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「人生100年時代」を非金融サービスでも支援。SMBCファミリーワークス社長が描く事業の未来とこれからの働き方

社会情勢の変化、デジタルの進展、そして人生100年時代。私たちはビジネス環境だけでなく、ライフスタイルも大きく変化している時代に生きています。そのような変化に合わせ、三井住友銀行では金融だけでなく非金融のサービスを提供するべく、いくつもの子会社を生み出しています。その中の一つが、2022年4月に誕生した「株式会社SMBCファミリーワークス」です。

人生100年時代の家族に起こるさまざまなリスクの解消を目的に開発されたアプリ「ファミリーネットワークサービス」を提供する、SMBCファミリーワークス。社長を務めるのは、デジタルサービスを主として提供する子会社で初の女性社長に抜擢された横川花野氏です。

現在進行形で子育てと社長業を両立している横川氏に、SMBCファミリーワークスが実現したい未来とこれからの時代の働き方について話を聞きました。

人生100年時代、「銀行」は何を提供できるのか

2022年4月に新しく誕生した、SMBCファミリーワークスの社長に就任されましたが、これまでのキャリアの中で「人生100年時代」におけるお客さまの不安を聞く機会や、それに対するサービスを検討する機会などはあったのでしょうか。

そうですね。まず少しだけ私の経歴をお話させていただきますと、2009年に三井住友銀行に入行し、支店で個人のお客さまの相談業務を経験したあと、個人のお客さま向けの資産運用や相続などの商品開発の部署に異動しました。そこで、さまざまな商品開発に携わる一方、金融という枠を超えお客さまのニーズに応える方針を検討する「人生100年時代プロジェクトチーム」に参加しました。

その後、管理職になり、再び支店でお客さまと接する業務に携わりました。支店で相続や介護にまつわるご相談をよく伺いましたね。そして2021年の10月から、現在のライフシフト・ソリューション部に配属され、2022年の4月からSMBCファミリーワークスの社長を務めています。

SMBCファミリーワークス 代表取締役社長 横川花野氏

「人生100年時代プロジェクトチーム」ではどのようなことをされていたのでしょうか?

「人生100年時代プロジェクトチーム」は、高齢化によるお客さまのライフスタイルの変化と課題に対して、金融だけでなく、非金融の分野でもお客さまのニーズに応えていくために、できることを議論すべく発足したチームです。

その中から生まれたのが「SMBCエルダープログラム(※1)」や「SMBCデジタルセーフティボックス(※2)」などのサービスです。日本が高齢化する中、これまでの金融サービスだけではなく、非金融のサービスも積極的に展開しています。

(※1)人生100年時代で多様化するお困りごとやご要望に、コンシェルジュを通じてお応えするサービス。
(※2)パスワードや金融取引などのデジタル情報から、もしものときに家族伝えたい情報をお預かりするサービス。

先ほどのお話の中で、「支店では相続や介護にまつわるご相談をよく伺いました」とありましたが、具体的には、どのような声に触れてきましたか?

ご自身やご家族の相続や介護についての「心配だけれども、どのように準備したらいいかわからない」という声を伺う機会が多かったです。

また、親世帯と子世帯が離れて暮らすケースが多く、家族間でその不安についてなかなか話す機会を設けられてないというお声もございました。コロナ禍がその不安を一層加速させたように思います。

多くの声援とともに踏み出す社長としての一歩

女性として初の子会社社長に抜擢されたわけですが、周囲からの反響はどんなものがありましたか?

周囲の方々から、温かいお言葉を頂戴しました。「身近で一緒に働いていた人が社長になるなんて本当に嬉しい」といった言葉をいただいて嬉しく思いました。頑張って仕事を続けていれば結果につながるということを若い世代の方に示せたのは良かったと感じています。

社長に就任すると知ったときの素直な感想を教えてください。

正直、最初は「社長業とはなにをするのか?」といった思いもありました。もちろん頑張ろうという気持ちはありましたが、本当に私でいいのかという不安もありましたね。でも、せっかく自分に任せてくれたのだから精一杯やってみようと決めました。

大事にしたのは、部下が悩みをいつでも相談できる環境

ご自身も就学前のお子さまがいらっしゃると聞いています。子育てと社長業を両立するにあたってコツはありますか? 家族からの反応や協力についても教えてください。

子育てと社長業の両立は自分だけではどうにもできません。やはり家族や職場の方の協力が不可欠です。夫や両親には、子どもの送迎を代わってもらったり、少し体調が悪いときは無理せずに育児を任せたりするときもあります。夫には、積極的に育児に参加してもらっていますが、それにおいては、夫の職場の皆様の理解があってこそだと思っております。私の職場の皆さんにもサポートいただいています。家族や職場の皆様の協力があって働けているので、常に感謝の気持ちを忘れないことは大事だと思っています。

