友銀行が提供する「SMBC money plan」というマネープランをシミュレーションするための機能を導入しており、それによるシミュレーション結果の情報が公開されます。具体的には、将来の保有金融資産や、収入や支出の金額などの情報になります。そこまで見せたくない方は「簡易公開」にしていただければ、シミュレーションを行ったかどうかだけの情報が公開されます。もちろん「非公開」を選べば一切の情報は公開されません。

この三段階の公開範囲については、人ごとに設定ができます。自分の親には「詳細公開」、兄弟姉妹には「簡易公開」にすることも可能です。家族だからすべてのプライバシーを公開するのではなく、個人のプライバシーを守りつつ緩やかにつながる。オープンすぎる関係だと敬遠される方も出てきますので、緩やかなつながりというのは意識したところです。

家族の見守りアプリや、マネープランアプリなどは単独のサービスとして存在していますが、それらを結びつけたのがファミリーネットワークサービスの新しさですね。

現在は核家族化で家族の分散が進み、さらにコロナ禍で遠方の親とも会えない状況が続いています。そのような中でも、離れた家族を緩やかに見守りながら、日々のコミュニケーションを促進させて、将来のリスクに備えられるようなサービスができないかと考えたのが当アプリ開発のきっかけです。物理的に離れていても、スマートフォンアプリであれば、家族がつながりやすいということで、現在の形に落ち着きました。

こだわったのは、ご高齢の方でも見やすく使いやすいUI・UX

「おかね」「健康」「生活」という三本柱の中で、重視しているのはどれでしょうか?

人生100年時代においては「おかね」だけではお客さまの様々なニーズに応えることができないので、非金融の「健康」と「生活」という要素を加えています。どれか一つに絞るつもりはなく、それぞれのカテゴリの中身をバージョンアップしていく予定です。

ファミリーネットワークサービスは高齢者も使うため、デザインにはこだわったと聞いています。具体的にどのような点にこだわったのでしょうか?

高齢の方からお子さままで幅広い世代に使ってもらうために、デザイン、特にUIとUXにはこだわりました。字が小さかったらそれだけで高齢の方には使っていただけないので、フォントサイズは拡大する必要のないサイズにしています。タップミスを減らすため、ボタンサイズも通常のアプリよりも大きめになっています。あとは色使い、コントラストですね。文字が読みやすく目に優しいカラーリングを採用しています。

ファミリーネットワークサービスはどのくらいの年齢層のユーザーを想定していますか?

イメージとしては40代~60代の方と、70代~80代以上の方をメインユーザーに想定しています。今は70代でも、スマートフォンをお子さまのフォローを受けながら利用されているお客さまが多いですが、今後多くのシニア層の方がスマートフォンを使いこなす時代が来ると思います。

では、今後の展望について教えてください。

アプリ内ではお客さまから直接、意見や要望を送っていただける機能を実装していますので、そういった声を取り入れながら、随時バージョンアップを図っていきます。さらに、ファミリーネットワークサービスをより多くの世代に使っていただけるよう、親世代や子世代を想定している現在のアプリサービスを将来的には孫世代まで広げ、コンテンツの拡充を目指していきたいと考えております。私自身もユーザーとして日々利用する中でいろいろな発見や気付きがあるので、新機能については柔軟に検討していきます。

さらにSMBCグループでは、人生100年時代に対応したいくつかのサービスを提供していますので、今後はそれらのサービスとの連携も前向きに検討していきたいですね。

PROFILE
※所属および肩書きは取材当時のものです。
  • SMBCファミリーワークス 代表取締役社長

    横川 花野氏

    2009年 三井住友銀行に入行。
    支店で個人のお客さまの資産運用などの相談業務を経て、個人のお客さま向けの商品開発部署へ異動。約5年半商品企画に携わり、本店営業部のお客さま相談課長として、再び多くのお客さまと関わる支店業務に従事。
    2022年4月より現職。