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大学受験勉強をDXで刷新。SMBCデジタルマーケティングが駿台予備学校の新規事業「SUNDAI Diverse」を全面支援

創立100周年という長い歴史を経て、今も変わらず大学合格を目指す受験生を支援し続ける駿台予備学校。その駿台予備学校がDXにより、予備校および教育のあり方を変革しようとしています。新規事業の名称は「SUNDAI Diverse」。デジタルと教育を融合させた効率的な学習スタイルで大学受験を合格に導くこのサービスは、2023年4月より新潟の直営校で提供を開始し、その後、全国各地の塾への提供を予定しています。

事業のスタートにあたり、ロゴデザインや、企業のアイデンティティを言語化するタグラインなどのクリエイティブ面を全面的に手がけたのが株式会社SMBCデジタルマーケティングです。従来の銀行データを活用した広告ソリューションだけでなく、クリエイティブ面全般を手がけたのはどのような理由からなのでしょうか。駿台予備学校が考えるこれからの時代の教育のあり方とともに、デジタル時代だからこそ見直すべきマーケティング手法について、学校法人駿河台学園 駿台予備学校EdTech事業部の小澤 尚登氏とSMBCデジタルマーケティングのマーケティングディレクターを務める田中 直樹氏に伺いました。

ロゴ等のクリエイティブ部分を含め、マーケティングを全面的に支援

2023年4月から新潟でスタートする、デジタルを活用した新たな授業サービス「SUNDAI Diverse」の概要について教えてください。

小澤SUNDAI DiverseはICTを活用した大学受験用の学習サービスです。覚えることに重点を置くのではなく、思い出すことに重点を置いた脳科学的学習メソッド「リトリーバル・プラクティス(想起検索練習)」を取り入れております。インプットのための映像授業とアウトプットのためのテストをはじめ、学習の継続を支援するコーチング、進捗管理のための模擬試験、大学情報や受験情報の提供などを全てパッケージにしています。第一弾として直営の塾を新潟に開校し、全国各地の塾にサービスを提供していきます。

デジタルを活用したサービスとのことですが、主にデジタルはどのような面で活用しているのでしょうか?

小澤学習指導の大半がデジタル化されています。インプットの授業も映像授業で、アウトプットのテストや模擬試験もオンラインのスタイルです。コーチングも駿台予備学校が持つ受験ビッグデータを活用しながら、一人一人に合わせたデータ・コーチングを実現していきます。

今回の新事業にSMBCデジタルマーケティングはどのような形で関わっているのでしょうか。

田中当初は我々の銀行のビッグデータを活用して、新潟在住の受験を検討されている方々に情報をお届けするソリューションを考えていました。しかし、小澤さまとお話しをする中で、まずはターゲットとなるお客さまとのコミュニケーションの基礎設計をする必要を感じ、クリエイティブ部分のご提案をさせていただきました。具体的にはロゴとタグライン、ランディングページなどの支援をしました。

ちなみに銀行のビッグデータを活用すると、どこまでのターゲティングが可能なのでしょうか?

田中銀行口座をつくる際に本人確認を行うので、居住地の情報が分かります。経済状況やお子さまの年齢も銀行データから推定することができますので、その地域で受験を考えている世帯に向けた情報発信が可能となります。単なる個人の属性情報によるマーケティングとは異なる、銀行ならではの手法かと思います。

デジタルだけでなくアナログの施策にも長けたSMBCデジタルマーケティング

SMBCデジタルマーケティングのサービスを導入したきっかけはどこにあるのでしょうか?