SMBCグループでは、時差出勤や、都合に応じて在宅勤務に切り替えることができる柔軟な風土がありますので、社員が働きやすい環境はどんどん整ってきています。それでも、私一人だけではどうにもなりませんし、周りの協力があってこそ成り立っています。

管理職時代から、部下が働きやすい環境づくりはされてきたのでしょうか?

そうですね。子育てや介護をしている部下については、家庭の事情に配慮しながら対応していました。時間をとって一人ひとりと話し合う時間を設け、気になることがあればなんでも伝えてもらえるよう信頼関係を築いていきました。大切なのは「この人に話せばなんとかしてくれる」と思ってもらえる雰囲気づくりです。個人が抱えている不安や困りごとについて、上司である私に相談しやすい環境をつくることは非常に意識していました。

やはり人間、私生活でなにか問題を抱えていると、仕事もうまくいかなくなることが多いです。パフォーマンスを最大限に発揮するためには、いつでも悩みを相談できる環境が大切だと考えています。少しでも気になること、悩んでいることがあれば話してもらって解決に向けて行動する、それを意識していました。

部下からの悩み相談に対して、どのようなアドバイスを行ってきましたか?

子育ての悩みであれば私も経験があるのでアドバイスはできますが、やはり個人によって事情はさまざまですので、そこは自分のアドバイスを伝えるのではなく話を聞く姿勢でいました。その悩みが解決できるよう早めに帰宅を促したり、その後の様子を確認したり、話を聞くことを大切にしてきました。個人の悩みが大きくなってないかを確認することも管理職の大事な役割です。

誰もが子育てや介護をしながら、個人の裁量で働ける時代に

そういった三井住友銀行時代の経験が、今のSMBCファミリーワークスの環境にも活かされているということですね。

弊社でもスライド勤務や在宅勤務は個人の裁量に任せています。三井住友銀行では、産休・育休を取ったり、時短勤務をしたり、個人のスタイルに合わせて働く先輩がまわりにたくさんいるので、弊社でも、それが当たり前の風土として根付いています。

女性の管理職も珍しくはないですし、私は男女で能力が変わるとも思っていませんので、チャンスは至るところに転がっています。今後は今以上に女性の管理職、社長も増えていくでしょう。

ちなみに、子育ての経験は社長業のどんな面に応用できますか?

子育てと仕事を両立する上では限られた時間の中でパフォーマンスを出さなければいけません。それは、より速く最適な決断をすることが必要な社長の仕事も同じです。

また、子供の体調不良等、予期できない突発的な事態が発生しても、業務を支障なく遂行するためには常に先のことを考えて段取りする能力が欠かせないですね。子育てを経験することで、今日中に、今週中にこれは片付けておこうとか、常に先を見据えて行動する能力は磨かれたかもしれません(笑)。もう一つは子どもを通じて知り合うことのできた友人たちとのネットワークですね。普段、仕事では接することのない人たちの意見が聞けるので、これも私の財産になっています。

では最後にSMBCファミリーワークスが今後実現したいことや、理想とする働き方について教えてください。

まずは、リリースしたばかりのアプリ「ファミリーネットワークサービス」を、親世代子世代だけではなく、孫世代まで、三世代に渡って使っていただけるよう、随時バージョンアップやコンテンツの拡充、他サービスとの連携に尽力していきます。

また働き方については、子育ても介護も性別に囚われず、誰もがやりながら仕事を続ける。会社としてこうしなさいといった価値観を押しつけるものではないと思っています。個々の能力を最大限に発揮できる組織にする上で、個々人の生活のスタイルに合わせて、自由な働き方を実現していきます。

PROFILE
※所属および肩書きは取材当時のものです。
  • SMBCファミリーワークス 代表取締役社長

    横川 花野氏

    2009年 三井住友銀行に入行。
    支店で個人のお客さまの資産運用などの相談業務を経て、個人のお客さま向けの商品開発部署へ異動。
    約5年半商品企画に携わり、本店営業部のお客さま相談課長として、再び多くのお客さまと関わる支店業務に従事。
    2022年4月より現職。