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アナログな決済業務からの脱却。決済・ファイナンス・リスクヘッジ機能を集約した法人Web決済サービス「iB-tle(アイビートル)」

B to Bにおける決済関連業務にもデジタル化の波が押し寄せ、新たな金融サービスが求められています。三井住友銀行では、決済関連の業務に関する課題を解決したい、企業間の決済もできる限り業務効率化をしたいというお客さまの声を受け、SMBCグループ各社が個別に提供してきた決済・ファイナンス・リスクヘッジ機能等を一つに集約した法人Web決済サービスを開発し、取扱いを開始しました。

そのサービスが、請求、リスクヘッジ、早期資金化、代金回収、入金突合まで、決済関連の業務をワンストップで可能にするオンラインサービスの「iB-tle(アイビートル)」です。

「iB-tle」とはどのようなサービスなのか、そして本リリース後に見据える展望とは。三井住友銀行 法人デジタルソリューション部の五十嵐健太郎氏、山田果菜子氏、太田佳樹氏、木村陽介氏の4名に聞きました。

決済・ファイナンス・債権管理。決済関連業務をオンラインで一元管理

「iB-tle」開発のきっかけを教えてください。

五十嵐日々多くのお客さまと接する中で、決済業務に対する課題を解決したいというお声を多くいただいていました。さらに、コロナ禍をきっかけに在宅でも経理業務を行えるようデジタル化したいというニーズが増えてきました。アナログの事務作業をすべてデジタルに置き換えることで、多くのお客さまの負担を減らすことができる。そう考えたことが開発のきっかけです。

「iB-tle」を活用することで、お客さまのどのような課題解決につながるのでしょうか?

五十嵐企業と企業が取引をする際にはさまざまな業務が発生します。企業Aが企業Bに商品を販売するときは、いくらまで取引額を増やしていいのかという与信管理に、販売後の請求、入金管理などの細かい業務があります。さらに、購入する側は元手がなければ銀行に借入を申し込む必要もあります。それらのプロセスを一元的に管理できるシステムが「iB-tle」です。

「iB-tle」を導入することで、これまで分断されていた業務が一気通貫で処理できるようになります。例えば請求書は紙で郵送して、代金回収のリスクヘッジはネット保証会社に申込み、入金管理はインターネットバンキングで入金状況を確認する企業があったとします。これだと各プロセスが分断されているので、非常に業務効率が悪いんですね。この一連の業務をオンライン上で可能にしたのが「iB-tle」です。

請求、代金回収、入金突合までが「iB-tle」上で完結

現在、一部のお客さまを対象に取扱いを開始しているそうですね。

山田2022年4月から開始したトライアル(無料体験版の利用)でいただいたお客さまの声をもとに製品の改良を続け、このたびサービスの取扱いを開始しました。早速複数社のお客さまに契約いただき、ご利用いただいています。

「iB-tle」を利用している企業の傾向を教えてください。

山田まず、毎月数多くの企業相手に請求業務があるサプライヤー企業が挙げられます。業種でいうと卸売業や運送業のお客さまが多いですね。もちろん、特定の業種に特化したサービスではないので幅広くご利用いただけます。サプライヤー企業のお取引先企業も、業種・企業規模問わずご利用いただけます。

すでに導入しているお客さまからはどのような声が届いていますか?

山田請求から代金回収、入金突合までを「iB-tle」上で、ワンストップに操作できるので「iB-tleを導入することで決済まわりの事務効率化につながった」「入金突合が楽になった」といった嬉しいお声を数多くいただいています。さらに「こういったサービスこそ銀行がつくるべき」というお声も届いています。

請求した金額どおりに代金を回収できる仕様も、サプライヤー企業の皆さまには大変ご好評いただいております。また、「iB-tle」ではサプライヤー企業側が請求金額のデータを作成するので、支払側、いわゆるバイヤー企業側が振込やでんさいのデータを作成する手間が省けます。その機能も非常に好評ですね。

確かに振込データの作成が何件もあると、けっこうな手間になりそうですね。

五十嵐そこも含めてすべてシステム化している大企業もありますが、やはり中堅・中小企業になるとその限りではありません。バイヤー企業側からすれば支払漏れは絶対に避けなくてはいけませんが、「iB-tle」では請求データの金額を確認して承認すれば期日には自動で引き落とされるので、支払漏れも発生しません。

顧客が求めるニーズを見極めて、汎用性の高いサービスを目指す

「iB-tle」の開発において意識した点、苦労した点などについて教えてください。

木村お客さまによって解決したい課題は千差万別です。決済を効率化したいお客さまもいれば、代金の未回収を防ぐために与信のリスクヘッジをしたいお客さまもいらっしゃいます。それぞれのお客さまが使いたいときに、使いたい機能をご利用いただけることを意識して開発しました。

太田「iB-tle」はSMBCグループ各社の既存サービスやシステムを組み合わせて提供していますので、多くの関係者がいます。そこに関わる人すべてが同じ方向を向いて良いサービスやお客さまに長く使って頂けるシステムを作るべく、地道な調整を続けてきました。また、SMBCグループが提供するサービスなので一定の品質が求められますし、スピード感を持って開発を進める中で、実際に使っていただいたお客さまの声を機能に反映させることもなかなか大変でした。