小澤SMBCデジタルマーケティングさんはデジタルだけでなく、アナログのプロモーションも得意とされている点が大きかったですね。新潟は大都市圏と異なり、新聞の世帯購読率が6割以上となっています。保護者さまに対しては新聞の折り込みチラシや路上の看板なども広告として有効ですが、お子さまにはデジタルプロモーションも必要になってきます。

SMBCデジタルマーケティングさんであれば、それらアナログとデジタルの施策を両方ともお願いできます。さらにクオリティも非常に洗練されていて、とても心強く感じました。大都市のプロモーションとは異なる、地方にローカライズされたソリューションをワンストップでお願いできる点が他社と大きく異なっていました。

田中今回のように顕在化されていないターゲットに対して、効果的なクリエイティブやキャッチーなワードを制作し届けるという基礎的なソリューションの提供も可能であることは事前にご説明いたしました。そこからロゴとタグラインを明確にして、コミュニケーションに沿ったランディングページの設計を進めていきました。

世の中的にDXが主流になってきて、広告の世界でもデジタル広告が一般的になってきました。DXとは生活者と接するポイントがよりフォーカスされて、明確になるということです。デジタルでなにをするのか、オフラインでなにをするのかを考える前に、コミュニケーションの基礎設計を考えることは非常に重要なプロセスです。

今回、SMBCデジタルマーケティングのサービスを活用して得られた効果について教えてください。

小澤生徒さんの集客についてはこれから始まるので明確な効果は未知数ですが、コストの面で、初期段階のスモールスタートとしてはとても助かりました。相見積もりも取っていたのですが、金額的にもクオリティ的にも頭一つ、抜きん出ていましたのでご依頼することを決めました。

最初にロゴとタグライン、キービジュアルとランディングページの制作をお願いしました。この後はWebサイトの制作もお願いする予定でして、販促のツールや具体的な施策についてもご提案をいただいています。SUNDAI Diverseは新潟を皮切りに全国展開をする予定なので、その地域ごとにマッチしたご提案をいただければと思います。そこは大きく期待していますし、ご一緒することができて本当によかったと感じています。

田中小澤さんといろいろお話をする中で、我々としても駿台予備学校さまのコンセプトや理念を共有できたと考えています。ロゴやタグラインを制定するということは、企業としてのビジュアルアイデンティティを明確化することです。SUNDAI Diverseとしてお客さまにどのようなメッセージをお伝えしていくのか。駿台予備学校のステータスに合致した100点のご提案をすることはもちろん、それを超える120点のソリューションを引き続きご提案していければと思います。

人材難の教育業界を救うICT教育には、人の温もりが必要

今後、SMBCデジタルマーケティングからのどういった提案を期待していますか?

小澤まずは、日本における教育業界の現状についてお話しさせてください。教育とは世界共通で「国力を強くするもの」という認識があるかと思いますが、日本は公教育への公的支出が極端に低く、OECD加盟国の中でもワーストに近い数字です。日本には塾や予備校という独自の業態があり、「民間の教育産業が強いから、国はお金を出さないのでは?」といった意見もありますが、塾や予備校の市場規模は1兆円ほどで決して他産業に比べて大きい市場ではありません。

教育にお金を使わないことのしわ寄せは、現場で働く学校の先生方、塾や予備校の講師に来ています。以前はブラック企業といわれるような過酷な労働条件にあり、今でこそ緩和されてきてはいますが、本当に教育にやりがいを持った一部の人の気持ちに支えられている状況です。

教育に従事する人間が減ることで教育の質の低下を引き起こし、最後にはその提供自体がなくなってしまうかもしれません。そこで我々が解決手段として考えているのがICT教育の導入です。これにより、少ない人員でも多くの子どもたちに上質な教育を提供することが期待されています。

けれどもICT教育には一つ弱点があります。それは人間の介在がないと長く使われないということです。ですので、私どもが提供するICT教育のコンテンツは、あえて人が介在する余地を残しています。やはり、学習を継続させるには人の心や気持ちにアプローチする必要があるんです。気分が乗らないとジム通いが続かないのは、大人も同じかと思います。

駿台予備学校が目指すのは、温かみのあるICT教育です。SMBCデジタルマーケティングさんには、その思いをプロモーションとして多くの人に伝えていただきたいと考えています。

