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好きなタイミングで、まとめてかんたんにお支払い。「Pay ID」と「PAYSLE」が提供するシームレスな買い物体験

BASE社が運営する購入者向けショッピングサービス「Pay ID」※1 の後払い機能「あと払い(Pay ID)」のコンビニ支払いの手段として、SMBCグループのBPORTUSが提供する「PAYSLE(ペイスル)」が導入されています。「PAYSLE」はコンビニエンスストアでの払込票をペーパレス化してスマートな支払いを実現するサービス。「あと払い(Pay ID)」は、購入者向けショッピングサービス「Pay ID」で商品を購入する際にメールアドレスと電話番号を入力するだけで、スマートフォン1つで後払いが可能なサービスです。

クレジットカードやQRコード決済など、キャッシュレスでの決済手段が多様化する時代に、あえて現金でのコンビニ払いを選択する理由と、「PAYSLE」ならではのメリットはどこにあるのでしょうか。BASE執行役員の神宮司 誠仁氏と、「PAYSLE」を提供するBPORTUS副社長の山本 翔大氏に伺います。

(※1)「BASE」を利用して開設されたネットショップで利用できる後払いサービス。「Pay ID」のアカウントで購入した商品代金を翌月にまとめて支払う決済方法。

まだまだ多い、現金払いのニーズ

「あと払い(Pay ID)」サービスを提供した背景にはどのような課題や要望があったのでしょうか?

神宮司私たちが提供する「BASE」は、個人やスモールチームの方でも簡単にネットショップを開設できるサービスです。従来のネットショップサービスでは決済手段を導入する際には、複雑な契約を複数の決済会社と結ばなければいけないというハードルが存在しました。そこで「BASE」では「BASEかんたん決済」を提供し、「あと払い(Pay ID)」をはじめとする7種類の決済方法が、ショップ開設後すぐに利用できる仕組みを提供しています。

もう一つの課題はキャリア決済、銀行振込などの前払い決済におけるキャンセル率の高さです。規模の小さいショップオーナーさまにとって、ご注文いただいたのにも関わらず支払完了せずキャンセルされてしまうのは、そのために準備した在庫を抱えてしまうことになり、悩みの種でした。「あと払い(Pay ID)」では、ショップオーナーさまにとっては注文と同時に代金の受け取りが確定するので、在庫を抱えるリスクが減少します。

また、前払い決済を選ばれている方はクレジットカード未所持の割合が高く、そういった方に対しても柔軟な支払い手段を提供するべく、「あと払い(Pay ID)」が生まれました。今回は後払い手段を自社ブランドとして立ち上げるという大きな目標がありましたので、「あと払い(Pay ID)」の内部にコンビニ決済が組み込めるBPORTUSさまの「PAYSLE」の仕組みはとても助かりました。

後払い決済はますます普及していますが、「PAYSLE」が選ばれる理由はどこにあるとお考えでしょうか?

山本世の中ではクレジットカードやQRを例とするキャッシュレス決済が普及していますが、まだまだクレジットカードを持っていない方も多くいらっしゃいますし、セキュリティに対する不安から現金支払いのニーズも多く残されています。事実、総務省の調査※2 によるとネットショッピングの支払い手段として最も多く選ばれている支払い手段はクレジットカードですが、2番目に多く選ばれている支払い手段はコンビニ支払いで、約4割の方に選ばれています。

現金支払いのニーズがある方は、例えば、まとまった収入が入るまでに時間があるけれどすぐに欲しい商品がある場合、これまでは収入が入るまでは我慢する必要がありました。「あと払い(Pay ID)」を使えば欲しいときに商品が手に入り、支払いはその後に済ませればいいわけです。

(※2)令和3年情報通信白書、第2部 第2節「ICTサービスの利用動向」インターネットで購入する際の決済方法より引用

株式会社BPORTUS 取締役副社長
山本 翔大氏

クレカも現金も、決済手段を使い分ける利用者の存在

「あと払い(Pay ID)」サービス提供後の利用者の反応について教えてください。

神宮司おかげさまで多くの方にご利用いただいています。リリース当初はどの決済手段を使っている方が乗り換えてくれるのか明確には見えていませんでしたが、今ではこちらの予想以上にクレジットカードを利用している方のご利用が多いことが分かり、そこが意外な点でした。

BASE株式会社 執行役員 VP of Product
神宮司 誠仁氏

それはどのような理由が考えられるのでしょうか?

神宮司クレジットカードで支払いをする際カードの実物が手元にないと使わない人が多い、という点がネックになっていると考えています。「あと払い(Pay ID)」であればメールアドレスと電話番号があれば決済完了できるので、その手軽さが支持されているのではないでしょうか。

山本例えば、普段はクレジットカード払いをメインにしている方でも、カードの引き落とし日とは異なるタイミングで支払いたいというニーズが発生する時もあり得ます。そういったタイミングで「あと払い(Pay ID)」を使うなど、状況やタイミングによって複数の決済手段を使い分けている方も多くいるかと思います。

私自身もネットショッピングでクレジットカード払いをするときもあれば、家族のプレゼントを買うときは自宅に届けてもらうとバレてしまいますから、その場合はコンビニに届けてもらってその場で現金で支払います。このように日常のシーンによって決済手段を使い分ける方も多いのではないでしょうか。

すべての人に柔軟な支払い手段を届ける

今回のサービス提供によって、利用者にどんな体験を届けたいとお考えですか?