五十嵐100社以上のお客さまからさまざまなご要望をいただきましたが、それが100社すべてのお客さまにとって必要な機能なのか、それともその企業だけが求めている機能なのか。ここの見極めには苦労しています。半数以上のお客さまから要望として挙がっている機能であれば反映させますが、少数の企業だけに必要な機能を取り入れてしまうと汎用性が削がれるというデメリットがあります。

汎用性と多機能はトレードオフの関係ということですか。

太田そうですね。現時点では過度な機能を持たせず、ご利用企業のお客さまの声を参考に機能拡張を図り、幅広い企業に使っていただける汎用性の高いサービスを目指しています。

五十嵐お客さまの課題を解決して、少しでも業務効率を上げる。日々の非効率な業務を取り払って、他の仕事に注力できる環境をつくりあげることが「iB-tle」の目的です。多くの企業に使っていただきたいので、あまり個社に寄せたカスタマイズを施さず、どんな業界の方でも共通して使えるような汎用性を意識しています。

何万社を相手にした請求業務も、正確かつ簡潔に済ませる

「iB-tle」というネーミングに込められた想いがあれば教えてください。

五十嵐「企業間の決済」を表す、ビジネス、セトルメントを略して「ビートル」。そこに「innovative(革新的な)」や「interactive(双方向の)」等を意味する「i」をつけて「iB-tle」としました。「ビートル」はカブトムシのことですが、カブトムシも卵から幼虫、さなぎを経て成虫へと、常に姿を変えながら成長していきます。そこには、従来のアナログな決済の形をどんどん変革していこうという私たちの思いも込められています。

「iB-tle」に対するお客さまの反応はどのようなものでしょうか?

山田法人営業部とともにお客さまへの提案を重ねていますが、その中には、何万社を相手に請求を行う大企業も存在します。口座振替での回収に切り替えたいと考えている経理担当の方も多くいらっしゃいますが、バイヤーであるお取引先企業からは「事前に支払額・支払日を確認したい」という声があり、「それができない既存の口座振替だとなかなか切替が進まない」という声も聞きます。そういった課題を抱えているお客さまには、「iB-tle」のバイヤー向け機能である事前承認機能が大変喜ばれています。

そして細かい話になるのですが、振込手数料は本来代金を支払う側、要はバイヤー企業側が負担するものなのですが、実際には請求をするサプライヤー企業が負担しているケースが多くあります。その場合は、請求額から振込手数料が差し引いて振込されることで、実際の入金額と請求額にズレが生じてしまい、入金突合が大変になるという課題がありました。「iB-tle」ではそのようなことはなく、サプライヤー側の請求額どおりに引き落とされるので、突合にズレが生じることなく回収できます。そういった機能も喜んでいただいています。

グループ各社との連携を進め、より使いやすいサービスへ

現状、「iB-tle」の競合は存在するのでしょうか?

五十嵐請求、決済、リスクヘッジなど、「iB-tle」を機能ごとに区切って見ていくと競合サービスは存在します。ただ、「iB-tle」の大きな強みはそれらの機能を一つにまとめた点にあるので、ここは他サービスにはないメリットですね。

数多くの取引先に請求をかける際も、「iB-tle」では一社一社に細かい設定をすることが可能です。
具体的な例を挙げますと、各取引先に請求をかける際に、A社宛請求分は通常の決済条件どおりの入金日で良いが、B社宛請求分は与信リスクを考えて入金の早期化を選択する、といったことも可能です。また、今後電子請求書発行の機能も追加予定ですが、すでに他社のサービスを使っている場合、「iB-tle」では決済機能だけを使うことも可能です。「iB-tle」を導入したからといって、すべての機能を「iB-tle」に置き換える必要はありません。
また、バイヤー企業側は三井住友銀行の口座がなくても利用することが可能です。

では、「iB-tle」の今後の展望について教えてください。

五十嵐「iB-tle」の契約先を増やしていくことはもちろん、すべての手続きをオンラインで完結できるようにするなど、将来に向けて改善を繰り返し、多くのお客さまに使っていただけるよう機能をレベルアップしてまいります。

PROFILE
※所属および肩書きは取材当時のものです。
  • 株式会社三井住友銀行
    法人デジタルソリューション部 グループ長

    五十嵐 健太郎氏

    2008年株式会社三井住友銀行入行。法人営業、業界担当としての戦略提案業務、海外駐在、外部企業出向を経て、2020年から法人デジタルソリューション部にて「iB-tle」の企画立案に従事。

  • 株式会社三井住友銀行
    法人デジタルソリューション部 部長代理

    山田 果菜子氏

    2011年株式会社三井住友銀行入行。中小企業向け法人営業を経て、新規業務開発に従事する複数部署でキャリアを積み、2020年から法人デジタルソリューション部にて「iB-tle」の企画立案、営業推進に従事。

  • 株式会社三井住友銀行
    法人デジタルソリューション部 部長代理

    太田 佳樹氏

    2011年株式会社日本総合研究所入社。法人向け決済サービスのシステム開発を中心にキャリアを積み、2021年から株式会社三井住友銀行に出向。着任時より「iB-tle」のシステム開発に従事。

  • 株式会社三井住友銀行
    法人デジタルソリューション部 部長代理

    木村 陽介氏

    2018年株式会社三井住友銀行入行。大阪で中小企業向け法人営業を経験。2020年から法人デジタルソリューション部にて「iB-tle」の商品設計、営業推進に従事。

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