田中DX、デジタル化にしても最終的には人と人が接するわけですから、そこで人の心が動くか、気持ちが変わるかどうかがコミュニケーションの上では非常に大切です。今回はSUNDAI Diverseの対象となる親御さん、生徒さんに対して心が動くようなコミュニケーションの基礎設計が大事であり、そこを重点的にご支援いたしました。

「EdTech」ベンチャーとの連携で、海外展開も視野に

デジタルと教育を組み合わせた「EdTech」(エドテック)が注目されていますが、そういった方向も含めて今後の展望を教えてください。

小澤私は「EdTech」については、学習効果を向上させるために活用すべきだと考えています。今までと同じ時間でも「EdTech」であれば1.5倍、2倍の効果を出せる。ある程度の負荷をかけないと学力は向上しないと思いますので、学習時間を短縮するという観点よりは、いかにして学習効果を大きくするかが大事です。

すでに駿台予備学校では3年前から「EdTech」を導入していますが、通常の学習よりも模試の成績が1.5倍から2倍ほど向上している生徒もいます。また、いろいろな「EdTech」スタートアップとの連携も進んでいます。atama+(アタマプラス)さんとは模試の共同開発を実施していますし、記憶定着アプリを開発しているMonoxer(モノグサ)さん、コミュニケーションに強い業務管理システムComiru(コミル)を開発するPOPER(ポパー)さんとも既に連携しています。我々の知見を日本の隅々まで届けて、さらには海外展開も視野に入れています。

海外展開とは具体的にどちらの国でしょうか?

小澤まずはインドを考えています。日本では1学年の子どもがおおよそ80万人ですが、インドは1学年2500万人です。インドも日本と同じく、知識ではなく思考力を問うテストにシフトしつつありますし、テストもコンピュータを用いたCBT(Computer Based Testing)が普及しています。

駿台予備学校は理数系に強いという伝統があるので、我々が開発したAIやアダプティブラーニング(※1)をインドに広めていきたいと考えています。

(※1)個々人に最適化された学習を提供すること。

では、SMBCデジタルマーケティングさんの意見もお願いします。

田中SUNDAI Diverseの事業もこれから校舎や生徒を増やしていくフェーズに進むかと思いますが、我々としては各フェーズに沿った最適なソリューションを提供できるパートナーであり続けたいと考えています。SMBCグループの持っている広告ソリューションだけに限らない、ニュートラルな姿勢で課題感に沿った解決法をこれからもご提供していきます。

PROFILE
※所属および肩書きは取材当時のものです。
  • 学校法人 駿河台学園 駿台予備学校 EdTech事業部 部長

    小澤 尚登氏

    予備校界のリーディングカンパニー駿台において、中学受験、高校受験、大学受験、海外進学と、あらゆる分野の受験指導に関する事業開発を手掛けてきた。
    近年は「EdTech」という新たな手法をもって、国内外での事業拡大に挑戦している。

  • 株式会社SMBCデジタルマーケティング 広告・マーケティング事業部長

    田中 直樹氏

    事業会社での経験、CRMおよびダイレクト知見、データプライバシーのスキルを活かしたビジネスプロデュースを得意とする。
    現在は、SMBCデジタルマーケティング社にて広告・マーケティング事業をリード。

この記事でご紹介したサービス
DX
(Digital Transformation)

類義語:

  • デジタルトランスフォーメーション

「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の頭文字をとった言葉。「Digital」は「デジタル」、「Transformation」は「変容」という意味で、簡単に言えば「デジタル技術を用いることによる、生活やビジネスの変容」のことを指す。

ICT
(Information and Communication Technology)

類義語:

  • 情報通信技術

インターネットやパソコン・スマートフォンなどの情報伝達技術を使ってコミュニケーションできる技術を活用すること。

LP
(Landing Page)

類義語:

  • ランディングページ

検索結果や広告などを経由して訪問者が最初にアクセスするページのこと。