神宮司私たちはネットショッピングにおける支払い手段の柔軟性がとても重要だと考えています。「BASE」を利用されているショップの多くは個人やスモールチームの方です。そういったショップは商品数が限られていることも多く、熱量の高いファンのいるショップでは人気商品の争奪戦が発生します。そうなると瞬間的に使える決済手段が選ばれやすくなるわけです。手元にクレジットカードや銀行のキャッシュカードがなくても、「あと払い(Pay ID)」ならメールアドレスと電話番号だけで決済が完了できるので、すべての人たちにシームレスな体験が提供できると考えています。

「BASE」を利用されているショップさまの傾向を教えてください。

神宮司全体の約7割が個人の方です。運営体制も小規模で4人以下の体制が9割ほどであり、数人で運営しているショップが大半です。扱う商品のジャンルはファッションがやや多めですが、多種多様です。Amazonや楽天などのモールに出店されている規模の大きなショップとはまったく異なる属性です。

山本ネットショップの普及によりあらゆる商品をネットで購入することが日常的になりました。物理的な店舗を持たないのでお客さまは世界中に存在しますし、支払い手段にこだわりを持つお客さまも多いかと思います。私が重視しているのは、お客さまが買いたいと思ったときに買える仕組みをつくることです。一度、買いたいと思ったタイミングを失ってしまうと多くのお客さまは戻ってきません。そのタイミングを失わないように、その時に使いたい支払い手段が提供されていることはとても重要と考えています。

後払い決済だと商品だけ受け取って代金を支払わないケースも出てくるかと思いますが、そこはどのように対応していますか?

神宮司そこは私たちが連携しているGMOペイメントサービスさまと協力して与信調査を実施したり、回収率を日々モニタリングしたりすることで防止に努めています。

日本におけるコンビニでの支払件数は年間10億件

両社の今後の展望について教えてください。

神宮司まずは「あと払い(Pay ID)」を多くの方に使っていただくことです。使ってみないことにはその便利さは伝わらないと思うので、そのためのマーケティングや利用促進のキャンペーンに力を入れていきます。長期的な視点では、いつでも欲しいものをすぐ買える体験をすべての人たちに届けたいと考えています。僕たちは決済を「価値と価値の交換」と呼んでいます。その交換がシームレスであればあるほど、僕たちが目指す個人やスモールチームの方が自由に生きていける世の中に近づいていくと考えています。ショップオーナーの皆さま、購入者の皆さま、双方を考えながら良い決済サービスにしていきたいです。

僕も後払い決済を利用してコンビニで支払いをすることがありますが、支払いのためにコンビニへ行ったのに途中で忘れてしまい、店で別の買い物をしてそのまま帰宅してしまうときがあります。そこで利用者がコンビニの入店時や近くにいるときにアプリから通知を送る仕組みができないか検討しています。支払期日の前日とかではなく、利用者がコンビニの近くにいるときに通知を送る。利用者のためにもう一歩踏み込んだ優しいサービスができればいいと思います。

山本日本におけるコンビニ支払いの件数は年間10億件ほどといわれています。その約9割以上は紙の払込票が使われており、まだまだ「PAYSLE」のようなペーパレス化でショップ負担を減らし利用者ニーズにも応えることができるサービスは認知されていないのが現状です。そのため、「あと払い(Pay ID)」のように様々な事業者さまのサービスを通して、スマートフォン1つでコンビニ支払いができるという便利な手段があることを知っていただきたいです。今後も「あと払い(Pay ID)」が多くの方に使われるようになることで、紙の払込票が不要になる日常を創っていきたいと考えています。

紙の払込票による支払いが10億件ということは、まだまだ大きいマーケットがあるわけですね。

山本世の中がキャッシュレスの流れに向かっているので、多くの企業は現金を使うことが面倒というニーズに目を向けがちですが、その一方で現金を使いたいという人のニーズを満たす支払い体験はあまりアップデートされていないように感じています。私たちは、コンビニ支払いを自ら選択し、現金で支払いたいというニーズがあるならば、その体験もより便利にしていくことが大事だと考えています。

PROFILE
※所属および肩書きは取材当時のものです。
  • BASE株式会社 執行役員 VP of Product

    神宮司 誠仁氏

    ネットショップ作成サービス「BASE」、購入者向けショッピングサービス「Pay ID」のプロダクトを統括するPMとして従事。2018年6月より同社執行役員に、2019年7月よりVP of Productに就任。

  • 株式会社BPORTUS(ビーポータス) 取締役副社長

    山本 翔大氏

    日本電気株式会社にて小売・通販事業者向けのITサービス企画・販売促進業務に従事。2022年9月に株式会社ブリースコーポレーション(現、株式会社BPORTUS)の代表取締役に就任。2023年7月より現職。

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